人の運動というのは、たくさんの要素が関わった非常に複雑な現象です。ですので、これを全部まるごと一気に理解することは、とても困難な作業になります。
そこでどうするかと言うと、全体をいくつかの要素に分解して、それぞれの要素について調べていく、というやり方をとります。これが、僕たちが養成校で習う“要素還元論”という視点です。
えっ?どういうこと? と思われたかもしれませんが、実はベテランセラピストの多くは、システム論というパラダイムをよく知らない、あるいは、知識としては知っていてもその本質的な理解に至っていないことがよくあります。日本のリハビリの世界でシステム論が認知されてきたのは、比較的最近のことなので無理もないことかもしれません。
これらの問題を解決し、リハビリをより進化発展させていくために、〝医療的リハビリテーションのための状況的アプローチ”が誕生しました。
英語で表記すると〝Contextual Approach for Medical Rehabilitation”となり、頭文字をとって略称をCAMR(カムル)と言います。
CAMRの特徴を簡単に挙げれば、システム論に基づいて人の運動システムの特徴を捉え、その特徴を踏まえた上でアプローチを構築する、と言えるでしょう。
そしてCAMRの理論を用いると、結果を出しているベテランセラピストがやっていることの多くを、かなり上手く説明できることがわかってきました。100%とは言えないかもしれませんが、それらの本質的な部分の言語化には成功していると考えられます。
ここで紹介している書籍、西尾幸敏著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」は、そんなCAMRの基本テキストです。 あなたも本書を手にして、目から鱗が落ちるような新しいリハビリの世界観に触れてみませんか?
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