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二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その2)

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二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その2)

 さて、前回の最後に「要素還元論」と「システム論」の視点から「評価の考え方」を比べてみようと書きました。今回は少しその点に触れていきます。

 学校で習う要素還元論の視点では、人の運動システムを機械やロボットの様に評価すると説明しました。ロボットの設計図のように、まず人体の設計図を理解して人の運動を理解したり、評価したりするわけです。もしどこかに不具合が生じると、設計図を基に原因を探ることになるわけです。

 そして学校で習う評価には大まかに2種類あります。運動システムの「パフォーマンスを数字で表す科学的視点の評価」と「姿勢や動作などを観察して言葉で表す視点の評価」です。

 「パフォーマンスを数字で表す科学的視点の評価」にはたとえば簡易な10メートル歩行検査などがあります。

 歩行のスタートの加速と終了時の減速の影響を取り除いて、10メートル間の安定した歩行を評価するために、その前後に数メートルの余裕をとります。10メートル前後の長さは施設のスペースなど色々な制約がありますが、最低でも1メートル程度は取った方が良いでしょう。

 そして10メートルを何歩、何秒で歩けるかを調べます。歩き始めた後、10メートルの開始線から終了線までの時間を計ります。歩数は開始線にさしかかった時に開始線と足の位置関係を憶え、0と数え始めて、終了線と足の関係が開始線の時と同じくらいを最後の歩数とします。

 学校で使う臨床運動学などの本では、3人掛かりでやれとか前後に3メートルとれとありますが、実用的ではありませんね。セラピスト独りで利用可能な広さでやる必要があります。この簡易なやり方では正確な数値から多少ブレてしまいますが、同じセラピストと患者で、同じやり方をすればその患者さん自身の運動変化は十分に確認できます。

 臨床家として、自分の実施した訓練の効果を数値で客観的に表現することは大事です。そのやり方で良いかどうかの判断の1つになります。患者さんご本人やご家族が納得するためにも必要です。10メートル歩行以外にも、このような数値で表現できる、患者さんにあった運動評価をいくつか準備しておくことが重要です。

 この時間と歩数の2つの変数を調べるだけで、歩行速度、歩幅、歩行率、歩行比が分かります。たとえ左右差が大きくても、速度や歩幅の平均が大きくなれば訓練効果があったと理解できますし、歩行比などが安定すればその人らしい歩き方が安定したと分かります。

 実際に運動パフォーマンスの変化を数値で表す科学的視点の評価は、要素還元論の視点でもシステム論の視点でも大事です。まずこれらは共通の大事な評価です。ただ要素還元論の枠組みでは、「正常者の肢位・姿勢・やり方からどれだけズレているか、そのズレの原因はなにか?」という視点が常について回ります。様々の肢位や作動の左右差なども問題として上がってきます。

 どうしてかというとこれにも人の運動システムをロボットにたとえて見る視点が関係しています。ロボットや機械というのは必ず正解の運動を持っているからです。つまり「設計者の意図通り作動する」というのが正解の運動です。

 この視点がついて回ると、たとえ訓練の結果、必要な生活課題の達成のパフォーマンスが改善されたとしてもそれだけでは満足できなくなります。「速度が健常者よりどれだけ低い」とか「左右差が大きい」とか「歩容が健常者からどれだけズレている」とかは常に気になってしまうのです。

 無意識に「健常者の運動は本来こういうものだ」と正解の運動に何とか近づけることが目標になってしまうのです。そのためになにが原因かと追及することになり、たとえば脳性運動障害者の「麻痺を治そう」とこだわってしまうのです。

 一方でシステム論の視点では、標準的な「正解の運動」というのはありません。人の運動システムは、人それぞれに違っていて当然だからです。麻痺があれば歩容もパフォーマンスも健常者と違っているのが当たり前です。また同じ人の運動システムも状況によってパフォーマンスや歩容は変わるのが当然です。運動のパフォーマンスも歩容も、状況によって変わってしまうからです。

 そうなるとシステム論の視点では、状況変化に適応的、あるいは問題が起きないことが重要になります。健常者の運動の形に近づくのが目標ではなく、その人なりに必要な状況に対応できているかどうかが目標になります。

 次回は、数字の評価ではなく「歩容などを観察して言葉で表す視点の評価」について考えてみましょう。(その3に続く)

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二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その1)

目安時間:約 5分

二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その1)

 広い知識と視野を持つことは、観察力や問題解決能力を高め、様々な現象や人、社会に対する理解を深めるなど仕事や人生でも非常に重要です。

 医療的リハビリテーションにおいても、学校で習う要素還元論の視点に加えて、システム論のような別の視点を身につけて、より広い視野で運動システムや障害について理解し、アプローチを工夫することはとても有益なことです。

 実際、どんな理論にも強みと弱みがあります。そして要素還元論とシステム論はお互いの弱みをそれぞれの強みで補い合うことが可能です。この2つの視点を持つことによってセラピストの観察力や問題解決能力は飛躍的に伸びます。

 ここで紹介するCAMR(カムルと呼びます)は、Contextual Approach for Medical Rehabilitationの短縮形で、和名を「医療的リハビリテーションのための状況的アプローチ」といいます。CAMRはシステム論を基にした日本生まれの医療的リハビリテーションのための理論体系です。学校で習った要素還元論に加えてCAMRの視点も身につけて臨床での問題解決能力をアップすることができます。

 ここでは、この二つの視点を身につけて使いこなせるようになると、片麻痺の運動障害の理解や評価、アプローチが大きく変化することに焦点を当てて説明します。

 まずは学校で習う要素還元論の視点を以下にまとめて復習してみることから始めましょう! 要素還元論の視点では、人の体をロボットの様に理解します。

 学校で習う要素還元論では、人の運動システムを見た目の構造や各構成要素の役割として理解します。

 これはちょうど歩行ロボットを理解するのと同じです。ロボットは力を生み出すモーター、モーターの回転の動きを交互運動に変換するギアの伝達装置、周りの障害物を探索するセンサー、センサーで探知した障害物を避けたり移動したりの命令をするコンピュータとプログラムといった風に理解します。

 そうすると障害物を避けないなどの不具合が出ると、「センサーかコンピュータかプログラムの問題」と仮説を立てて、その中から「悪いところを探す」ことができ「治す、交換して元に戻す」という問題解決の方法をとることができます。

 人の運動システムも同様に、力を発生する筋肉、力に支持と方向を与える骨・関節・靱帯、身体内外の刺激を受ける感覚器、刺激や命令を伝える末梢神経、伝えられた刺激を情報に変え、それを元に判断・命令する中枢神経系といった風に構造と構成要素の役割を理解します。つまりロボットの様に身体の設計図をまず理解することになります。

 そうするとたとえば右肩の挙上ができなくなれば、右肩の挙上筋群の筋力低下、そこに繋がる末梢神経や中枢神経の傷害、痛み等を仮説に挙げて、それらの原因の仮説の中から「悪いところを探し、元に戻す」というアプローチを取ることができます。

 人の体を機械として理解するというと違和感を持つ人もいますが、西欧思想の源流には、デカルト以来の「人間機械論」という「人は神(または自然)が作った機械である」という思想が根本に流れています。

 また現在の私たちも動く・働く機械に囲まれて生活していますので、人の体を動く機械に喩えて理解することはやはり自然です。そしてこの人の体を機械にたとえる視点は、とてもわかりやすく、問題解決の方法も簡単に導いてくれるので有益なのです。

 この視点に加えて、これとは異なった視点、システム論の視点も手に入れようというのが今シリーズの目標です。またこのシリーズでは、要素還元論とシステム論の視点から「評価の考え方」を比べてみようと思います。(その2に続く)

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毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(最終回)

目安時間:約 5分

毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(最終回)

 今回のシリーズは、ついついテーマを無視して書きたいことを書いてしまいました。反省しています(^^;)

 全体に言いたかったことは、同じ現象を見ていても、視点が変わるとまったく別の意味を持ってくるということです。

 要素還元論では、人体の設計図を作り、脳が運動を変化させると習います。そうすると、片麻痺後の下肢や上肢が全体に屈曲すると「大脳皮質などの上位脳が壊れるので、そこで司る上位コントロールが消失し、下位の屈曲共同運動が出現した」と説明します。そして、「下位の屈曲共同運動が出現するために上位コントロールがうまくいかないから、下位の屈曲共同運動を抑えて、上位脳に正しい運動コントロールを学習させよう」などと考えるアプローチが生まれます。

 要素還元論は機械の修理の考え方と同じで、「脳というコンピュータが壊れたので、なんとか脳を治そう、あるいは機能的に元に戻そう」という方針を持つのでした。

 一方システム論を基にしたCAMRでは、人の運動システムの作動の特徴に焦点を当てます。そうするといくつか機械には見られない作動の特徴が見られるようになります。

 たとえば人の運動には「状況性」という作動の特徴があり、これは豊富な運動リソースと柔軟で創造的な運動スキル創発の能力が基礎になります。

 障害を持つと言うことは、運動リソースが貧弱になることで運動スキルも貧弱になる。だからまずは運動リソースを豊富にしましょうという方針を持ちます。 改善可能な身体リソースはできるだけ増やしておきましょう。環境リソースはできるだけ試して利用可能なものを増やしておきましょう。その上でこれら増えた身体リソース・環境リソースを利用して様々な運動課題をやってみましょう。

 そうすると情報リソースも適切になり、より課題達成の運動スキルが多彩に創造できるようになります。

 もう一つは人の運動システムには「自律的問題解決」という作動があります。自律的問題解決の作動は、課題達成が不可能なときに、利用可能な運動リソースを探索し、何とかその利用方法である運動スキルを生み出して課題を達成しようとする作動です。

 たとえばCAMRでは、先に出た下肢の屈曲共同運動は、麻痺の下肢が自由にならない重りとして課題達成を邪魔しているので「使わない」という「不使用の問題解決」を図っていると理解します。

 そうすると麻痺の下肢は「外骨格系の問題解決」という運動スキルを強めれば支持に十分使えるし、健側の下肢や体幹を使って振り出すという「探索利用スキル」で歩行もできるようになりますよ、と教えてあげることで屈曲共同運動と呼ばれた現象は消えて、歩けるようになります。

 患側上肢も「使わない方が効率的」という不使用の問題解決を図っているかも知れません。使えそうなら健側拘束法などで十分実用になったりします。

 面白い、というか重要なことは、障がいを持っても「状況性」や「自律的問題解決」という性質そのものは決して失われないということです。だから運動リソース、たとえば柔軟性が少し改善すると、運動パフォーマンスが変化したりします。改善した柔軟性を利用して新しい運動スキルが生まれてくるからです。生まれつき重度の四肢麻痺でも、顎で電動車椅子という環境リソースの操作のための運動スキルを学んで移動することができます。

 つまり問題解決は決して「元に戻す」だけではないのです。

 要素還元論とCAMRの視点、どちらが有用かは実際に臨床家が試して見れば良いと思います。二つの選択肢があれば、どちらか有効な方法を選ぶことができます。

 もし学校で習った要素還元論の視点しかなかったら、問題解決の門は狭いままです。どうか二つの視点を理解して、視野を広げることを強くお勧めします。(終わり)

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毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(その17)

目安時間:約 5分

毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(その17)

 前回までで、「基礎定位障害」という症候群が、原因や振る舞いそのものだけでは定まらず、その患者さん達が選択している問題解決によってまとめられる形で理解できると述べてきました。

 では実際にどんな問題解決をとっているかを説明します。

 原因はどうであれ、基本は重力と床の間で体の安定・安心を保つことが難しい障害です。それで以下のような問題解決が選択されます。

①不安な姿勢・動作を避ける、重心を低くする傾向

・座位から起立、立位になるときの動作開始に時間がかかる、躊躇が見られる

・座位から起立時の前方への重心移動の介助を嫌がる

・座位から起立への介助自体に抵抗される様子がある

・立位になってもすぐに座ろうとされる

・何度立位練習を経験しても、いつまでも立位に慣れない、ずっと怖がられる

・重度の場合は臥位から座位になることを嫌がられる、すぐに臥位に戻りたがる

②基底面を広げてバランスを保持しやすくする傾向

・立つ場合は、歩隔を広くする

・杖歩行は3動作歩行で常に2点が接地するようにする

・杖を遠くに突き、基底面を広げる

・坂道などにさしかかるとつま先と歩隔を広げ、基底面をさらに広くする

・T-caneより4点杖やT-cane2本使った方が安心される。また杖よりもピックアップや歩行器を好まれる

・手すりより壁の上部にすがる

・横手すりよりは縦手すりを好み、時に縦手すりにすがるように立つ

・介助者の手を持つより肩に手を置く(なるべく上の方を持って基底面を広く。体幹の揺れも小さい?)

③特定の状況に固執する傾向

・慣れた介助者なら立つが、初めての介護者だと警戒して尻込む、抵抗する

・トイレなどは慣れた場所を好む。新しい場所は拒否されたり躊躇されたりする

・慣れたセラピストと一緒なら、歩行練習もされるし、見た目安定して歩かれるようになるが、1人では決して歩こうとされない

④視覚情報に頼られる

・歩く時は下(床)を見ながら歩く。頭を挙げると不安?

・手すりを持って立っていても後ろ向きに下がるのは苦手。後ろに座るときわざわざ向きを変えて椅子を見て確かめることもある

⑤重心移動を小さくする傾向・体幹を棒のように硬くする

・小刻みに歩行する(通常脚の振り出しの周波数を上げてジャイロ効果を利用して安定させる)

 「⑤重心移動を小さくする傾向」はパーキンソン症候群に特有・顕著で、問題解決が他の原因・疾患とは共通していないようにも見えますが、歩行補助具などで基底面を広げたり、より高い位置を持ったりの問題解決はやはり共通に見られると思います。

 また時には片麻痺の方にも体を硬くして重心移動を小さくする傾向は見られます・・・実は筆者はまだ迷っているところもあります(^^;)

 障害が新しく、まだ慣れていないなどで運動経験が不足して一時的に基礎定位障害が見られる場合は訓練を繰り返すことでこの症状は消えてしまいます。情報リソースのアップデートが必要というわけですね。

 一方、小脳失調やパーキンソン、片麻痺の一部の患者さんにはこの改善しにくい基礎定位障害が見られ、筋トレやバランス練習などの身体機能の改善の方針では改善が見られないようです。

 軽度の方では、訓練を続けると少しずつ慣れて、活動範囲を広げられる方もいますが、基本的には慣れた環境内で改善が起こることが多いようです。(前回挙げた極まれな積極的自立例はありますが)

 根本的に治る様子は見られないので、CAMRでいう環境利用学習(手すりやトイレなどの環境調整とそれを使った繰り返しの成功経験)が適切だと思われます。次回は今回のシリーズのまとめ(最終回に続く)

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毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(その16)

目安時間:約 4分

毎回5分で理解する「要素還元論」と「システム論」(その16)

 前回は「基礎定位障害」の患者さんは、メンタリティ(精神状態)の影響を強く受けて振る舞いが異なることだと述べました。以下に三つの例を挙げます。

①失調症状が簡単に見て取れるのに、杖一本でバスに乗って出かける患者さんがいます。確かにめったに転倒はされないのですが、周りから見ると皆がヒヤヒヤしています。本人は自信に溢れ、やる気満々です。

②うまく止まれないので、壁や柱を目標に歩くパーキンソン患者さんがいます。決まった目標にぶつかって止まり、向きを変えて次の目標に向かってぶつかって止まっては、目的地まで移動されます。もちろん新しい場所ではダメです。いつもの移動コース上ならほぼ自立です。

③歩隔を広くとり、杖を遠くについて基底面を大きく広げて、ゆっくり移動自立している片麻痺の方がおられます。安定して歩いておられるので大丈夫だろうと思っていると、不意に転倒されることが多いのです。

 しかも本人と話してもあまり転倒を気にされたり、恐れたりする様子もありません。何度転倒しても、何事もなかったようにまた歩き始めます。

 それでデイケアでは、しばしば「転倒防止はどうすれば良いのか?」というテーマのカンファレンスが開かれます。急な方向転換やビックリしたときに転倒しているらしいことが分かります。

 それで解決策は、「急な方向転換を様々に行う練習」や「様々な外的刺激に対してバランスの維持に対応する練習」などが提案されます。「ダンスなどが良いのでは?」などとアイデアが出されてスタッフ間で盛り上がります(^^;)そして実施されるのですが・・・・・一年後には相変わらず同じ問題でカンファレンスが開かれたりします(^^;)

 基礎にあるのがどうも「基礎定位障害」なのです。重力と床との間で体を安定状態に保つのが難しいと思われます。そして、どうもこの障害はあまり改善しないようです。だから練習を重ねても変化しないことも多い。

 上に挙げた方達は、皆それぞれに異なった原因の「基礎定位障害」を持っておられますが、それぞれに歩行は自立の状態にあります。もちろん環境に依存していますが。

 一方で、前回まで述べたように杖をついて安定して歩いているように見えても一人では動こうとされず、歩行自立できない患者さんもいます。

 つまりこの両者の違いはメンタリティの違いだと思います。「一人で歩きたい」などと強く思っていて一人で歩かなければならない状況があれば、何とか恐怖を乗り越えたり、慣れたりして障害をある程度克服していると思われます。決して「安全に」という条件はクリアしていないのかも知れませんが。

 ただこのように自立に向かう人は少ないです。この人達を見て、他の人にも「できる人がいるんだから頑張れ!」というのは酷でしょう。

 つまりここで言う「基礎定位障害」は、原因も異なれば、メンタリティの状態によってもその振る舞いが異なります。

 だから一つの症候群として理解しにくい、まとめにくいところがあるのだと思います。いや、そもそも一つの症候群としてまとめる必要があるのか、と言われそうですね。

 でも彼らが行っている問題解決のスキルに焦点を当てて見ると、共通していることがあります。つまりこの症候群、「基礎定位障害」は、患者さんが選択する共通の問題解決によってまとまるわけです。

 次回は具体的にどんな問題解決をとるかをまとめて説明します。(その17に続く)

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