体重変化などの指標を通して学ぶ動的システム論 その3
前回までの原始歩行消失の説明を通して、システム論の基本的な視点は理解してもらえたのではないかと思う。古典的システム論であれ、動的システム論であれ、基本となる枠組みは、「世の中のさまざまな現象は、それに関係する様々な要素感の相互作用によって生まれ、変化したり、安定したりする」ということだった。
では古典的システム論と動的システム論の違いは何かというと、動的システム論は説明する言語が数字であるということだ。つまり数学や物理学の世界である。これは困った。というのも僕は数学が苦手、というより大嫌いである。
数学嫌いと言えば、かのゲーテも大の数学嫌いだったらしい。だからゲーテの色彩論は、ニュートン派の人達からエセ科学扱いされた。
まあニュートンの色彩論は、プリズムを通した光を紙の上に落としてそれを観察した。そして光の色は波長の違いだと説明した。なるほどと思う。光を分解して色を数値化して見せたわけだ。しかしニュートンの説明に人は存在しない。人の存在はあやふやであり、客観的であるべき科学の枠組みでは人は排除されるべきなのだろう。
一方同じプリズムを使ったゲーテの色彩論は、プリズムを直接覗いたのである。しかもかなり多彩に実験をしている。これを知って感動した。色を見て、感じるのは人そのものではないか。人にとっての色とは何か、という視点。人の存在を排除しない科学。「人の存在を中心にしてこその色であり、これこそ人のための科学ではないか!」と感動した。
それで早速、ゲーテの本を何冊か買って読んだのだが、実に大仰な表現が多彩に使われたり、非常に緻密というか、まあ率直に言ってやたらとこだわった感じがあったりして読みにくかった・・・・だから途中で読むのを止めてしまった(^^;)という・・・・ごめんなさい、話が逸れました(^^;)
本論に戻るが、僕は数学が嫌いなので動的システム論と偉そうに言ってもそんなに理解しているわけではない(^^;)
しかしテーレンらは、その動的システム論を僕のような数学嫌いの人間でも理解できるように、数字ではなく日常生活言語を使って説明してくれている。今回のエッセイの最後に紹介している。興味のある人は是非とも読まれることを勧める。
さて、漸く本題に入る。
今回はこの動的システム論の視点から僕のウォーキングによる体重などの様々な指標の変化を考察してみたいと思う。
どういう手法を用いるかというと、位相空間図というものだ。2つの変数で作られる空間である。今回は横軸に体脂肪値、縦軸に体重をとっている。そこにある日の体脂肪値と体重の交叉する点を打つわけだ。そして時間の経過に従って点を打っていくのである。そうすると体重や体脂肪率の変化する様子が時間経過とともに視覚的に理解できるのである。(その4に続く)
お勧めの動的システム論の本
・発達へのダイナミックシステム・アプローチ 認知と行為の発生プロセスとメカニズム: エスター・テーレン、リンダ・スミス 新曜社
後、日常生活言語で不確定性や非線形システムなどの紹介をしてくれている本があります。入門書に良いですよ。ゲーテの話も出てきます(^^)読み物としても楽しい。
・カオス-新しい科学を作る: J・グリック 新潮文庫
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西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」
西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(後編): 生活課題達成力の改善について」
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