木曜日のつぶやき 12

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木曜日のつぶやき 12


ニードの話 おまけ


 秋山です。今年も余すところ半月となりました(^^;)なぜか焦ります・・・


 ニードについて、日頃から疑問に思っていることです。CAMRとは直接関連はないです。まさに個人の感想です。


 クライアントが生活の中で改善したいとか、やってみたい活動を支援していきたいと常日頃思っています。一応作業療法士なんでね。ただ、その範囲というか、規模というかどこまで関わればいいのか、悩めるところです。


 クライアントが「仏壇にお線香をあげたい」と言われたら、私は間違いなく飛びつきます。居室から仏間までの動線、椅子が良いか、火の始末はできるか等々。


 では、「近所にある墓に参りたい」なら?これも取り組みます。お墓まで経路はどうか、徒歩か車か、段差や坂があるのか、路面はどうか等々。場合によっては車で近くまで行って墓の見えるところからお参りしましょう、となるかもしれません。


 じゃあ、「故郷の北海道(今は広島に住んでいるとして)の両親の墓に参りたい」となると?経路といっても、それはもうお金を出す人の意向によるものでしょう。クライアントには、移動に必要な体力や基本動作を高めましょうと言うでしょう。


 なら、「私の父はハワイの日系2世だった。ハワイの先祖の墓参りに行きたい」にどう応じるか。これはもうご家族に頑張っていただきましょう。資金と人的資源があれば達成の可能性は十分にあります。


 真のニードを探るために、クライアントが口にした「望み」を重要度や優先度で順位付けようとしたり、「もっと大事なことがあるでしょう」と言うのは、セラピストの価値観によるものだと思います。その望みの価値は、その人にしか決められない。セラピストが口出しすることではない。ただそれは「迎合」することでもない。私たちができることは、クライエントに対し担当セラピストとして仕事で接する場面で提供できることは何か、また希望は希望として置いといて、他に達成可能な活動もあることを提案してみることだと思います。


 心の中で何を一番の望みと思うかは、その人の問題です。達成可能とセラピストが思うものにすげ替えなくても、2番目でも3番目でも、何番目でもいいからクライエントが「できそうだ」と思えることから取り組み、世界とのかかわりを再構築していってはどうでしょうか。    (終わり)


【CAMRの最新刊】

西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」

西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(後編): 生活課題達成力の改善について」


【CAMRの基本テキスト】

西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


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西尾 幸敏 著「脳卒中あるある!: CAMRの流儀」


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西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


【CAMR入門シリーズの電子書籍】

西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①

西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②

西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③

西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④

西尾 幸敏 著「リハビリの限界?:セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤


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木曜日のつぶやき 11

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木曜日のつぶやき 11


真のニードは実在するのか⁈


 その3年末がどんどん近づいていますが、体感的には11月上旬の秋山です。※個人の感想です。 


 さて、真のニードについてです。


 「真」とは何か?真があるのなら偽があるのか?誰が真と決めるのか?真のニードって1個なのか?いくつもあるのか?こんな疑問がありました。なんか屁理屈っぽく聞こえますね。そう、私も自分で難癖付けてるだけなような気がしていましたが、どうにも腑に落ちない。自分に置き換えた時になかなか思いつかない。


 そこでこう言い換えてみました。「この時代、この地域、この年齢、この性別、置かれている社会的環境、持っている・または損なわれている能力(心身の状態)ならば、普通こうあるべきなんじゃないのと世間が受け入れやすい」ニード。これだとすっきりする。


 こういうと皮肉すぎるかもしれませんが、本人が口にしたことや望んでいることが真のニードとは限らないというなら、それが真かどうか判断する基準や人がいるということになります。それにポジティブなものであることも要求されています。これは大変だ。高潔でも清廉でもない私が職業という場面でこれらに関わるのはとても難しい。


 繰り返しますが、真のニードというものを否定しているのではなく、そういう概念を医療的リハビリテーションという場面で扱いきれるのか、正面からガッツリ取り組んでクライアントに変化をもたらすには時間などの条件が限られすぎているのではないか、時間がかかりすぎるのではないかということです。


 CAMRでは、真のニードという固有のものがあるとは考えず、ニードは状況により変化するものとして扱います。ニードは変わってっていいんです。変わるもんなのです。


 発症直後は悲観的か楽観的過ぎて、「適切なニードを持てていない」とみなされることがあります。その時にニードの方を修正するのではなく、それはそれで置いといて、「これなら〇〇ができるかもしれない」「〇〇は難しいな。まず△△からだな」と思ってもらえるような状況変化を起こす課題を提供するのがセラピストの役目です。


 状況変化の結果、何がしたいかと思うのはクライアントの問題です。


 身体状況が大きく変わって、これまでのやり方では世界と関係を取り結べなくなってしまった。そんな時にまずやるのは、何をしたいかの追求より、自分が世界の中でどう動けるかを経験することだと思います。そしてクライアントが自分の「やりたい」をかなえていくのに、クライアントとセラピストが置かれている環境(関係性)の中で、今ここでできることを協働していきます。


 運動機能だけにこだわってはいけないと思いますが、運動機能に関われる数少ない職種が早々に運動を諦めてしまったら、状況変化の大きなチャンスをつぶすことになるのではないか。そのことは頭に入れておきたいものです。(終わり)


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木曜日のつぶやき 10

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真のニードは実在するのか⁈ その2


 秋山です。従来型アプローチとCAMRの違い2014年OT学会編、続きです。【セラピストの考え】


従来型:クライアントは障害により、適切な目標を持つことが難しいのでどう努力して良いかわからない。クライアントは早く適切な目標を持つべき。


CAMR:クライアントは病気や怪我によって変化した体で、世界にどのように接して良いかわからない。クライアントは早く世界との関わり方を安定させた方が良い。


【Good points】


従来型:クライアントは自分にとって適切な目標を意識することで意欲が高まる。セラピストはクライアントにとって大きな役割を演ずる満足感がある。


CAMR:クライアントは目の前の課題の成功を積み重ねることで、日々達成感を得ることができる。原因を探らないで、身近で達成可能な課題を考えることは、セラピストにとってはわかりやすい


【Bad points】


従来型:クライアントの目標の達成は先延ばしになりやすい。または達成できない。内なるニードと言ってもセラピストの関わりが多く、セラピスト主導になりがち。


CAMR:「クライアントは体の動きにこだわってしまう」と思われやすい。セラピストはきっかけなので、自分の役割の重要度は低いと感じるかもしれない。


 こうしてみると従来型の目標指向も悪くないですね。


 そうです。決して否定しているのではないのです。クライアントとセラピストが今いる場所はどういうところなのかによるのです。


 医療保険にしろ介護保険にしろ公的保険の職場では、セラピーの時間、期間、場所、内容にさまざまな制約がかかります。じっくり時間をかけて・・・というわけにもいきません。最近は成果を上げることを、より厳しく求められています。


 こう書くと、「では、CAMRは従来型の時短バージョンなのか?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。決定的に違うところがいくつかあります。その一つが「ニードのとらえ方」です。  (続く)


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木曜日のつぶやき 9

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真のニードは実在するのか⁈


 秋山です。


 「木曜日のつぶやき」投稿は西尾代表の投稿お休みの間、このページが埋もれてしまわないように私なりの解釈を綴って投稿しています。自転車操業のため、ぎりぎり木曜の投稿も珍しくありません・・・。


 そんな中、明日までに視聴しておかねばならない研修ビデオの存在にさっき気づいて慌てています。かといって、今週はお休み、というのもふがいないので、過去の発表から。


 2014年のOT学会で従来型アプローチとCAMRの違いを、ニードや目標のとらえ方という視点で発表しました。今見返すと、「従来型は良くない!」という論調になっていたことに気づきました。正しいのはどっちかではなく、まず相違点やそれぞれの長所短所を認識する必要があるということを頭に入れたうえで再掲してみます。


【枠組み】


従来型:目標を明確にしてそれに向かうことが重要。原因に焦点を当ててアプローチ。


CAMR:身の回りのできることが増えていくことが重要。原因は追究せず運動余力の改善に焦点を当ててアプローチ。


【ニード】


従来型:クライアントには真のニードがある。


CAMR:クライアントのニードはその時その時の状況によって変化する。


【セラピストとの関係】


従来型:クライアントは自分の真のニードに気づき、目標を設定し、そこに向かうためにセラピストの助けを継続的に必要とする。


CAMR:クライアントは自律的な運動問題解決者として振る舞うためにセラピストの助けを一時的に必要とする。もう8年前のことなので、変わってきている部分もありますが私自身の出発点としては根本は同じです。あ、なんか続いてしまう・・・。(続く~)


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木曜日のつぶやき 8

目安時間:約 4分

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リソースってなんだっけ? その3


パフォーマンスの変化は短期間で起こる⁈


 寒いです。今朝はストーブつけちゃいました。秋山です。


 さて、無事に岩場を登れました。しばらく進むとまた同じような岩場が!また一から繰り返し・・・よりかは、今度は上手く登れます。何が変わったのでしょうか。


 身体リソースがアップした?筋力はそんなにすぐにはつかないでしょう。ストレッチなどで柔軟性の一時的な改善はありますが、今回は考えにくい。登山道という自然の環境なので全く同じ形の岩場ではありませんから環境リソースに変化がないとは言えませんが、そう大差はないでしょう。新たな道具は追加されていないとします。個々のリソースには変化がないとすれば何が変わったのでしょう。


 一度経験したことによって、この登山靴ならどれくらいの窪みがあれば足場となるかがわかりました。岩の角を持って体をひっぱり上げる時の手足の位置、岩にはりつかずに、少し上体を離すようにした方が安定するということに気がつきました。これらは一つ一つが意識され言語化されているわけではありません。けれど、いざ動くとなると前よりは「上手く」なっています。身体と環境との関係性が変化してパフォーマンスが変化したのです。


 また次の岩場では、さらにうまくなる(「これは無理だ」と逆の判断も的確にできる)でしょう。主体的に動くことで関係性がアップデートされていくのです。


 西尾さんのシリーズ「運動リソースとリハビリ(最終回)198週目」には、「このように動くことによって生まれる身体と環境の関係の変化は新たに情報リソースを生み出し、それによって新しい運動スキルが導き出される」とあります。行為者は運動リソースを身体リソースと環境リソースに分類してはおらず、情報リソース=「身体と環境の関係が生み出す運動システムにとっての意味や価値であり、課題達成方法の導き」(同投稿より)として捉えています。


 まだまだ十分理解できていない「情報リソース」に少しは近づけたかな?情報リソース自体が発展中の概念なので、アップデートしながら関係性を変化させていきましょう。(終わり)


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木曜日のつぶやき 7

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リソースってなんだっけ? その2


 さて、プチ岩場攻略の続きです。初めての場所で、あまりやったことのない動きをするわけですね。新しい運動課題です。


 周りを見渡して、足を置けそうな場所はないか?あの石の角には右足がしっかり置けそう。その上の窪みに左足をひっかけられるな。濡れて滑りそうだな。無理そうだな。左寄りの窪みならいけるな。右手でこの木の枝を持ってどっこいしょっと。この登山靴はグリップがいいから、あの岩の斜面も行けるな。よしよし、ちょっと高いけど、あの木の根っこに足を置いてと。


 おっと、支えにつかんだ石は浮石だよ、危ない危ない。思ったほどの高さでないから、踏ん張れば・・・よいしょっと。ふう、上がれた。


 実際はここまで意識的ではないです。けれど直感的というのもしっくりこない。身体リソースと環境リソースを照らし合せてルートを決めて、あとはえいやっというわけでもない。目の前のものから一つ一つ試行錯誤するわけでもない。予測して実行し修正。修正は体の動きを変えることもあれば、短い経験の中からでも、使えないとしていた環境が使えるものとして意識に上がることもあります。


 上手くいかずに、一からやり直しということもあります。


 岩場には無数の環境リソースがありますが、自分にとっての環境リソースとなると、その人の状況によって異なります。熟練者であれば、こんな岩場は足場だらけで「どう通っても登れるじゃん」と言うでしょう。初心者は初めは「む、無理です」と思っても、経験者から「ここに足を置いたら、次はここへ」と教わるうちに自分が使えるリソースを見つけられるでしょう。


 空荷か、重いザックを背負っているか。疲れているか。その時の状況によって自ずと絞られてくるという印象です。続く~


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木曜日のつぶやき 6

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木曜日のつぶやき 6


リソースってなんだっけ? その1


 初めまして、情報リソースです


 静かーに利用者さんの血圧を測っていたら、お腹が鳴りました。ごまかしきれませんでした。秋山です。経験あるよね⁈


 「歳のせいという勿れ」の一つ前のシリーズに、「情報リリース」という新しい内容が出てきています。生まれたてで、まだふにゃふにゃしていますが、人が運動問題をどう解決していくかを考えるには重要なものです。といっても、私はまだよく理解できていません。


 「アフォーダンスではダメなのか?」と聞いたのは私です。


 身体リソースと環境リソースをクライアントとセラピストで協同で探索してリソースを増やし、課題を通してスキルを多彩にするというのはわかりやすい図式です。ですが、意識的すぎるというか、行為者が実際に運動する時にこんな風に分けているかという疑問がわいてきます。身体能力と環境を突き合わせ設計図を作り、それを基に運動するというイメージが浮かんできますが、そうなのか?


 CAMRはこれまでセラピストが訓練場面で役立てることができるように新しい見方を提案してきました。読み手としては、セラピストとして何らかの結果を出すことを期待しているでしょうし、これからもそれに応えていきますが、ここでちょっと一休み。


 人が新しい課題に直面した時どうするかを、自分だったらどうしているかという視点で振り返ってみようと思います。


 とある秋の日、とある山に登っています。落ち葉を踏んで歩く登山道は整備されて快適です。だんだん上りがきつくなり、おーっと、ひょいひょいとは歩けない岩場が出てきました。何とか上がれそうだけど、足をあげただけでは届きそうにはありません。持って支えになりそうなでっぱりや、横には木の枝があります。昨日の雨で濡れているところがあります。初めてのコースです。


 「いや、私インドア派だから。こういう課題に直面しないから」と言わず、ちょっと考えてみましょう!手練れの登山家も初心にもどってね。


その2に続く。


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木曜日のつぶやき 5

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「歳のせい」と言う勿れ を読む!その5


一生懸命何をする⁈


 炬燵出してしまいました。秋山です。


 前回、「一生懸命」が患者さんを置き去りにするというようなことを書きましたが、一生懸命を否定しているわけではありません。一生懸命仕事をするのは大切です。問題は、何に対して一生懸命か、ということです。


 何がやりたいか、将来どうなりたいかを目標に、それに向かって頑張るというのは今のリハビリ分野では当たり前のようになっています。もちろん、これでうまくいくこともあります。


 けれど、病気や怪我で心身の状態が大きく変化(ほとんどが損なわれる方向で)して自分の身体を持て余している時に、「やりたいことは?」と尋ねられても上手く答えられなくても不思議はありません。


 そんな時期に、あまり先の目標を一生懸命になって決めようとしても患者さんは戸惑うかもしれません。大きな目標はとりあえずざっくりしたものを据えといて、状況の変化につれて患者さんに形作っていっていただけばよいのです。


 では、セラピストは何に一生懸命になればよいのか?患者さんは障害を負ったために世界とのつながり方に齟齬をきたしています。今までのやり方が通用しない中、それでも何とかしようと試行錯誤します。上手くいくかもしれないけど、できなくて諦めたり袋小路にはまり込んだりします。


 ここでセラピストの出番です。


 患者さんが世界と新たにつながるたことができるよう、安心して試せる場面を提供します。ちょっと頑張ればできるようになる挑戦的で達成可能な、しかも実用に結び付くと実感できる課題を設定するのです。


 このような課題設定には結構頭を悩ませます。今の自分にちょうどいいと患者さん自身が納得している必要があります。達成できたら次の課題を考える、の繰り返しです。腕の見せ所といえるような余裕はなく、いつも自転車操業ですね、私の場合。


 今回は一生懸命を一生懸命伝えようとするあまり、空回りでした、はい。 次回はちょっと別のテーマになるかも?ならないかも?


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木曜日のつぶやき 4

目安時間:約 4分

「歳のせい」と言う勿れ を読む!その4


「セラピスト主導」の反対は「患者主導」ではないのだ⁈


 寒いです。炬燵を出したい秋山です。


 CAMRの治療方略の中に、「クライエント-セラピスト協同治療方略」というのがあります。私には特に思い入れのある考え方で、CAMRの根幹にかかわるものと思っています。個人の感想です。


 ほとんどのセラピストは患者さんを下に見ていないし、「セラピストが主導します」とも思っていないでしょう。患者さんの思いに寄り添って何とかしてあげたいと一生懸命です。ですが、この「一生懸命」が患者さんを置き去りにしてしまうという危険をはらんでいるのです。


 「セラピスト主導」を反省して、主導権は患者さんにあるというのは一見発想の転換にみえますが、実はコインの裏表です。どちらか一方の答えに従うという点では同じ枠組みと言えます。主ー従が反転するだけです。


 「セラピスト主導」を改めるのならば、患者さんとセラピストがそれぞれの立場で協同して事に当たる枠組みへシフトするということになります。


 患者さんとの協同という考え方は、医療界全体でもだいぶ浸透してきているようですが、どうもうまくいかない時がある。その要因の一つに、「正しい答えは専門家であるセラピストが持っている。持っているべきである」という信念が抜けきれないということがあります。患者さんの話をよく聞いて、患者さんが納得して訓練に取り組めるよう一緒に工夫しあっていても、根本がセラピストの答えなのなら、そしてそれを患者のためと一生懸命にやればやるほど患者さんが置き去りになってしまうことがあります。

次回に続きます。


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木曜日のつぶやき 3

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日曜だけど木曜日のつぶやき 3


(木曜に投稿したつもりだったのですが、アカウント間違いで遅延しました・・・)


「歳のせい」と言う勿れ を読む!その3


腑に落ちると、自分のものになる⁈


 今朝あわてていて、履いた靴下の指先がちょっと薄い…。ハラハラドキドキだった秋山です。訪問なので、靴脱ぐんです。今日の内容はリメイクです。焼き直しです。自分の過去の投稿が元ネタなので、パクリではないです(^^;)


 10年近く前に、「CAMRの旅 お休み処」という用語や概念のミニ解説シリーズを書きました。CAMRは日々進化しているので、ちょっと合わなくなってきているものもありますが、今も昔も変わらないものを再掲します。


 CAMRの旅 お休み処 その3


「人は生まれながらに運動問題解決者2 ~では、セラピストは?~」2013/1/24 (抜粋)


 CAMRで言う「自律した運動問題解決者」は、セラピストに対しては道徳的なスローガンではありません。抽象的な概念を努力目標として据えているのではなく、専門職としてクライアントが主体的に動ける状況を具体的にどう作るかを問うものです。


 「実践から生まれ、実践に役立つ」所以です。


 書いてしまうと簡単そうですが、現実には、「クライアントのために」されていることがクライアントを置き去りにしてしまっていることは少なくありません。言葉での説明だけでは不十分で、クライアントが実感できる、自分の文脈の中で腑に落ちた時に、いきいきと課題に取り組まれます。(以下、略)


 運動が続かない患者さんを「やる気がない」「依存的」というのは簡単ですが、常に前向きで意欲的なのが当たり前ではありません。必要性を理解していれば継続して実践できるはず、というわけではないのです。


 と言っても、患者さんは何もできない、やろうとしないものだというわけでもありません。問題を解決しようとするけれど状況が変わってこれまでの方法では上手くいかず困惑している状態です。


 最近は「黙って俺についてこい」的なセラピストは少ないと感じます。大抵の場面で患者さんに納得してもらってやる気を引き出して・・・と頑張っています。


 ただ、「説明と納得」にとらわれると、言語的に正しく理解させようという姿勢になりがちです。これは困惑している患者さんには良い手ではないことも多いです。ちゃんと理解される方ももちろんおられます。正確な理解というより、理詰めの説明が肌に合う場合もあります。無自覚にしてもセラピストの枠組みで理解するということを患者さんに強いていることはないでしょうか。


 次回は患者さんが自分の枠組みで腑に落ちるような技術、クライエント―セラピスト協働治療方略についての予定です。できるだけ具体例を入れるようにと思うのですが、今回は抽象的でつまんなかったですね、反省。


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