木曜日のつぶやき 11

目安時間:約 5分

木曜日のつぶやき 11


真のニードは実在するのか⁈


 その3年末がどんどん近づいていますが、体感的には11月上旬の秋山です。※個人の感想です。 


 さて、真のニードについてです。


 「真」とは何か?真があるのなら偽があるのか?誰が真と決めるのか?真のニードって1個なのか?いくつもあるのか?こんな疑問がありました。なんか屁理屈っぽく聞こえますね。そう、私も自分で難癖付けてるだけなような気がしていましたが、どうにも腑に落ちない。自分に置き換えた時になかなか思いつかない。


 そこでこう言い換えてみました。「この時代、この地域、この年齢、この性別、置かれている社会的環境、持っている・または損なわれている能力(心身の状態)ならば、普通こうあるべきなんじゃないのと世間が受け入れやすい」ニード。これだとすっきりする。


 こういうと皮肉すぎるかもしれませんが、本人が口にしたことや望んでいることが真のニードとは限らないというなら、それが真かどうか判断する基準や人がいるということになります。それにポジティブなものであることも要求されています。これは大変だ。高潔でも清廉でもない私が職業という場面でこれらに関わるのはとても難しい。


 繰り返しますが、真のニードというものを否定しているのではなく、そういう概念を医療的リハビリテーションという場面で扱いきれるのか、正面からガッツリ取り組んでクライアントに変化をもたらすには時間などの条件が限られすぎているのではないか、時間がかかりすぎるのではないかということです。


 CAMRでは、真のニードという固有のものがあるとは考えず、ニードは状況により変化するものとして扱います。ニードは変わってっていいんです。変わるもんなのです。


 発症直後は悲観的か楽観的過ぎて、「適切なニードを持てていない」とみなされることがあります。その時にニードの方を修正するのではなく、それはそれで置いといて、「これなら〇〇ができるかもしれない」「〇〇は難しいな。まず△△からだな」と思ってもらえるような状況変化を起こす課題を提供するのがセラピストの役目です。


 状況変化の結果、何がしたいかと思うのはクライアントの問題です。


 身体状況が大きく変わって、これまでのやり方では世界と関係を取り結べなくなってしまった。そんな時にまずやるのは、何をしたいかの追求より、自分が世界の中でどう動けるかを経験することだと思います。そしてクライアントが自分の「やりたい」をかなえていくのに、クライアントとセラピストが置かれている環境(関係性)の中で、今ここでできることを協働していきます。


 運動機能だけにこだわってはいけないと思いますが、運動機能に関われる数少ない職種が早々に運動を諦めてしまったら、状況変化の大きなチャンスをつぶすことになるのではないか。そのことは頭に入れておきたいものです。(終わり)


【CAMRの最新刊】

西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」

西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(後編): 生活課題達成力の改善について」


【CAMRの基本テキスト】

西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


【あるある!シリーズの電子書籍】

西尾 幸敏 著「脳卒中あるある!: CAMRの流儀」


【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】

西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


【CAMR入門シリーズの電子書籍】

西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①

西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②

西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③

西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④

西尾 幸敏 著「リハビリの限界?:セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤


p.s.ブログランキングに参加しています。クリックのご協力、ありがとうございます!

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ
CAMRの最新刊

CAMR基本テキスト

あるある!シリーズ

運動システムにダイブ!シリーズ

CAMR入門シリーズ

カテゴリー

ページの先頭へ