CAMRは状況変化の技法?(その3)

目安時間:約 4分

CAMRは状況変化の技法?(その3)

 Aさんに初めて会った印象は、意外に穏やかな感じの男性です。最初は身体の状態などを聞くのですが、「別に」と答えられます。少しうんざりだという素振りをされます。

 仕方なく、「こちらの施設の見学でもしてみましょうか?」と誘うと、「いや、見ればわかりますよ」と答えられます。なるほど、少しリハビリとかに心を閉ざされているご様子です。

 なんとかお話ができるきっかけが欲しいものです。そのうち車椅子に乗って手が色々なところを触っているのに気がつきます。「車椅子の操作はどうですか?」と聞くと、「うん、これは・・」といってブレーキや駆動輪などを触り、車輪を手で持って前後に動こうとされます。

 ひたすら無言で色々に動かされます。見かねて声をかけようとすると、どうも嫌がられる雰囲気です。ひたすら1人で試行錯誤されます。そのうち左右へゆるりとと方向転換をされます。前へ進み、後方に進み、方向転換も徐々に大きくなります。ともかく試行錯誤を一生懸命されているので、口出しを止めます。

 そのうち「どこか・・・あっちの方へ行っても良いだろうか?」と聞かれるので、「ええ、良いですよ」と答えます。意外にも早くも状況変化のきっかけが見つかったかもと思います。

 景色の見える大きな窓際までなんとか漕がれます。「車輪は左右独立で、駆動もブレーキも・・・・」などと呟かれます。どうもほとんどが独り言です。「車椅子は初めてですか?」と聞くと「今までは人が押すばかりでね」と不満そうに言われます。とりあえず「人に指図されたり世話されたりが嫌な方なのだろう。それに機械に非常に興味がある方だろう」と仮定します。やはり手伝いにしゃしゃり出なくて良かった、と思います。

 「今まで耕運機とか使われたことがありますか?」と聞くと「いや、ない」と言われます。でもこの「妙な質問」に興味をすこし持たれたようです。「こちらの車輪をとめて、こちらの車輪を進めると車輪と反対側に方向を変えます。これで農家の方が耕運機と同じだな、なんて言われるんです」と説明すると、「うん、そうか、耕運機か?」と呟かれます。

 「耕運機は操作されたことがありますか?」と聞くとまた無視されました。この後、また会話が途切れました。でも機械に興味を持たれているのは確かなようです。

 男性の場合、仕事の話は意外によくされるので、「お仕事は何をされていたんですか?」と聞くと「まあ色々な機械の設計と組立をしてたよ」と答えられます。 「よし!」と思います。ところが後は質問をしても無視されます。ともかく沈黙の時間が長い。僕は元々あまり社交的な性格ではないので、話を上手く繋いでいくことが苦手です。

 そんなこんなでこの日の訓練は終わりました。結局少しの会話だけでした。どうもコミュニケーションを意図的に避けているような感じです。でも、車椅子の操作は未熟なので明日はやることがあるかも・・・などと考えます。(^^)(その4に続く)

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