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「足場作り」リターンズ その2”コンプリメントは難しくない!”
秋山です。寒いです。
かつてOT学会でコンプリメントについて発表したことがあります。その時に「どう話せばいいか、難しい」と言われることが少なからずありました。なぜ難しいと思うか伺ううちに、意味づけや価値について言わなければならないと思っているせいではないかと考えました。
CAMRでいうコンプリメントでは、意味を説明するとか価値観の転換を図るとかは行いません。患者さんの行動や置かれている状況を、ただねぎらったりほめたりするのです。私がコンプリメントで使っている言葉はシンプルです。「いいですね」「頑張りましたね」「できてますよ」突き詰めればこの3種類くらいです。
これらをいろんな場面で言います。「足がよく上がっています。いいですね」「50回やり通しましたね。頑張りましたね」「え?『右足が出てない』?足先がここまで出てますよ。できていますよ」「初めての運動なのに、よく頑張られましたね」「今日もしっかり運動されましたね。いいですね」など。
成功体験に結び付けるのにも、コンプリメントは有効です。立位課題でふらついても「よく踏みとどまりましたね」「お、チャレンジの結果ですね」とか。できそうな課題と思っても、上手くいかないこともあります。そんな時にも、「初めての課題でここまでできるのはすごいですよ」など、患者さんが「失敗だ、ダメだ」で終わらないような言葉かけを工夫できるといいですね。
また、セラピストの立場か、患者さんの立場か、どちらで言うかで違ってきます。入院初日の患者さんの初回訓練、疲れてこられた患者さんを気遣い、今日はこの辺にしよう、とあなたは考えました。その時。①「もう疲れてますね。今日はここまでにしましょう」と、患者さんを送っていく。②「初日で慣れない中、お疲れになったでしょう。いろいろ動きを見せてくださり、ありがとうございました。少しずつ運動を増やしていきましょう。また明日お願いします」と、患者さんを送っていく。
思いやる気持ちは同じでも、印象は違ってきますね。
背中で語っても伝わりにくい!普通の言葉でしっかり伝えることで良い関係が築けると思います。
「足場作り」リターンズ その1”コンプリメントって何だっけ?”
こんにちは、秋山です。花粉症辛いです。黄砂が追い打ちをかけます。沖縄にスギ花粉症が無いというのは本当ですか⁈
西尾さんの休憩前の投稿で、「状況変化のやり方は無限に存在すると言っても良いのですが、今回のようにコミュニケーションのやり方を変化させる、コミュニケーションの立場を変化させることはとても有効であると気づかされました。これ以降は状況変化の第一選択に、コミュニケーション関係の変化を持ってくるようになりました」とあります。何と言っても著書名のタイトルが「リハビリのコミュ力」(西尾,金原出版,2017)ですから。
CAMRはクライアント-セラピスト協働アプローチです。セラピストによらしむべし、でもなければ、クライアントの言うなりでもないのです。それぞれがそれぞれの立場で最善を尽くし、協働して問題解決にあたるわけですね。
「なんと当たり前のことを」と思うかもしれませんが、これ、けっこう難しいです。熱心さのあまり、セラピストが専門家として無意識に支配的立場に立ってしまっていることがあります。「私が頑張って、困っているクライアントを正しい方向に導かなくては!」というところですが、その方向ではないということは、ここまで読まれた方はお気づきでしょう。熱いハートは大事なのですが、実践には工夫がないと「空回り」「クライアント置き去り」になりかねません。
また、「クライアントとの円滑な治療的関係」なんて、これだけでは絵にかいた餅ですね。セラピストの人間性を高めるというような精神論では、定年までに到達できるかも怪しい。ハウツーではすぐ見破られてしまう。これは就職した当初から今も続く私の悩みです。もやもやを抱えながら、ごまかしだけ上手くなってゆく・・・
そこで「足場作り」=良い建物を建てるにはしっかりとした足場が必要なのと同じで、良い治療関係構築には適した技法を身に着けるということです。
こう書くと深夜の通販番組の煽り文句みたいですが、「これだけ知っときゃ大丈夫!らっくらく!」ではありません。言葉かけが上手い先輩や、いつも良い雰囲気で仕事をしている人の経験知を学べる形に言語化して誰もが使えるようにする。それを知ることでセラピスト側に状況変化が起き、クライエントとのコミュニケーションが変化します。
これは心理療法の中の短期療法、家族療法に基づいています。
クライエント-セラピスト協働は私の長年の課題で、前置きが長くなってしまいました。まずは理屈よりも明日から使える工夫その1「コンプリメント」について。
コンプリメントとは、労うとか褒めるという意味です。
「褒める」というと上から目線と感じるかもしれません。時代劇で殿が「大儀であった!」家臣「ははっ!ありがたき幸せ」的なものではないですよ。クライアントの行動への肯定的共感と言えばいいのかな。やってこられたこと、今されていることを否定しない、励ますという感じです。大げさに言いたてる必要もないし、ネガティブなことが全く無いかのように言いくるめる必要もありません。
言葉かけ自体はシンプルです。要はタイミングと言い方ですかね。詳細は続く
CAMRの効用 その3 ※個人の感想です(^^;)
秋山です。右片麻痺の方の患側支持練習の結果編です。
立位課題に対しては回数を増やす等、適宜ご本人と相談しながら進めました。歩行訓練は、距離やコースは本人にお任せ、私は何も指示することも介助することもなく、いざという時の見守りでした。
立位課題の左右重心移動で右への動きが拡大してきたり、健側の前方踏み出しが広がったりと、患側下肢での支持がちょっと長くなりました。
そのように患側下肢をより使うようになられたなと思う頃に、「今日は右足がよく出るから、もう少し歩く」と自分から言われることが増え、全体に距離が伸びてきました。
「足がまっすぐ出た」とは本人は感じないけど、「足がみやすく(簡単に)出て楽だった」という本人にとってプラスの変化を実感されていました。その方は、「ちゃんと歩くためには、足がまっすぐ出ていないといけない」から「歩きやすいと感じる時は足もよく出てる。いろいろ運動しておくと歩きやすい」と思われるようになっています。
しかしセラピストの視点からは、右半身が後ろに引けていたのが目立たなくなり、右足も側方からではなくより前方に振出す、つまりよりまっすぐに振り出すようになられました。
形も変化しているのです。おそらく健側下肢が前方により大きく出るので推進力が増し、患側下肢は筋などの粘性で、前方により強く引っ張られ、ぶん回しスキルへの依存が少なくなったのでしょう。
結果、図らずも脚は以前よりはまっすぐに振り出される形になったわけです。
CAMRの視点からみてみましょう。CAMRでは正しい運動、間違った運動という見方はしません。
中枢神経障害により異常運動=正常から逸脱した運動が出現しているとみるのではなく、障害に加えてそれに対する運動システムの問題解決などの相互作用からその状態になっていると考えます。
今回のクライアントの患側下肢がまっすぐ出ないという現象は、麻痺して今までのやり方では振り出せなくなった下肢を何とか振り出そうとした結果とも言えます。
麻痺した下肢を振り出すためには健側下肢と体幹で振り出すしかなかったのです。異常な運動が出たのではなく、使える機能で何とか「歩く」という運動問題を解決しようとした。目にしている運動の形はそのようにして選択されたものです。だからアプローチとしてはこの方が脚をまっすぐに振り出すことを目標にしても失敗経験を繰り返すだけです。
むしろ柔軟性を改善し、荷重経験を繰り返し、患者さん自身がより歩きやすいスキルを探索された結果、つまり運動システムの作動が変化した結果として形も変わってきたのです。
ただ、運動システムが選択した問題解決は、常に最適とは限りません。本当は他の解決方法があるかも知れない。そこは何とかしたい。この方の場合は、麻痺側下肢の支持機能があるのに動作では十分に使っていないことがわかり、本人も納得されて麻痺側での支持を行う課題を実施、システムの作動が変化して歩きやすくなりました。
健常者の運動の形を真似するという目標はあまり意味がありません。できれば自然にしていることですから。むしろ運動システムの問題解決を理解し、適切な要素を変化させたり、支持や振出し、重心移動という機能(働き)から運動を見て、変化できることから取り組む例として、みなさんに伝われば幸いです。(終わり)