「リハビリのセラピスト」という仕事

目安時間:約 6分

「リハビリのセラピスト」という仕事


 リハビリ学院の同期生が還暦を迎えたので集まった。話を聞いているとみんなそれぞれに自分なりの理学療法・作業療法の進め方を身につけていることがわかる。


 それで思ったのだが、リハビリのセラピストという仕事は、一から自分なりのやり方で自分なりの方法論を身につけて行くものだと思った。それぞれの方法論は実にその人らしさに溢れているからだ。


 確かに学校で習ったこと、講習会で習った知識と技術でスタートしているが、やはりそれぞれの個性と職場環境でその後の展開は大きく違っている。


 患者さんの笑顔がエネルギーの者もいれば、自分の一生の仕事として面白さを求める者もいる。興味のあることを中心に探求する者もいる。自分なりのやり方で40年近く自分なりの理学療法・作業療法の体系を作ってきたわけだ。


 そんな話を聞いてとても嬉しかった。


 というのも最近は「リハビリの仕事は面白くない」という若いセラピストの話を聞くことが多かったからだ。どの患者さんにも同じような訓練を繰り返したりしているわけで、まあ、工場の流れ作業のように同じ作業を繰り返しているように見える。自分の仕事が生み出す結果よりは、決められた手順を再現することが目的のように見える。これでは面白くないだろう。


 実際に「リハビリの仕事は給料が安いから辞めて、工場に就職した」という話も聞いた。同じ流れ作業なら給料の高い方を選ぶわけだ。


 最近はマニュアルだとかガイドラインだとかEBMだとか言われて「科学的に正しいやり方」が決められてしまっているようで、そこから外れにくくなっているのかもしれない。


 僕たちの時代(約40年前)は、僕たちセラピストの卵に求められているのは、「生活課題の達成力を高める」などという非常にシンプルで具体的な結果であった。ただ「正しい方法」は学校で習うものくらいで、教科書通りにいかないことはすぐに実感したので、自分なりに結果を求めて、やり方を探し求めていた感じがある。なにをしたら良い結果が出るかを自分自身で考え、試行錯誤して生み出していたわけだ。


 その良い結果とは、患者さんの笑顔であったり、活き活きとした表情であったり、単純にできなかった生活動作ができるようになることだった。自分なりに良い結果の基準も持っていたわけだ。


 今は「正しいやり方はこうだ!」とか「効果のあるやり方は科学的に証明されている!」と周りの権威者達に決められ、与えられてしまうのかもしれない。なんだか「リハビリの結果より、方法の方が重要である」という錯覚が生まれやすいようだ。あまりに周りの大人達が自分の価値観を押しつけ過ぎなのだろう。リハビリ教育の高度化・専門化とはこんなことだったのかと思うと少し残念である。


 「正しいやり方」を押しつけたところで、患者さんもセラピストもそれぞれの個性があって、その出会いの中で毎回異なったやり方が生まれるのが当たり前である。工場の流れ作業のように同じ部品が流れてきて、同じ動作を繰り返すと大体同じ結果に終わる仕事ではないからだ。


 学校や講習会で得た知識は、自分の個性と毎回出会う異なった個性の患者さん達とのセッションを繰り返しては、自分なりのやり方が一から組み立てられていくわけだ。だからこそ一人一人がどんな結果を追い求めるかが重要なのである。 


 若いセラピスト達には、「生活課題の達成力の改善」のようなシンプルな結果を求めて、自分なりの方法論を試行錯誤しながら身につけていって欲しいと思う。


 もちろん全て我流で一から始めるのは大変なので、大人達の意見を参考程度にすれば良い。色々と異なった意見も聞いて、自分なりのリハビリ訓練の体系を見つけていってもらいたいと願っている。そうすれば仕事は自然に面白くなるよ!(終わり)


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西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」

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状況を変えてみることの大切さ

目安時間:約 7分

状況を変えてみることの大切さ


 ここでも再々紹介しているが、「新生児歩行の消失」は一般に脳の未成熟と説明される。


 つまり生まれてまもなくは脳が未成熟で、脊髄レベルの原始反射である新生児歩行が見られるのである。しかし数ヶ月すると脳が成熟して、原始反射である新生児歩行を抑制するので消失するのだ、と。なるほど、確かに上手く説明しているように見える。


 しかし新生児歩行の消失した乳児をお湯に浸けると再び新生児歩行が生じるので、脳の未成熟の説明はおかしいということに気がつく。


 それで色々調べて見ると実はその時期、下肢の脂肪が急激に増えて,下肢重量の急激な増加で相対的な筋力低下が起きる。それで下肢が持ち上がらなくなることが消失の原因だとわかるわけだ。


 つまり一つの現象は,このように異なった状況で観察してみるとその実相が見えてくることが多い。


 たとえば立っていると患側下肢を屈曲して持ちあげ、健側下肢だけで立っている片麻痺患者さんに出会う。従来なら「屈曲共同運動が出現している」などと評価し、「それを抑制するのだ」などとセラピストの手足を使って抑えつけようとしたりする。だがなかなかうまく行くものではない。まあ、ともかく従来の見方で言えば、陽性徴候である「屈曲共同運動が強い、下肢の屈曲筋の緊張が強い」などと言われてしまう。


 しかし少し状況を変えてみよう。


 患側下肢に訓練室に転がっているプラスチック製の短下肢装具を装着してもらう。合わないところは布やスポンジを当てて足関節をともかく安定させる。


 そうしてそれで立っていただき、装具を装着した患側下肢で荷重練習を一瞬していただく。そうすると先ほどまでしつこく出ていた「屈曲共同運動」なるものがまったく見られなくなる。


 そうなると解釈はまったく変わってくるものだ。患者の患側足関節には、内反があるためきちんと荷重・支持ができない。つまり患側下肢に荷重しようとするとうまく支持できないので転倒の危険性がある。それで患者さんの運動システムは、患側下肢を使わずに引っ込めていたのではないか? CAMRではこれを「不使用の問題解決」と呼んでいる。使うと転倒の危険性があるので不使用の問題解決を図ったのではないかというわけだ。


 この例でも状況を変えてみることで現象の異なった面が見えてくるわけだ。


 片麻痺の方が杖でゆったりとした大股での2動作歩行をしておられる。一見非常に安定していてうまく歩かれているように見えるが、実は家や施設で再々転倒を繰り返されていることが問題になっている。


 担当セラピストは、「歩行にはあまり問題がないので、むしろ注意力の低下があって周りのちょっとしたものや段差に気がつかないのではないか」などと仮説を立ててみる。とは言え「では,どうするの?」と聞いてもあまりパッとした解決策が見当たらない。


 こんな時は状況を変化させる、つまり異なった環境や状況内で歩いていただくとまた異なった面が見えてくるものだ。


 たとえば屋外、階段、坂道、狭い通路などである。そうすると歩行における問題が明確になってくる。たとえば狭い通路に入った途端、杖と両脚で広くとっていた基底面がとれなくなり、それまでのゆったりした2動作歩行が3動作歩行になる。


 つまりこの方は基底面を広くとって重心が基底面内からでないようにして歩かれていたことに改めて気がつくわけだ。基底面が広くとれないと、今度は3動作歩行で,常に2点で支えることで基底面を少しでも広くしようとされていることがわかった。


 それでこの方は安定して歩くためにはかなり広い基底面が必要であることに気がつく。


 CAMRでは基礎定位障害と呼ぶ片麻痺の障害群がある。重力と床の間で姿勢や重心を安定させることが苦手だ。そのために体をうまくコントロールできない。基礎定位障害が軽度であれば、平らな床上であれば、杖と両脚で基底面を広くとり、重心がその中から出ないようにしてうまく歩くことができる。しかし段差や階段、坂道では途端にコントロールが難しくなり、転倒しやすくなる。


 それで漸く、この方が安定して歩くためには、かなり広い基底面が必要であることに改めて気がつく。しかも色々通路を工夫して変化させて見ると、横方向への広さが必要であることもわかってくる。そうすると横方向に基底面が広くとれない場所では、手すりや壁、家具などを利用してしっかりと安定性を確保することが重要であることがわかる。


 以上のように状況を変えてみることでわかってくることもあるので、歩行をはじめとした運動評価には状況変化の項目が必要なのである。(終わり)



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「独りで考え、行動する訓練」

目安時間:約 5分

「独りで考え、行動する訓練」


 昔、実習にきていた作業療法科の学生さんが新しい訓練のアイデアを相談してくれたことがある。


 彼のアイデアを簡単にまとめると、「トイレ付きでベッドと食卓、流し、食器棚、冷蔵庫、本棚、ゲームなどのアクティビティ類などの揃った部屋を用意して、その中で独り、数時間から一日過ごしてもらう。冷蔵庫の中にはお弁当やサンドイッチ、色々な飲み物を置いておく。お腹が空いたら冷蔵庫のなかのものを食べてね」と指示するのだそうだ。患者さんはもちろん室内自立している患者さん。そうすると「独りで時間を過ごすことから患者さんはいろいろ経験し、学ぶのではないか?」というのだ。


 これは「独りで考え、行動する訓練」と名付けるという。


 「どうしてそんなことを考えたのか?」と聞くと「僕のおじいちゃんは病院のリハビリで歩けるようになった。病院ではとても一生懸命歩いていたし、リハビリの先生も『意欲的な患者さんです。家でも歩けます』と説明していた。それなのに、家に帰ると歩かなくなってしまった。意欲がなくて、なにもかも家族任せである。結局病院では何をするにも指示に従って動くだけである。だからダメなのだ。アクティビティだって先生から与えられるだけだ。なにができるか、なにができないか、そして何をしたいのか、独りで考え、探し、試し、実行する経験が必要ではないか!」ということだ。


 なかなかの熱弁だったので印象に残った。普段は礼儀正しく、もの静かで冷静な学生さんだった。


 僕は「面白いね」と表面的には答えたが、あまり実現できそうにないし、第一あまりやる意味が感じられなかった。そこで主にはどうして実現が難しいかという理由を説明したと思う。


 一方で、学生さんなのにすでに新しい訓練が必要であると考えているところがすごく頼もしく、感動した。人からいわゆる「正しい答え」を教えてもらうことが当たり前で、いつまで経っても自分で判断しようとしないセラピストが多い中で、少なくとも自分の頭で考えようとしているその姿勢に感動した。そこをもっと褒めるべきだったか・・・


 まあ、その話はそれっきりになってしまったが、久しぶりに何かのきっかけで思い出した。なんとはなしに面白そうではあるが、色々考えてみたがやはりあの訓練はなにが期待できるのか、今ひとつピンとこない。僕の頭は硬いのだろうか?と思ったりする。それともなにか画期的な可能性を秘めているのだろうか? 皆さんはどう思います?(終わり)


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電子書籍を読んでみましょう!

目安時間:約 6分

電子書籍を読んでみましょう!


 電子書籍とは、紙ではなくデータで提供される本のことです。


 電子書籍というと「インターネットに繋がっていないと読めないので不便」と思われる方もいると思いますが、実際にはお持ちの携帯電話などにダウンロードして、いつでもどこでも気軽に本が読めるようになります。


 電車に乗っているときや隙間時間などにも手軽に片手で読むことができます。ゲームや音楽を楽しむように、読書も気軽に楽しむことができるのです。


 少しでも読書量が増えると、視野が広がって人生は意外に豊かになります。「知っているつもりのことも実は全然知らなかったんだ!」と気づかされることも多いです(^^)


 特に気軽に始めるならアマゾンの提供するKindleがお勧めです。やり方は以下の通り。


①まずは無料の電子書籍リーダーを携帯にダウンロードします。https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3211799051


②そしてアマゾンのアカウントでサインインします。(アマゾン・アカウントを持っていない場合は、アマゾンでメールアドレスとパスワードでアカウントを作ることができます)


③電子書籍リーダーの中でお気に入りの本を探して、購入手続きに進みます。


④購入した本はダウンロードされ、リーダーの中に表示されます。


⑤文字のサイズなども変えられます。読みやすくして読書を楽しみましょう! 


 Kindleには「ペーパーホワイト」という専用端末もあります。安いものは五千円以下で買えます。片手で持てて、バッテリーの保ちも良く、数千冊の本をこれ一台に保存できます。目にも優しいですよ。僕のお勧めです(^^)


 また電子書籍は紙の本に比べて価格の安いものが多いのも魅力です。


 ちなみにKindleにはPT・OT向きに書かれた本もたくさんあります。


 たとえば「システム論を基に、人の運動システムの作動の特徴」について書かれた本です。人の運動システムの作動の特徴を知っていれば、それを基に訓練を進めることもできますもんね。すいません、つまりは筆者の書籍の宣伝です^^;))以下の通り。


・システム論の話をしましょう!(税込み100円)


・治療法略について考える(税込み100円)


・正しさ幻想をぶっ飛ばせ!-運動と状況性(税込み100円)


・正しい歩き方?/俺のウォーキング(税込み100円)


・リハビリの限界?/セラピストは何をする人?(税込み100円)


・脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!-CAMR誕生の秘密(税込み100円)


・脳卒中あるある!-CAMRの流儀(税込み300円)


・リハビリのシステム論(前編):生活課題達成力の改善について(税込み400円)


・リハビリのシステム論(後編):生活課題達成力の改善について(税込み600円)


 以上の本は、CAMRのホームページやブログからも購入画面に進めます^^;


・CAMRのホームページ:http://rehacamr.sakura.ne.jp/index.html


 さあ、気軽に読書を楽しみましょう!(^^)/


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因果関係と相関関係の違い

目安時間:約 4分

因果関係と相関関係の違い


 片麻痺の臨床でよく出会う誤解は、「相関関係」と「因果関係」を混同することだ。たとえば「歩行がふらつくのは、立ち直り反応が悪いからだ」と言って、「立ち直り反応の促通」なるものをやっている。ここでは「立ち直り反応」が原因で、「歩行がふらつく」ことを結果とする因果関係を想定している。


 でもよく考えてほしい。どう考えても、原因は脳の細胞が壊れたことである。その結果として、マヒが出て、立ち直り反応が低下し、歩行がふらつくのである。マヒも立ち直り反応の低下も歩行のふらつきもどれも結果に過ぎない。つまり結果同士の間に因果の関係を想定しているのである。


 すると次の様な反論を受ける。「でも立ち直りが悪いから歩行がふらつくし、立ち直りが良いと歩行のふらつきもない。だから、立ち直りを良くするのだ」、と。


 でもこれは「マヒが軽いと立ち直りも良いし歩きも良い。マヒが重いと立ち直りも悪いし歩きも悪い」という相関関係を言っているに過ぎない。


 第一、「立ち直りを良くする」と言うが「立ち直りが悪くなったのは、脳の細胞が壊れて、マヒが起きているから」である。これが間違いなく因果の関係だ。だから立ち直りを良くするためには、脳の細胞を構造的あるいは機能的に再生して、マヒを治すしかないとなる。


 見ていると他動的に、つまり介助して立ち直り反応の形を真似させることを繰り返している。これで脳細胞の働きを機能的に再生し、歩行も良くなるという。でもこの理屈で言うなら、そのやり方で原因である脳細胞も機能的に再生して、マヒも治っている理屈になる。


 「でも、マヒは見た目変わらないようでも歩行は良くなる。つまり基のマヒも良くなっている」と反論されるが、別に介助して立ち直り反応を繰り返さなくても、歩行練習や他の動作練習を繰り返すと、人の知覚システムは使えるリソースを見つけ出し、それを有効に使う運動スキルを発達させるので、マヒのある体でも自然に安定した歩行を生み出すことは珍しいことではない。歩行が良くなったからと言って、マヒが良くなっているわけではない。


 ともかく自分の頭で考えて、理屈に合うか合わないかをよく考えてほしいのです。相関関係を因果関係のように考えてアブローチするのは間違いだと言うことを。



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関東のコロナを巡る状況は停滞・・・(^^;))

目安時間:約 3分

関東のコロナを巡る状況は停滞・・・(^^;))


 関東でのコロナの感染数は下げ止まりの状態だ。一旦下がったところから少しの増減を繰り返している。そして緊急事態宣言が2週間延長されることになった。


 小池都知事が「原点に立ち返って」とテレビで言っていた。つまり手洗い、マスク、会食を避けるというこれまで続けてきたお願いを更に繰り返そうということだ。


 確かにこの解決方法で一定の効果が得られた。地方に行くとこの方法で十分に感染状況は改善したと言える。だから地方では悪い解決方法ではないのだと思う。


 だがコロナ感染のような問題は、特定の原因だけで起きているとは考えられない。つまり会食だけが原因ではなく、他の様々な要因の相互作用から生まれる状況から生まれると考えられる。


 特に一都三県は、広域に大きな人流がある地域だし、他にもいろいろと地方にはない独特の要因があるのだろう。東京を含む一都三県では、既に停滞の状況を生み出している。


 問題はシステム全体の特定の状況の中から生まれるのである。今は停滞を生み出す安定した状況の中にあると思われるので、少し状況を変化させることを考えるべきだろう。


 たとえば国立競技場にアスリートやミュージシャンを集めて、菅総理が司会を務めて様々なパフォーマンスのテレビ・ショウをやるのである。最後に「楽しんでいただけたか?今はライブで楽しめないが、みんなで感染を抑えて、今度はここに来て楽しまないか?」と涙ながらに訴えれば少しは状況が変わるのではないか?(あまり良い方法ではないか・・・(^^;))


 

 これはリハビリでも同じで、最初の頃に運動改善を生み出したからと同じアプローチを続けてもその後停滞してしまうことはよくある。更に同じアプローチを強力に繰り返しても、既に状況そのものが頑固に安定してしまっている。


 何か特定の原因、コロナの場合は「会食」を主な原因とみなし、そればかり重点的にやるのだが、そのアプローチ自体がやがて停滞という頑固な状況を生み出すことはよくあるのである。少し視点を変えて状況を変化させることを考えても良いだろう・・・というのが基本的なシステム論の状況変化のアプローチなのです。

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プロの運動問題解決者になれ!Be a Professional motor-problem solver!

目安時間:約 4分

プロの運動問題解決者になれ! 


Be a Professional motor-problem solver!


 僕たちの仕事は、患者さんの運動問題を解決することだ。もちろん簡単な仕事ではない。リハビリの無力さを感じることも多いし、自分では最善を尽くしたつもりでも患者さんから不満を言われることもある。「全然戻っていない」とか・・・ つい愚痴なども言いたくなるが、それでも「おかげで良くなった」などと言われると、もうこの仕事が好きで堪らなくなったりもする。


 僕たちの現場でよく見る問題解決の問題は、間違った因果関係である。


 たとえば「脊髄性失調症では、手足の随意性が低下するが、検査してみると深部知覚低下がその原因である。だからフレンケル体操で深部知覚をトレーニングすることが効果がある」といった内容である。どこがおかしいかおわかりだろうか?プロの運動問題解決者になるならこの論理の矛盾にすぐに気がつくようになる必要がある。


  哲学者の大森が用いた次のような例で説明しよう。


 イカヅチがピカッと光って、ゴロゴロという。するとイカヅチが原因でゴロゴロがその結果のように思われがちだ。しかし本当の原因は、空中での放電現象である。その結果、イカヅチがピカッと光り、ゴロゴロと鳴る。つまりどちらも結果である。結果同士の間に間違った因果の関係を想定してしまうのだ。


 同様のことが脊髄性失調症にも言える。原因は脊髄細胞が壊れたことだ。その結果、深部感覚の低下と随意性の低下が現れる。つまりどちらも結果であり、結果同士の間には因果関係は存在しない。


 これの矛盾は、「深部感覚の低下はフレンケル体操で改善できる」と考えていることだ。つまりこれの意味するところは、「フレンケル体操で壊れた脊髄細胞の機能は改善する」と言っているわけだ。でもこれは無理な話だ。


 このような因果関係の矛盾は脳性運動障害やパーキンソンなど中枢神経系の障害ではよく見られる。つまり中枢神経系の作動はまだよくわかっていないので、間違った因果関係を見てしまいがちなのだ。


 だがプロの運動問題解決者は、それがわかったからと満足するわけにはいかない。というのも間違った因果関係でのアプローチでもある条件がそろうと、不思議に状況が改善することもある。これが脳性運動障害に多様なアプローチが乱立する理由だ。


 これは何かしらのアプローチをして、状況変化の種を作り、これにある拘束条件がそろうと良い状況変化が起こると解釈できる。もちろん同じアプローチをしても、負の拘束条件が揃うと却って悪い状況にもなる。これが人の運動システムの作動の不思議さでもある。人の運動システムの作動にはある性質があり、そのためにそのようなことが起こるのだ。


 簡単に言えばプロの運動問題解決者になるには、問題解決の方法について学ばなければならないし、更に運動システムの作動の性質についても詳しく学ぶ必要がある。そうして初めて効果的にアプローチを行うことができるようになるのである。


 そしてもうじきネット上でのCAMRの勉強会が始まります。


 【プロの運動問題解決者になろう!】 近・日・公・開!乞うご期待!!

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プロの運動問題解決者Professional motor-problem solverになろう!

目安時間:約 4分

プロの運動問題解決者Professional motor-problem solverになろう!


  -プロの運動問題解決者になるためには


 僕たちセラピストはプロの運動問題解決者である。他人の運動問題を解決することを生業(なりわい)にしている。僕たちの仕事の場合、根本的な解決は無理であることが多いが、それでもその問題がより軽くなるよう、より良い状態になるような問題解決を目指すことが必要である。


 そのために必要なのが問題解決の手段である。少なくとも二つが問題解決の手段としてよく知られているが、それらの長所・短所の理解は必要である。


 学校では要素還元論を基にした問題解決方法を習う。これは問題が起こると、その問題の原因を探る方法だ。運動問題なら、運動の構成要素、つまり筋力・可動域・感覚・バランスなどと要素毎や部位毎に分けて どこに原因があるのか探る。次にその原因と問題との間に因果の関係を想定する。そしてその原因にアプローチするのだ。しかしこの方法は非常に有用ではあるが、万能ではない。


 たとえば脳性運動障害では脳細胞が壊れることが原因だが、今のところリハビリで脳細胞やその機能を再生することはできない。つまり原因がわかったからといって解決できるわけではない。


 また慢性痛のように様々な要素が関係し合って問題が形成されていると、一つの原因だけにアプローチしても大きな変化は起きない。問題はその一つの要素だけでなく他の要素も影響し合って生まれているからだ。


 だからプロの運動問題解決者としては、他の問題解決方法も身に付けて、状況に応じて使い分けるのが良い。


 CAMRで勧めているのは、システム論を基にした状況変化アプローチである。問題が起こる状況を変化させて少しでも良い状況を作り出すことを考えるのである。CAMRには状況を変化させるための理論と技術がある。視点を全く変えることで意外な解決方法を生み出したり、今、この場でできる事をできるだけ沢山見つけてそれを積み重ねていったりする。マヒや認知症は治せなくても、状況変化は必ず起こせるのである。


 こうしてセラピストとして2種類の問題解決手段を持つことになる。学校で習った原因を探して原因にアプローチする方法と状況を理解して状況を変化させるアプローチである。どちらの方法にも長所と短所があるので、それを熟知して、状況に応じて適切に使い分けられるようになればプロの問題解決者としての力量はそれまでとは比べものにならないくらいアップするだろう。


 CAMRでは、ようやく、ようやくネット上での情報提供の準備が整ってきました(^^;近・日・公・開!乞うご期待!!

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私はまだ習っておりません!

目安時間:約 5分

私はまだ習っておりません! -問題解決を巡るいろいろの問題


 ある新人セラピストが、「私はまだ習っておりません!」といって仕事を引き受けようとしなかったことがある。


 「習ったことがない」というのはその通りだと思う。人生は習っていない問題に次々と直面するのが普通だ。絶対大丈夫と思って告白したのに失恋したり、ソフトクリームを他人のおろしたてのスーツに押しつけてしまったり、路上で美女の詐欺に遭ったり、人には言えない場所に痛みが出たり、これは絶対安いと思って勝負に出たら役満でロンされたり・・・などと未知の問題、想定外の問題はいつもいつも起こってくるものである。


 だが、それが人生だ。「習っていない」と言って済ましている場合ではない。人生は常にその場その場で未知の問題にも柔軟に対応していかなければならないのだ。


 自分で解決法を考えることはできなくても、誰かに助けて貰ったり、アドバイスを貰うことはできる。上記のようなのは「習っていない」とその問題から逃げ出しているのだろう。それはこの人なりの慣れ親しんだ問題解決方法なのだと思う。とりわけ困難な問題からはすぐに逃げ出してしまうのだろう。


 しかしセラピストの仕事は基本、他人の運動問題を解決することだ。ブロの運動問題解決者だ。それなのに『習っていません』とか『この患者はやる気がないからしかたない』とか『認知症がひどくて・・・』とか、そんな言い訳ばかりで自分がその問題から逃げるという解決法ばかりを選んでいては仕事にならない。 まあ、無理はないとは思うのだ。解決困難の問題から逃げ出したくなるのは自然のことだし、問題解決というのは、策もなく無理して突っ込んでいくと新たな問題を生み出してややこしくなるものだ。最後は「こんな仕事、辞めてしまいたい」ということになってしまうかもしれない。だから逃げてしまうという選択肢も時には必要なのかもしれないが・・・


 ともかく他の解決方法も試みてほしいものだし、先輩や回りの人たちも別の選択肢に目を向けるような援助が必要だろう。


 また問題解決を巡る問題にはもっとシビアなのもある。たとえば「脳卒中の方に健常な運動を学習してもらい、マヒを治して貰おう」などというアプローチである。これは「理想主義者の解決方法(ユートピアン・ソリューション)」と呼ばれる。実現不可能な目標を持ってしまうからだ。実際、未だにマヒが治ったという例は聞いたことがないし、現時点でも実現不可能な目標である。


 しかし「諦めたらそこでおしまいだ。ダメなんだ!諦めずに続けていくことが大事だ。続けていればいつか夢は叶うんだ」という思考方法はいつの時代も多くの人の心をつかんで離さない。だから何年も何十年も変化なく、同じことを繰り返している患者さんとセラピストのペアを見ることもある。また多くの若いセラピストがユートピアン・ソリューションに惹かれて、ユートピアンになっていく。まあ、それはそれで人生の問題解決の選択肢の一種なのだが、あまり良いことではないと思う。


 結局、何が言いたいのかというと「セラピストは問題解決が生業(なりわい)であるし、もっと問題解決方法とそれらの分類、特徴についてよく知らないといけない」ということだ。自分が問題から逃げ出すタイプか、ユートピアン・ソリューションを持ちやすいタイプか、他人に頼ってしまいがちなタイプか、とりあえず「その場で自分にできる事をやってみる」タイプか、などである。


 そして僕のようなずぼらで不器用な人間でもなんとかそれなりの問題解決をして、ずっと続けられる方法もある。いつもすべて上手くいくわけではないけどね。それでもこれまで試した中では良い方法だと思う。それがCAMRの「状況変化のアプローチ」で、これを知ってからは、仕事がなんとなく面白くなったので、今は人に勧めているわけです(^^)v(終わり)

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リハビリのファーストフード化について考える

目安時間:約 5分

リハビリのファースト・フード化について考える


 世の中全体がスピードと効率に価値を求めているのだろう。無駄を避けるマニュアルと商品のメニュー化によってファースト・フード店はスピードと効率を達成するための代表的なシステムの1つに違いない。


 それが良いとか悪いとか言うつもりは全くない。食事を摂るという行為の選択に多様性があるのである。手早く済ませたい状況もあれば、ゆっくりと味わいたい時もある。単に腹を満たしたい人もいれば、食事そのものを味わいたい人もいる。それぞれの立場、状況と必要に応じて各人が使い分ければ良いことである。ただ社会全体としては、スピードと効率は求められる傾向にある。


 もちろんこのスピード化と効率化はリハビリ分野でも求められている。一番大きな理由は経済的なものだろう。1つは医療費の節約であり、もう一つはリハビリ期間を短くして早く社会復帰・家庭復帰を促す、つまり時間の節約の必要があるからだ。社会にとっても個人にとっても重要なところだ。つまりリハビリも効率を考えれば、ファースト・フード店のシステムを真似てマニュアル化・メニュー化して行くのは自然である。


 ただリハビリの価値は多様化せずに、このスピード化・効率化だけに向かうだろう。「リハビリを楽しもう」とか「リハビリによって新しい人生の意味を生み出そう」などという価値観は社会には不要であり、これからもリハビリにはひたすらスピード化、効率化が求められるだろう。


 こうして「このときはこれをする」、「この場合はこれをしてはいけない」などとマニュアルに従って仕事をする傾向が強まる。現在もそうだろう。誰かの作ったリハビリメニューに従って仕事を進めていく。こうなると目の前の患者さんを流れ作業的にこなしていくことになる。もちろんマニュアルとメニューの内容がある程度しっかりしていれば、そこそこのリハビリ成果を均一に生み出すことになる。


 従ってセラピストがファーストフードの店員化していくのは避けられないだろう。つまりファーストフード店の店員は優れた接客の技術とそつのない振る舞いを発達させるが、使っているマニュアルやメニューの妥当性を判断し、よりすぐれた改善ができるようにするのは難しいだろう。セラピストもそのような現場での必要な技術のみを発達させるようになり、創造性は脇に置かれることになる。


 人は様々な経験を積むことで生活や仕事、問題解決、状況判断のスキルが発達するのだと思う。マニュアル化やメニュー化された単調で均一な流れ作業的な仕事の経験を繰り返していては、セラピスト一人一人が問題解決のスキルや技術を発達させるのは難しい。


 そうなるとスピード化と効率化を目指しつつも、患者一人一人の問題に耳を傾け、患者一人一人に適した解決方法を生み出すような仕組みを作って、その成果を広く現場にフィードバックしていくようなシステムも必要になってくるだろう。つまり企業の商品開発部のようなシステムである。企業の命運はその部署の成果にかかっている。リハビリもそんな時代になるのではないか。リハビリの場合は大学などの研究機関がそんな役割を果たすのだろうか?(僕は臨床に関わる人間がやった方が良いとは思う・・・)


 というのも現在セラピストは大量に生まれるようになった。個人個人が総合的なリハビリ能力を備える時代は終わったのではないか。現場では接客と適切な治療技術、臨機応変の能力が求められる。一方、開発部ではより創造力を求められるようなメニュー開発が行われ、現場にフィードバックされる。そんな社会全体のシステムとしてリハビリを考える時代になったのだと思う。


 それでもまあ、CAMRは未だに個人の問題解決能力の改善に焦点を当てているし、これからもそのつもり(^^;だって現場で個別のメニューを考える人間は絶対に必要だもの。いつだって想定されていない問題、未知の問題は起きてくるものだから(終わり)

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