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臨床問題解決能力アップへの近道☆CAMR関連情報ランキング!

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CAMR を学ぶことで得られるもの

目安時間:約 8分

「戦(いくさ)は人数で戦うものでなく、知略と勇気で戦うもの」

 これは小説「天と地と」(海音寺潮五郎)の中で、上杉謙信の兵法の師である宇佐美定行の言葉です。
 僕にはとても響く言葉でした。だから定行に習って次のように言います(^^;))

「リハビリは知識と技術だけでなく、心意気と治療方略でやるものだ!」

 もちろん知識や技術が大事なのは当然です。でもリハビリ場面では常に困難な状況が新たに現れるものです。知識や技術を増やしていくことである程度の対応はできますが、人から教えられた知識や技術だけでは対応できない困難で新奇な問題にも再々出会います。人から教えられた知識や技術だけでは必ず限界を迎えます。
 だからこそ「なんとか少しでも状況を良くしよう」という心意気が大事です。(ちょっとおやじ臭い?いきなり時代遅れの精神論ですね(^^;))
 でも心意気があればすぐには諦めないし、また良い治療方略が生まれてくるものです。 治療方略とは、治療をどのような目的で、どのように実施するかの計画・作戦のことです。治療方略はこれまで自分が蓄えてきた知識や技術、経験を基に新しい問題解決の方針や方法を生み出すことです。まさしく戦で言う兵法に当たります。

 僕の経験で言えば、それまでの限界を越える治療方略を自分自身の力で生み出すところにリハビリの本当の面白さがあると思います。いや、どの仕事でも一緒かもしれませんけどね(^^)

 ここでは僕が自然に治療方略を思いつくようになった経過を簡単に紹介したいと思います。
 僕は新人の頃、普通以下の理学療法士だったと思います。学校で教えられた事をあまり深く考えることもなく、「だいたい普通はこんなものだろう」と考えていたし、慣れるにしたがって日々の仕事は次第に流れ作業的になっていました(^^;)

 ある日システム論というアイデアを知りました。少し勉強してみると今まで学校で習った考え方とは丸っきり違っていることに驚きました!
 たとえば「初期歩行」は原始反射と学校で習いました。これは生後2ヶ月くらいで消えてしまいます。学校では、「脳の成熟にしたがって原始反射である初期歩行は抑制され、やがて正常な歩行が発達していくのだ」などと習います。
 ところが発達心理学者のテーレンらは、「初期歩行が消えてしまった赤ちゃんをお湯につけるとまた再現する」という現象を紹介します。学校で習った説明では、「お風呂に入ると中枢神経系が成熟から後退する」ことになって変ですね(^^;)
 そこで彼女らは「初期歩行が消えてしまうのは、生後1 ヶ月過ぎくらいから下肢の脂肪組織が増えて筋力を上回って重くなるので消失する。そしてお湯に入ると浮力によって再び現れる」と仮説を立て、実際に下肢の脂肪量や重量増加のデータを調べてそれを証明します。
 さらに彼女らは初期歩行が消失する前からトレッドミル上で赤ちゃんを歩かせて、筋力トレーニングをするのです。そうすると初期歩行が消えないことも証明します。さらにさらに、彼女らは、左右速度の違うベルトのトレッドミル上に新生児の赤ちゃんを立たせます。すると、それぞれの速度に合わせて左右の脚を別々に適切に動かすことを証明しました。結局、初期歩行は「原始反射」などではなく、状況変化に応じて適切に対応する成人の歩行の性質を持っていることを証明したわけです。(他にも位相空間の研究などもあります)
 それで僕はシステム論のアイデアにとりつかれてしまいます。「いつの日か、このシステム論を基にしたリハビリテーション・アプローチを作れたら良いな」と思うようになりました。(実際には30 年もかかってしまいました。頭の悪いこと(^^;))
 そして患者さんを見ていくと、少しずつ自分の中のある変化に気がつきました。それまで患者さんを見て「ああ、この患者さんの運動は変化しなくなった。そろそろプラトーだな」などと安易に考えていたのです。
 しかし「あ、いつも訓練で起きている変化は一時的なものかもしれない。一時的な変化は揺らぎみたいなものでいくら起きても持続的な変化には繋がらない。だって揺らぎだもの。持続的な変化を起こすためには、揺らぎではなく作動自体を大きく変化させるような訓練をする必要があるのでは?だからまだやっていないことがたくさんある!」などということを自然に思うようになりました。
 システム論の考えが徐々に身体に染みこんで、いつのまにかそれまでとは異なった視点で色々な現象を理解するようになったのです。その積み重ねで「これまでの治療を見直して、持続的な変化を生み出すには・・・」という治療方略の考え方が自然にできるようになったわけです。

 その結果がCAMR です。治療方略を生み出すには、これまで変化の生み出せない訓練の考え方とは対立軸を生み出すような「新しいアイデア」を身につけることです。これまでの考え方と新しい考え方を戦わせて行くと、丸っきり別の理解やアプローチが生まれてくることを実感しました。
 システム論を基にしたCAMR の考え方を学ぶと、これまでとは対立するようなアイデアを学ぶことができ、自分の中に対立軸ができて、新しい視点や発想が生まれます。「自分で見て、考察して、新しい視点と発想を生み出す」ことができるようになります。つまり自然に「治療方略」が浮かんでくるようになるのです。

 「CAMR を学ぶ」ことの何が重要かと考えると、やはりこの「新しいアイデアや視点を取り込んで、自分で色々な発想や新しい問題解決方法を生み出すための治療方略を身につける」事だと思います。
 現在行われている講習会はほとんど知識や技術に関するものです。これは見た目に分かりやすく魅力的です。だからすぐに役立ちそう、と惹きつけられるかもしれません。
 でもCAMR 講習会はセラピストとしての問題解決能力をアップさせます。そしてこれは単に新しいリハビリの知識や技術を憶えることとは違います。自分で考える能力を高める事です。そしてそれには少し時間がかかるのも事実です。
 でもそれによって日々臨床で出会う新奇な問題、困難な問題にも自分自身で対処できる能力を身につけることができるようになると思います。
 是非とも皆さんにもこの機会に講習会を受けて、この素晴らしい経験をしていただきたいと思っています。

CAMR無料勉強会のおしらせ
10月30日夜8時から1時間程度
詳細とお申し込みは以下のURLから

https://u.miura1991.com/p/camr10

CAMR対面講習会のお知らせ
11月28日(土)12時から21時まで
11月29日(日)8時から12時まで
場所:広島県東広島市
詳細とお申し込みは以下のURLから

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CAMRは治療方略だ!

目安時間:約 7分

 今回はまず上杉謙信の戦い方を1つ紹介します。とても刺激的で、リハビリの参考になります。

 上杉謙信は「毘沙門天の生まれ変わり」とか「鬼神」と讃えられる戦国時代の名将です。彼が数えで15歳の頃は景虎と呼ばれていました。景虎は15歳の冬に800人の兵士を率いて戦います。敵の兵士数は圧倒的に多いことが分かっています。
 そこで物見を出して敵の様子を探り、地形を見るなど様々な環境・状況を観察して回ります。戦(いくさ)前にはひどく冷え込み、雪も降り始めていました。非常に冷たい風が吹きすさび、降った雪は根雪になるだろうと予想されました。
 彼は川底が深めの場所の片側に陣を張り、敵を待ち受けます。
 さて敵軍が徐々に対岸に現れます。総勢6000人以上!なんと景虎軍の8倍の人数です。敵軍は一斉に鬨(とき)の声を上げ、貝や太鼓をどっと打ち鳴らします。景虎軍はそれを見、すさまじい音を聞き、色を失い動揺します。
 その様子を見た敵軍は「やれ敵どもは萎縮しておるわ。今がチャンスじゃ!敵どもを踏みつぶしてしまえ!」と先を争って川に入ってきます。
 一方景虎は何もしません。回りの大将や旗本たちは焦って景虎に進言します。「敵軍が川を渡ってしまうとますます相手の士気上がり、我が軍の士気ますます下がりまするぞ。今から打って出て川の中程で戦い、川を渡ってくるのをなんとか食い止めましょうぞ!」
 それに対して景虎は、「わしが合図するまで動くでない。たき火に当たるなり、酒を飲むなりしてゆっくりしておけ」などとのんきなことを言います・・・
 さて、そのうちに敵軍のほとんどが川の中に入り、さらに1/3あまりが川の中からこちらの岸に渡ってきました。しかし冷たい風に吹かれ、深く冷たい川の中を渡って来るうちに、手足が凍えきったようです。動作がひどく鈍くなり、武器を取り落としたりしています。
 それを見た景虎は豹変します。「かかれ!かかれ!かかれ!」と激しく叫び、采配をふるいます。そして敵軍の兵は削り取られ、あるいは川の中に追い落とされてしまいました。まあ、激しい戦いも局所的に起きたようですが最後は敵軍総崩れとなり逃げ出しました。
 「皆のもの、勝ち鬨(どき)じゃ、えいえい、オー!」めでたし、めでたし、景虎、15の冬であった・・・・(『天と地と』海音寺潮五郎著より簡単にまとめたもの)
 景虎の戦略が見事にはまった訳です。景虎は勝つために広い視点から環境・状況を探りました。自分が戦いに利用できる手持ちのリソース(資源)は800人の兵士。対して敵は6000人以上。まともにやり合えば話になりません。そこで彼は戦いに利用できるリソースを環境内に探します。そして深い川とそこを流れる冷たい水、そして吹きすさぶ冷たい風雪などを戦いのリソースとして利用したのです。
 そして味方はゆっくり休ませます。敵軍の数と気勢に味方が萎縮しますが、その様子さえ敵を渡河に誘い出すためのリソースとして利用してしまいます。
 敵は勢いよく川を渡ったものの、寒さに凍え、まともに戦う能力を低下させてしまいました。後は800人の気力・体力の充実した兵士で、岸に上がったまともに戦えない2000人をやっつけ、川の中に追い落とし、勝利を達成したのです。
 敵軍の将は兵の数と士気の高さだけに頼って単純な力押しをしたのです。景虎は逆に、広い視点で利用可能なリソースを見つけてその利用方法を工夫し、少ない兵で勝利をものにしたわけです。

 実はこの戦略はリハビリでもそのまま応用できます。ただリハビリでは「『戦略』、つまり戦う計画・作戦」と言うと変な感じなので「『治療方略』、治療のための計画・作戦」と言い換えます。
 そしてCAMRというのは実は治療方略の体系なのです。
 たとえば脳卒中を従来のリハビリはどんな視点で見ていたかを考えると、主に「障害」だけに焦点を当てていました。障害を理解すれば、「良いリハビリができる」と考えていたわけです。
 脳卒中の場合、伸張反射の亢進など強い陽性徴候と筋力や随意性の低下などの陰性徴候が現れます。それで「陽性徴候は抑制して、陰性徴候は促通しよう」という治療方略が自然に、単純に生まれてくるのです。(ただこの陽性徴候・陰性徴候のアイデアは約1世紀前にJacksonが提案した仮説に過ぎないものです。現在もこの古い仮説に従って治療方略を立てているのです)
 これは勝敗を「兵力」だけで考えていた敵将の考えに似ています。おまけに有名な治療技術など身につけると単純にそれで押し込むだけのワンパターンの治療方略になりやすい(^^;)
 CAMRでは、障害だけでなく、人の運動システムの作動の特徴や環境や変化する状況、患者さんの気持ちなどにも注意を払います。運動はそれらの相互作用から生まれると考えるからです。
 景虎が学んだ孫氏の兵法も「勝敗は様々な要素の相互作用から決まってくる」と考えます。この「様々な要素の相互作用から生まれる」と考えるのがシステム論のポイントです。CAMRはこのシステム論のアイデアを基に生まれています。
 「より良い運動変化を生み出すには?」と考えるところからCAMRは始まります。そのために「人の運動システムはどんなものか、どんな作動の特徴があるか、環境との関係はどうか、状況変化にどう対応するか、障害はどんな状況なのか」といったことを考えて、治療方略を練っていきます。CAMRはそのような治療方略の体系なのです。
 まあ、答えは簡単には見つかりません。リハビリは元々難しいものです。もちろん慣れてくるとうまくいくことも増えてきますが、いつまで経っても新奇で困難な問題に出会います。上手く行かないときも多く、苦労も多いでしょう。しかし、それだけにうまく行った時の喜びは大きく、リハビリに生き甲斐を感じることもありますv(^^)だから頑張りましょう!

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人は旧型のプログラム制御のロボットか?

目安時間:約 7分

「人は旧型のプログラム制御のロボットか?」
1. AIロボットの凄さ
 最近のAIロボットの進化は凄いですね。たとえば格闘するロボットは戦いながらパンチを食らってバランスを崩して倒れます。思わぬ姿勢で倒れ込んだりします。毎回異なった姿勢で倒れるのですが、それでもなんとか毎回異なった方法で立ち上がってきます。

 実はAIロボットは、様々な立ち上がり方を設計者からプログラミングされているわけではありません。自ら様々に転んで、そこから動けるように動いて試行錯誤しながら何とか立ち上がる方法を自分で発見、修正して学習しているのです。

 実はこの一連の立ち上がり方の学習は、「人の運動システムの作動」をモデルに作られています。
たとえば赤ちゃんが最初に立ち上がる時のことを考えてみましょう。赤ちゃんは誰かに立ち方を教えられてはいません。動けるように動きながらその中から立ち上がる方法を試行錯誤し、自ら発見、修正、創造して立ち上がっているのです。

 赤ちゃんが様々な姿勢から自分で起き上がれるように、AIロボットも様々な姿勢からどのように起き上がるかを自分で試行錯誤しながら発見・修正して、課題達成の方法である「運動スキル」を創造して身につけているのです。

 ただ実際にロボットを動かして試行錯誤すると時間もかかるし、機械も摩耗して壊れたりします。それで仮想空間の中で実際のロボットの物理的性質を設定した仮想ロボットがその学習をします。たとえば短時間の間に何十万回、何百万回も倒れて、そこから起き上がる試行錯誤をしていくわけです。偶然に課題達成しそうな運動が現れると、これを修正して使える運動スキルとして学習します。これは強化学習などと呼ばれています。

 従来のように、もし設計者が「こうやって立つべき」というプログラムを入力していると想定した転げ方の時には立てますが、想定外の転げ方をしたらもう立ち上がることができません。たとえば立ち上がりに「両腕を使う」立ち方をプログラムしていると、もし転倒時に片腕を体の下に敷いてしまうと使えなくて立ち上がることができなくなります。

 しかし何十万回、何百万回と様々な転び方をしながら、そこから自分で立ち方を探索・発見・修正したAIロボットは様々な立ち方の運動スキルを創造し、学習していますので、珍しい新奇な倒れ方の状況になっても何とか新しい適切な運動スキルを生み出して立ち上がることができる訳です。

2. 一方でリハビリのセラピストの「人の運動システム」の理解は?
 一方で僕たちリハビリのセラピストは人の運動システムをどのように理解していますか?学校で習う人の運動システムはなんとなくロボットをモデルとして習うことが普通です。ロボットには設計者が意図する正しい運動があるのです。

 だからセラピストは、「人には正しい運動があるのだ」となんとなく考えています。片麻痺患者さんの分回し歩行を見ると正しい歩き方ではないと思い、正しい歩き方を指導しようとします。なんとなく健康な若者の颯爽とした歩き方が「正しい歩き方」だとイメージしているので、そんな歩き方を指導しようとします。

 そして「正しい運動感覚の入力を通して正しい歩き方を教えるのだ」などとイメージしています。

3. なんだか変だなと思いませんか?
 つまりAIロボットを作っている工学者は、「人の運動システムは動けるように動いてその試行錯誤の過程から運動スキルを自ら発見・修正・創造して学習している」と理解してします。人の運動システムの作動をよく理解して、それをモデルにAIロボットを作っているのです。

 でも人を助けるはずのリハビリのセラピストは、旧型プログラム制御のコンピュータ・ロボットをモデルに人の運動システムを理解して、アプローチしているのです。

 その考え方は、「脳はコンピュータである。脳の病傷害によって脳内の運動プログラムが失われてしまって、正しく動けなくなった。だから正しい運動感覚入力を通して正しい運動のやり方を指導・教えてあげるのだ」と考えているようです。

 まるで「人の脳は自分で運動課題達成のやり方を創造できないから、セラピストが正しい運動を教えてあげないとダメなのだ」と考えているようです。

 大変なこと!そんな低性能な脳なら、厳しい生存競争を勝ち抜けなかったはずですよね(^^;)

4. 僕たちセラピストの認識をアップデートしましょう!
 少し前までプログラム制御のコンピュータ・ロボットは最新鋭の機械でした。その機械をモデルに人の運動システムを理解するということをやってきたのです。むしろこれは当然のことです。何しろ理解しやすくなりますのでね。

 でもAIロボットを作っている工学者さん達は、真正面から「人の運動システムの作動」の理解に取り組んで、そして見事に理解してAIロボットを作っているのです。

 僕たちセラピストもそんな風に真正面から人の運動システムの作動を理解するべきです。ただ、ただ、人の運動やその場の状況を観察して、分析して理解するべきです。そうするとリハビリの方針がこれまでとは全く異なってきますよ。「セラピストが正しい運動を脳に教えてあげる」ではなく、「患者さんに運動スキル創造の能力があることを実感してもらい、運動スキルを自ら創造してもらえるようにセラピストが手伝う」といった具合です。

 CAMRは、人の運動システムの作動を「真正面から」理解することに取り組み、そして生まれたアプローチなのです。患者さんがより良い運動スキルを創造・学習するための方法論をまとめています。まだまだ未完成ではありますがね(^^;)

 人がどのように「運動スキル」を生み出すかを一緒に勉強してみませんか?

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AIロボットの凄さとリハビリの「正しさ幻想」のなんだかなーな話

目安時間:約 4分

 テレビでボクシングするAIロボットの動画を見た。自分でパンチを繰り出してはバランスを崩して転倒。そこから何とか起き上がってまたシャドーボクシングをして転倒して・・・・を繰り返す訳だ。
 テレビでは「何、訳の分かんないことやってんだ!」と嘲笑の対象にしているのだが、リハビリのセラピストとしては「凄いなあ!」と感動するしかない。
 AIロボットの凄いところは、転倒後の起き上がり方もロボットが「一から学習している」ことである。たとえば倒れた状態から自分で起き上がるやり方を自分で発見しているのである。簡単に言うと「動けるように動いて、その中から試行錯誤で立つためのやり方を自分で発見、学習している」のである。
 つまり人が運動スキルを創造するやり方をロボットで再現している訳だ。考えてみると赤ちゃんは生まれて1年頃に独りで立ち上がるようになるのだが、誰かにそのやり方を教えられている訳ではない。動けるように動きながらその中から試行錯誤して「課題達成方法である運動スキル」を自ら創造している訳だ。1人1人の立ち方が微妙に違うのも、1人1人の身体の個性が反映されるためである。
 ところがリハビリで従来言ってきた運動学習は、随分旧型のコンピュータ制御のロボットをモデルにしている。機械には設計者の意図した正しい運動があり、それをプログラムとしてコンピュータに入力してあげるわけだ。
 リハビリはこのアイデアを基にしているので、人には正しい運動の形・やり方があり、患者さんの脳に正しい運動の感覚を繰り返して入力すれば、やがて「正しい運動をするようになる」と考える訳だ。
 でも人の運動にたった一つの正しいやり方などというものはない。家の中の廊下は普通に歩いていても、氷の上ではすり足気味にヨチヨチと歩き、水田では泥から足を引き抜くために膝を高く挙げる。暗闇では前に出した足で路面の様子を探りながらちょっとずつ進み、酔っ払うと思うにならない千鳥足でバランスをとりながら歩く。片麻痺になると「分回し」と呼ばれる新たな歩行スキルを生み出して歩く・・・・
 環境や心身の状況の変化によってやり方は千変万化するものである。世界は無限に変化するのでたった一つの正しいやり方で乗りきれるものではない。
 それなのに「人には正しい歩き方がある」などという「正しさ幻想」を抱き、「患者さんに正しい運動を指導、教えてあげるのだ」というのはとんでもない勘違いである。
 人に運動のやり方を教えることはできない。自ら動けるように動きながら課題達成の方法である運動スキルを発見、獲得していくものだ。CAMRではこの人の運動システムの作動の特徴を「自律性」と呼んでいる。
 それでセラピストがやり方を教えてあげるのではなく、必要な課題を適切に設定して、課題設定のやり方を患者さん自ら発見していただくようにすることがリハビリに本来求められるものである。人の運動システムの「自律性」などの作動の特徴をより深く理解することが適切な課題設定に役立つ訳だ。

 こうして見ると人相手のリハビリ・セラピストは旧型コンピュータ制御型ロボットをモデルに人の運動システムを理解しているのに、工学系の人達はより人の運動システムの作動を理解して、AIロボットを作っているわけで、「なんだかなー、リハビリ」と思わざるを得ないのである。
 だってもしかしたら工学系の人達の方が人の運動の発生をよく理解しているので、より優れたリハビリ・アプローチを考え出すかもしれないからである。

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疾風(しっぷう)に勁草(けいそう)を知る

目安時間:約 5分

「疾風に勁草を知る」
 この意味は、勁草(風に強い草)は強い風が吹いてみないと分からない、つまり困難や苦難にあって初めてその人の強さや人間性が分かるという風に使われます。

 人の運動システムも、障害などの困難に出会うとその優れた性質が分かってきます。つまり障害に対して自律的に問題解決を図るものです。
 たとえば腓骨神経マヒが起こると下垂足が見られます。つま先がダラッと垂れ下がるため、歩いているとつま先が床に引っかかって転倒したりします。そうすると運動システムは意識から自立していつのまにか「鶏歩」という歩行スキルを生み出して安全に歩かれるようになります。
 片麻痺になると麻痺側の脚は力が出ないので振り出せなくなります。そうするとやはり運動システムは自律的に「分回し」という歩行スキルを生み出して歩かれるようになります。

 人の運動システムは障害などで困難に遭遇しても、風に為されるがままの小枝のようなものではないのです。困難にあらがって、必要な課題を達成するために何とか頑張って、工夫して問題解決を図るのです。

 でも従来リハビリの学校ではこのようには教えてこられませんでした。脳卒中片麻痺では、マヒのために筋力や協調性、随意性が低下し、さらに痙直による筋の硬さや共同運動、原始反射などの「異常な現象」が現れて患者さんは脳の障害に打ちひしがれているのだ、というイメージを学生に植え付けてしまうのです。
 これは約1世紀前にジャクソンが提案した「階層型理論」の考え方の影響が強いと思います。そしてこの階層型理論は未だに主流の考え方でもあるのです。
 ジャクソンは人間を機械のように考えていたと思います。脳が壊れた後の現象は、全て症状として見てしまったのです。機械が壊れると止まったり異常動作をしたりしますが、これは全部部品や構造が壊れたことが原因です。間違いありませんね。
 西欧ではデカルト以来、「人は神(自然)が創った機械である」という考えが思想の根底に流れているという意見もあるようです。まあ、機械と考えた方が理解しやすいわけです。

 でも人や動物は機械ではありません。人や動物の特有の作動があるのです。病後に見られる現象が全て病気の症状という訳ではないのです。症状だけではなく問題解決による現象も見られるのです。だから体の一部が傷害されてもそのまま傷害に押しつぶされてしまうわけではありません。人は腓骨神経マヒの鶏歩のスキルを生み出すように、片麻痺の分回し歩行スキルを生み出すように、なんとか問題を解決して必要な課題を達成しようとするのです。当たり前です。生きているから、動物だからです。

 たとえば弛緩麻痺の部位は、可動性のある骨格が水の袋に入っているようなものです。力が出ないばかりか重力に押されてブラブラ揺れたりして動く邪魔になります。だから痙直による硬さというのは、実は運動システムが身体内に体を硬くするメカニズムを見つけて何とか硬くする問題解決を図っていると考えられます。上肢を屈曲して硬くして健側の体に近づけると、一つの塊として動きやすくなります。
 このメカニズムは伸張反射や原始反射を亢進させて少しでも弛緩した筋を硬くすることができますし、筋固有のキャッチ収縮なども利用してより持続的に硬くしていると考えることもできます。
 さてこのように考えると脳卒中のメインの症状は弛緩性のマヒです。その後に現れる「異常」と呼ばれた痙直による硬さや共同運動や原始反射の亢進は、弛緩性マヒのある体で動き出すための運動システムの問題解決であると考えることができるのです。
 そうすると脳性運動障害の本来の弛緩性マヒの症状と、それに対する運動システムの自律的な問題解決を分けて理解できるようになって、アプローチも全く従来とは異なったものを思いつくようになります。それであっさりと問題が解決したこともあるのです。CAMRは、そのような視点で人を見ていきます。

 階層型理論は約1世紀前にジャクソンが提案した「仮説」に過ぎないのです。国家試験ではこのアイデアを正解としますので、いつのまにか教師も生徒もこれが仮説ではなく、真実であると信じてしまったように思えます。
 もちろんこのCAMRのアイデアも仮説です。でも階層型理論よりは上手く色々な現象を説明できるように思います。

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