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人の運動は無限に変化する!

目安時間:約 5分

 人の運動システムの最大の特徴は、通常の環境や状況の変化に応じて運動を適応的に変化させるところにある。たとえば歩行にしても、坂道や砂浜、砂利道、雪道、夜道、人混みの街角、葬儀会場、大観衆が見守るステージなどと環境や状況の変化に応じて歩き方は自然に変わるものである。
 このように環境や状況の変化に応じて歩き方を変化させて歩行を安定・安心の状態に維持する運動システムの作動の性質を「状況性」とCAMR(カムル)では呼んでいる。
 どうして人の運動システムで「状況性」という作動が可能になるかというと、人の運動は無限の運動変化を生み出すことができるからだ。
世界の環境や状況は無限に変化するのだが、その変化に合わせて最適の運動変化を生み出してはなんとか適応的に振る舞おうとするのである。もちろん空を飛べるわけではないので、いくらかの制限下で無限に変化する訳だ。それに常に上手く行くとは限らないが、通常の状況・環境変化はよく把握して、それなりに適切な運動変化を生み出しては適応するのである。
 この無限の運動変化を生み出す仕組みは、学校では脳が心身の状況を把握して、それに対して適応的な判断・命令をすると説明する。脳は世界に適応する責任を独りで背負っていると仮定されている。これは人間が生み出したロボットをモデルに人の運動を理解しているようだ。まあ、これも仮説ではある。真実かもしれないが、そうでないかもしれない。
 この仮説では脳が適応的な運動を生み出しているため、リハビリも脳の働きに焦点を当てて集中することになる。やるべきことは運動に対する脳の働きを高めること、となる。この考え方は日本に入ってきて半世紀以上経つが、未だに上手くいった例は正式に発表されていない。おそらくリハビリでは不可能なのだろう。
 CAMRの仮説では構造や各組織・器官の働きで説明しないので、体が持っている働きを想定して次のように説明する。
 人の運動システムは豊富な身体の運動リソース(資源)を持っている。体の持つ筋力や柔軟性は運動リソースである。たとえば筋力は単に力に過ぎない。いくら力が強くてもそれだけでは何もなしえない。何かを達成するにはその力の利用方法である運動スキルが必要である。
 運動認知はそれらの豊富な運動リソースを利用して運動スキルを生み出す能力である。身体と環境の状態を知り、それらの相互作用の結果、予期的に運動結果を知り、柔軟で適切な運動スキルを創造し、修正する能力である。運動認知は常に動くことによって適切にアップデートされる。
 CAMRでは障害を持つとは傷害や麻痺などによって筋力などの運動リソースが貧弱になることである。運動リソースが貧弱になると、それらを資源として生み出される運動スキルも貧弱になる。運動スキルが貧弱になると適切に必要な課題を達成できなくなる。また筋力や柔軟性が失われると動けなくなる。動かないと運動認知が不適切になる。
 だからCAMRではまず改善できる運動リソースをできるだけ改善することを考える。つまり運動リソースをできるだけ豊富にする訳だ。運動リソースが豊富になればなるほど運動スキルはより柔軟に多彩に豊富に創造され、修正されるようになる。
 運動リソースの豊富化にはいくつものやり方、考え方がありこれをよく知っておくことがリハビリでは重要だ。
 また運動スキルを適切に生み出すためには、運動認知のアップデートも欠かせない。脳卒中の様に体の変化が大きいと、運動認知は大きく不適切になるため適応的な運動スキルを生み出せなくなる。
 運動認知は多様に動くことで適切にアップデートされるのでこのやり方のコツを知っておく必要がある。
 運動スキルを豊富に柔軟に生み出すやり方をCAMRでは「運動スキル学習」と呼んでいる。運動スキルは入れ子状の構造をしていると考えられるので、運動スキルをより豊富にするためにはそれなりの「やり方のコツ」があるわけだ。
 以上、簡単だがCAMRの障害の理解とアプローチの流れを説明した。
 詳しくはCAMRの無料オンライン勉強会や広島のリアル勉強会で紹介している。次回は日程が決まり次第お知らせします(^^)

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陽性徴候(特に痙縮)などに関する疑問

目安時間:約 4分

 約1世紀前にイギリスの神経生理学者ジャクソンは、階層型理論というアイデアを提案した。この階層型理論の簡単なポイントは、以下の通り。
①中枢神経系は進化的に階層の構造をしている
②上位中枢は大脳皮質(特に前頭葉)など。意識的行動や思考、判断、創造性などを司る。また下位・中位の中枢をコントロール・統合する
③中位中枢は、大脳皮質下の脳幹・大脳基底核など。運動制御や自律神経系のコントロールを行う
④下位中枢は脊髄・延髄レベル(最も原始的な中枢)など。生命維持や基本的な反射等を司る
⑤上位中枢が損傷すると、下位中枢への活動のコントロール・抑制と統合が失われて原始的な反射や単純な反射などが優位に現れるようになる。痙縮は伸張反射の亢進状態などと説明される
 このアイデアは現代でも主流であり、国家試験などでもこの考え方を正解としている。学校では国家試験に合格するために、これを正解というよりはむしろ真実として教えてしまうのでいざ臨床で脳性運動障害の患者さんに接すると以下のような様々な疑問を感じてしまう事がある。
①脳性麻痺の赤ちゃんは生まれたときは低緊張だが、徐々に筋の硬さ(痙縮)や原始反射が見られるようになる。脳卒中も発症直後は低緊張だが、徐々に痙縮や共同運動が見られるようになる。この陽性徴候(痙縮、原始反射の出現、共同運動など)が弛緩状態に遅れて出てくるのはなぜか?
②伸張反射の過活動によって痙縮が現れると言うが、実際には多くの患者さんで特に伸張反射の過活動は見られない。むしろ活動性の見られない硬さが多い。それで拘縮かと思っていると上田法などの徒手療法で可動域が広がるのでやはり収縮していたのか、と驚くことがある
③伸張反射の亢進なら神経活動が伴うので、疲労が見られ減弱するはずだが、硬さが何日もそれ以上も継続している。伸張反射の過活動では説明できないのではないか?
④お風呂に入るなどして温めると緊張が解けて柔らかくなる。お風呂に入るなどして温めると上位中枢の抑制コントロールが回復するとでも言うのか?(^^;)それとも筋の粘弾性の低下?
⑤体温程度の温度のプールに入っても痙縮は緩む。むしろ重力が関係しているのでは?
⑥陰性徴候・陽性徴候のうち、陽性徴候だけが徒手療法で改善するのはおかしいではないか。どちらも症状だとしたら、どうして陽性徴候だけが改善するのか?
⑦筋の痙縮で硬いと歩けたりするが、ボトックスや上田法などで硬さが緩むと歩けなくなる。逆に適度に硬さが取れると動きが滑らかに速く、力強くなることもある。同じ痙縮の改善で矛盾した現象が見られる。これは伸張反射の亢進で説明できるか?
⑧Dietzらやその他の研究では、足関節の可動域がある子どもや成人片麻痺の方の尖足歩行中の下腿三頭筋の筋電図を調べると筋電図活動がほとんど起きていない例が報告されている。どういうことか?
 等と実に多くの疑問が湧いてくるものである。
 考えてみればジャクソンの階層型理論は、約1世紀前の仮説に過ぎないので未だにそれが主流の考え方であるというのがむしろおかしなことである。この仮説は間違っているのではないか。様々な現象を矛盾なく説明できないのではないか。


 CAMRは、これらの現象を矛盾なく説明するためのアイデアを提案している。
 是非とも勉強会にご参加下さい。現在毎月1回、無料勉強会を開催中。オンラインでの勉強会も開始しています。勉強会の詳細はCAMRのフェースブックページなどで。

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障害別リハビリテーションは必要か?

目安時間:約 5分

 リハビリの学生時代から気になっていたのだが、「整形ばかり見ているので脳卒中は分からない、手が出ない」とか「大人の整形を見てきたので、脳性麻痺の子どもたちを見てもさっぱり分からない」という話を先輩セラピスト達がよくしていた。
 それはそうだと思うのだ。つまり整形疾患や脳卒中、脳性麻痺にはそれぞれ知っておくべき知識と配慮があり、まず基本それは知っておくべきだと思うのだ。だからそれぞれの分野に移れば知識や配慮の再学習や再獲得をまず目指すべきだと思う。
 そう言うと、「いやいや、障害の原因と質がとても違うので、それまでのやり方がほとんど通じなくなってしまうので、知識だけの問題ではない」と指摘される。脳性運動障害では広範囲に麻痺が出てリハビリでは治らない。整形では元のように治るのでリハの方針も評価も考え方もアプローチも丸っきり違ってくる。全体像が丸っきり異なってしまうのが当たり前で、知識や配慮のレベルの問題ではないのだ」と言われたりする。
 何が気になるかというと、もし整形領域に就職すると先々脳性運動障害は見られなくなるのではないか、ということだ。最初にどこに就職するかでやれる職域が決まってしまうのではないか、と心配したのである。
 ただそんな話を聞いているうちに、どうも納得できないところが膨らんでくる。たとえば先輩セラピスト達の言い分を聞いているとどうも整形疾患と脳性運動障害の違いは、自動車とテレビの違いくらいの感覚なのではないか、ということだ。自動車の修理工はテレビを直せないし、テレビの修理屋は自動車を直せないと言っているように感じてしまう。電気製品と機械製品は基本的に違うのだ、ということなのだろう。
 でもリハビリで対象とするのは同じ人の運動システムである。機械製品と電気製品のような別物ではない。その同じ人の運動システムの障害の原因となっているものが、筋・骨か神経系かの違いである。それにそれらは元々一緒に動いているものでもある。神経系と筋骨系は一緒に動いているのであるから、そこまで人の体を分けて考えることもないだろうと思う。
 CAMRでは人の運動システムは構造や各組織・器官の働きで理解するだけではなく、運動システムの作動の特徴でも理解する。自律性や状況性の作動の特徴は、どの障害でも関係なく同じように見られる。
 たとえば「状況性」の作動とは、「人は無限の状況変化の中で、運動を無限に変化させ、できるだけ適応的に振る舞おうとする作動」である。
 「(機械のように)人には正しい運動の形・やり方がある」などと考えていると、「人の運動が無限に変化する」ということを聞いてびっくりされるが、日常生活の様々な活動を見てみると確かに人は同じ動作や運動を繰り返さないものである。歩くことを考えても坂道や段差、狭い道、混雑した道など歩き方は常に変化しているのである。
 この「無限に運動を変化させる仕組み」は、人の運動システムが豊富な運動リソース(運動の資源:柔軟性や筋力、持久力、感覚など)を持っていて、それを基に無限の運動変化を生み出す運動スキルを状況変化に応じて生み出す能力を持っているからだ。
 障害を考えてみると、筋力や柔軟性、持久力、感覚などの運動リソースが失われてしまうので、それを基にした運動スキルも多彩に生まれなくなり環境や状況の変化に適応的に運動や行動を変化させることができなくなった状態である。
 だからまず必要なのは、筋力・柔軟性・持久力などの身体のリソースを豊富にすること。また利用可能な環境内の道具や設備等の環境リソースを豊富にすることである。そしてこれらの増えた運動リソースを基に多様で柔軟な運動スキルを生み出す練習をすることである。
 そう考えると、整形疾患だろうが脳卒中だろうが、脳性麻痺だろうがやることは同じだと考えられる。もちろん運動リソースの増やし方や運動スキルのやり方の方法が障害毎に知識や理解、配慮が必要だというだけのことである。
 「神経系の障害と筋骨系の障害は違う種類の障害だから」と言うのは、あまりにも人の体を分解して、それぞれの部分に関する知識やアプローチを専門化しすぎて理解するせいだろうと思う。人の運動システムを分解して見ていては全体像が理解できなくなる。
 リハビリのセラピストは筋肉・関節や神経の身体部分の専門家ではなく、患者さんが必要な生活上の運動課題を達成できるように運動システム全体の専門家であってほしいものである。

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人の運動システムは勝手に「問題解決」する

目安時間:約 4分

 人の運動システムのもっとも基本的な役割は、人にとって必要な運動課題を達成することである。危険が迫ると逃げようとするし、お腹が減ると食べ物を探す。町を歩いていてもお腹が減ってくると、たとえ意識していなくても急に食べ物屋の看板が目につくようになる。
 実際に運動システムは日常的な動作の多くを意識からある程度自律して処理している。体の姿勢保持や歩行の調整、反射的な動作、内臓機能との連携といった複雑な活動は運動システムが意識から自律して行っている。
 人の運動システムは意識から自律してその人に必要な運動課題を達成しようとするのが普通なのである。
 運動システムは意識に支配されているというイメージが強いが、元々そのような自律的な課題達成や問題解決の作動をする性質を持っている。それが一番強く表れるのは、必要な課題達成が障害などによって達成できなくなるときに現れる「問題解決の作動」である。
 たとえば腰椎ヘルニアになると、少しでも動くと強い痛みが出る。そうすると痛みが起きにくい方向に脊椎の側屈などが起こる。またそのまま体幹部を硬く固めて動かないようにしてできるだけ痛みを軽減しようとする問題解決の作動が起こる。腓骨神経麻痺では、下垂足が生じてつま先が床に引っかかって危ないので、鶏歩などの歩行スキルが生まれて転倒を避けようとする問題解決が起こる。片麻痺後には、患側下肢が麻痺で振り出せなくなる。そうすると健側下肢を中心に体幹を回旋して患側下肢を振り出すための「分回し歩行」スキルのような問題解決の作動が現れるのである。
 それでCAMRでは、このような意識から自律して必要な課題達成を行ったり問題解決をしたりする作動を、「自律性」と呼んでいる。
 約100年前に英国の神経生理学者のジャクソンは、脳性運動障害後に筋が硬くなる現象を健常者には見られない「陽性徴候」という分類の症状として説明した。上位中枢の抑制が失われて下位レベルの機能が解放された「症状」という仮説を提案した。
 まるで風に吹かれる柳の枝のように、人の運動システムも傷害に翻弄されるままのようなイメージを持っているようだ。
 しかしCAMRでは、「人の運動システムは自律的に問題解決をはかるものだ」と考えるのでそれとは違う仮説を提案している。
 つまり脳性運動障害後の主症状は弛緩性の麻痺である。つまりジャクソンのいう陰性徴候である。弛緩状態の手脚は水の入った袋のようなものである。支えられないどころか重りになってぶら下がるし、揺れて重心を乱す。これでは動けないので運動システムは勝手に問題解決を図るのである。
 つまり筋肉を硬くするようなメカニズムを利用して筋肉を硬くするのである。伸張反射や原始反射はある程度筋の緊張を高めることができる。
それに筋自体が持っている筋肉を硬くするメカニズムがある。二枚貝の平滑筋で見られるキャッチ収縮を起こす同じような蛋白群が脊椎動物の横紋筋に存在することが研究で報告されている。
 筋肉が硬くなるのは、症状ではなく脳性運動障害後の弛緩状態の体を硬くして動くための運動システムの自律的問題解決ではないか、と考えるのである。
 そうすると臨床で脳性運動障害後の症状群の中でよく見られる、筋肉の硬さだけが改善する理由も納得がいく。筋の硬さは運動システムが障害後に問題解決の作動として生み出したものなので、他の症状は改善しないのにこれだけは改善する訳だ。
 また柔らかくなった筋肉が硬くなる過程で、伸張反射の亢進現象が見られているわけでもない。静かに、静かに硬くなることも多いのである。
 学校では国家試験に受かるために、ジャクソンの仮説に過ぎないアイデアを真実のように、あるいは真実として教えてしまうので、臨床経験とは全く矛盾した説明になっているのに、その仮説の方を信じてしまっているのである。

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CAMR無料 Online 勉強会のおしらせ

目安時間:約 1分

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 日時は6月25日木曜日20時00分時間は30分から1時間を予定しています。

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