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CAMR入門シリーズ⑤リハビリの限界?セラピストは何をする人?

目安時間:約 13分

≧(´▽`)≦
みなさん、ハローです!


CAMR入門シリーズの第五弾が出版されました!

出版を記念して以下の詳細にて無料キャンペーンを実施します。ぜひこの機会にCAMRのアイデアに触れてみください。


☆★☆★☆★★☆出版記念 無料キャンペーン★☆★☆★☆★☆
著者  : 西尾 幸敏
書名  : リハビリの限界?セラピストは何をする人?
無料キャンペーン期間: 7月21日(水)16:00~7月26日(月)15:59
☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆


【はじめに】
この本はCAMRのFacebook pageに掲載された「リハビリの限界?どうしても良くならない」(2020年1月7日~2020年2月4日の計5回)を大幅に加筆・修正したものと「セラピストは何をする人?」(2021年3月16日~2021年4月13日の計5回)を合わせたものです。


この二本を組み合わせた意図は、本書の編集責任者でありCAMR研究会副代表の田上氏が編集後記に述べています。


僕は若い頃から、リハビリの場面ではいろんな考えに惑わされてきました。
代表的な考え方は「セラピストが諦めたらダメだ!諦めずに頑張ったらいつか目標が達成できる。それが私たちの仕事で大事!」という信念めいた考え方でしょうか。いや、確かにその通りなので反論のしようがありません。でもこれが達成不可能な目標、たとえば「リハビリで麻痺を治す」とか「この患者さんが家で絶対に倒れないようにする」などに向けられると大変です。


患者さんとセラピストが一緒になって「麻痺を治す」という目標を持ってしまうと、延々と停滞の状態、つまり変化のない状態でのリハビリとなってしまいます。現状、麻痺はリハビリでは治らないからです。そして人生の目標はリハビリをやり続けることというリハビリ漬けみたいな人生になるかもしれません。


また、もしまったく転倒させないことを目標にするなら、筋力強化よりは立ったり歩いたりしないことかもしれません。歩く限り転倒の可能性はついてまわるからです。


この「何があっても理想を実現するまでは諦めない」という姿勢はユートピアン・シンドロームと呼ばれます。達成不可能な夢を追い続けるという行為で、むしろ「理想を諦めないで努力し続ける」ということ自体が目的となっています。そのために患者さんの運動問題を解決するのではなく、むしろ運動問題をずっと維持し続けるという結果を引き起こします。


もう一つの代表的な考え方は、「リハビリの業務は、運動能力を改善すること」というものです。「リハビリで扱う運動問題は、運動能力の低下による問題であり、これに対処するにはリハビリで運動能力を改善することである」とも言えます。もっと明確に表すと「リハビリの主目的は運動能力の改善」と信じることです。もちろんこの考えはここまで明確な形をとらないことが多いのです。「身体ばかりでなく、全人間的に見るのがリハビリ」と言われたりするからです。でもこれは私たちの考えの背景にずっしりと居座っています。


これは私たちが学校で習う、要素還元論を基にした「原因解決の方法論」に起源があるように思います。私たちは問題が起きると、その原因を探りその原因にアプローチして問題解決を図るように習ってきました。多くの場合身体に原因があるので、どうしても身体をどうにかしようとするのですね。


これは脳性運動障害では、「麻痺は脳細胞が壊れたことが原因であるから、壊れた脳細胞を再生させる、あるいは機能的に再生させる」として「麻痺を治そう」、あるいは「障害を治そう」というユートピアン・ドリームにも繋がっています。


また転倒しやすいのは、「筋力低下やバランス能力の低下にある」としてやはり身体能力の改善に徹底的にこだわったりする傾向を生み出します。転倒の原因は単純に筋力低下やバランス能力低下などの単純・素朴な因果関係で説明できるものばかりではありません。環境や性格や認知など様々な要素の相互作用と考えるべきでしょう。しかし運動能力だけに焦点を当ててそればかりをやってしまいがちな傾向を生み出すのです。



これらの「ユートピアン・シンドローム」や「運動問題の改善には運動能力の改善をすること」は私たちの思考の背景に居座っていて、表面的に正論ぽくて、すぐに否定が難しいのでやっかいです。ここではこれらの代わりの考え方を提案しています。ユートピアン・ドリームの代わりに「比較的短期間で達成可能な目標」です。私たちが対象とする問題は「運動問題」ではなく「生活問題」です。「障害を治して運動問題を解決する」のではなく「状況を変化させて生活問題の改善を目標とする」です。「原因を追及して原因にアプローチする」代わりに「状況を変化させるアプローチ」を提案してします。


実は僕自身がユートピアン・ドリームに囚われたり、身体能力の改善だけに焦点を当てたりしていた時期もあります。これらの考え方に囚われると、目の前の患者さんの全体像が把握できなくなって問題解決が遅れたり、できなくなったりすることがありました。


たとえば目の前の患者さんの抱える問題より、将来の麻痺の治った状態を夢見たりするわけです。結果、環境を少し調整すれば消えてしまうような生活問題も、ずっと身体能力の改善(麻痺を治す)を通して解決しようとして停滞の状態に陥ってしまうのです。「今、我慢して頑張れば将来はきっと素敵な人生が待っている」と患者さんや家族に過剰な努力を強いたりしてしまうのです。現実的に、そして持続的にも達成可能な目標ではないのですね。


まあ、これらの反省を基にこのCAMRというアプローチは発展してきたのです。
内容的にはまだ不十分ですが、現状に満足していないセラピストには一つの大きなヒントになるのではないだろうかと考えています。


2021年7月初旬 年々強くなる雨に恐れを抱きながら
西尾幸敏



【編集後記】
本書はCAMR入門シリーズの第五弾となります。いかがだったでしょうか?
今回はセラピストとしての在り方をテーマとした二部構成になっています。第一部は、困難事例だからといってすぐに諦めたりせず、なおかつ夢見るユートピアンにもならずにすむ現実的な方法論、状況変化アプローチが紹介されています。


通常養成校で習うのは、要素還元論に基づく原因解決アプローチです。これも優れた方法論の一つではありますが、原因を特定できない場合や、原因はわかっても対処不能な場合などには無力になってしまいます。そんな時に他の方法論を知らなければ、行き詰まって問題解決を諦めてしまうか、ユートピアンとなって効果のほどもわからないまま漫然と同じプログラムを繰り返すことにもなりかねません。


たった一つの方法論しか知らないセラピストと、二つの方法論を状況に応じて使い分けることが出来るセラピストがいるとしたら、あなたはプロのセラピストとしてどちらが好ましいと思いますか?あるいは、もしあなたがクライエントだったとしたら、どちらのセラピストに担当してもらいたいと思いますか?ぜひ考えてみてください。


そして、ここでは運動システムによる問題解決の一つである「安心確保方略」をとる症例が取り上げられ、臨床像やアプローチの例が紹介されています。訓練場面でのパフォーマンスが生活場面でのパフォーマンスに反映されにくいケースというのは、みなさんも経験されたことがあると思います。昔から「“できるADL”と“しているADL”の違い」といったテーマでも取り上げられています。“できるADL”と“しているADL”ではそもそも課題が異なっているので違っていて当然という面もあるのですが、それとは別に、こういったケースの中には「安心確保方略」をとっているものもいくつか含まれているのかもしれません。今ならそれを見抜き、ケースごとにもっと適切な対応が出来ると思うのですが・・・、自身の過去を振り返ると反省しきりです(;^_^A


第二部では、著者の経験を振り返りながらセラピストとしての在り方を考察しています。時代背景的にもちょっとしたリハビリの歴史を概観しているかのようです。ここではセラピストの役割に焦点を当てつつ、著者の現時点での結論が述べられています。クライエントへのリスペクトやプロのセラピストとしての矜持が感じられ、個人的にはとても共感できるものでした。みなさんはどう思われたでしょうか?


CAMR入門シリーズにしては少し重めの内容だったかもしれませんが、その分読み応えがあったのではないかと思います。本書をCAMR入門シリーズのラインナップに加えることができて嬉しく思います。本書が少しでもみなさんのお役に立てることを願っています。最後まで目を通していただき、ありがとうございます。


2021年7月 ビールが美味しくなってきた今日この頃
CAMR研究会副代表 田上 幸生


【目次】
CAMR入門シリーズ⑤ リハビリの限界? セラピストは何をする人?
はじめに
目次
第一部 リハビリの限界?どうしても良くならない!
第1章 安心確保方略をとる片麻痺患者
1.症例紹介
2.順調な改善、かと思いきや・・・
3.「安心確保方略」の正体
4.通常のアプローチは・・・
第2章 リハビリの限界?
1.リハビリの限界と個人の限界
2.リハビリの限界とは?
3.生活課題達成上の運動問題に着目する
第3章 状況変化アプローチ
1.問題解決を見てみよう
2.「安心確保方略」が見られる場合はどうするか?
3.結果は・・・
4.考察
第4章 失禁のある症例への状況変化アプローチ
1.症例紹介
2.現実的な問題解決のための目標と治療方略を考える
3.できることは何でもやる
4.結果
5.状況変化アプローチの手法とは
第二部 セラピストは何をする人?
第5章 従来的なパラダイムへの疑問
1.セラピストは運動のやり方を教える人?
2.おじいちゃんの一喝
3.ボバース全盛時代
4.湧き上がる疑問
5.人間機械論
第6章 システム論との出会い
1.上田先生との出会い
2.アメリカ留学中に見た課題主導型アプローチ
3.課題主導型アプローチへの疑問
4.自分の経験や考えをまとめてみる
5.現場復帰 ~CAMRの胎動
第7章 脇役としてのセラピスト像
1.セラピストは何をする人?
2.集え!Young CAMRer!
編集後記
CAMR研究会について
著者紹介
著書


【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


【CAMR入門シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③
西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④
西尾 幸敏 著「リハビリの限界?セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤


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知覚システムについて考える(最終回)

目安時間:約 4分

知覚システムについて考える(最終回)


 結局僕はその後、その職場を離れたのですが、今思うと、文字盤のコミュニケーションが可能だったのは、上田法をいくつも組み合わせて全身に行った後ではなかったかと思います。


 つまり上田法によって体が緩み、ボーンスペースが動くか動かないかの問題ではないか?ベルンシュタインの例で示した様に、眼球が動かないときには、対象物の形や大きさが判別できないという知覚システムの性質にあるのではないか?自ら能動的に動いて初めて形が判別できるので、実は見ていても眼球は動かず文字を認知できなかったのではないか?


 Carr & Shephardが、脳卒中後に弛緩状態になると感覚脱失が起こるが、自ら動き始めると感覚は回復すると言っていましたが、逆に硬くなりすぎてボーンスペースが動かないときも同じように視覚の低下のようなものが起こるのではないか。


 実は上田法を全身的に行うとそれなりの時間がかかり訓練時間を超過することも多いのです。だから上田法後に文字盤の訓練をする時間がなくなってしまうのです。たまに時間の余裕のあるときに、上田法後に文字盤を使ったのです。読めたのはその時ではないか?


 逆に文字盤を使ったコミュニケーション練習をメインに行うときは、上田法を行うと時間がなくなるので、上田法なしでいきなりそれをやっていたのです。ご家族も普段の生活の中で常に文字盤の練習をやろうとされていましたので、ほとんどの場合、眼球の動きが悪くて読めなかったのではないか?


 セラピストの習性で、身体を動き、課題を達成するシステムとしては捉えるけれど、動く知覚システムとしてその性質から考えてみる視点が欠けていたのではないか?


 あるいは他の気がつかない可能性もあるのか?どうも自信がありません。


 とりあえずこのアイデアを元の職場の同僚に送ってみました。結果はどうなるでしょうか? 僕自身、より多くの人の意見を聞いてみたいと投稿することにしました。どうか多くの方からご意見いただける様お願いします。職場を離れた今でも大きな心残りの一つなのです(終わり)


【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


【CAMR入門シリーズの電子書籍】
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CAMRの実践紹介-症例を通して その1

目安時間:約 5分

≧(´▽`)≦
みなさん、ハローです!


「CAMR Facebookページ回顧録」のコーナーです。
今回は「CAMRの実践紹介-症例を通して その1」です。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


CAMRの実践紹介-症例を通して その1
※個人の感想です(^^;)


 OTの秋山です。CAMRがどんなものか話を聞いていただいた後、「おもしろい」「新しい視点を得られた」といった感想をいただくことが(よく!)あります。嬉しいことです。ただ、「では、どう使うか」となると、もうひと山あるようです。CAMRが読み物として面白いに留まらず、臨床で役立つように、身近な例を挙げてみました。


 その前に、CAMR初心者が戸惑いやすい、誤解しやすい点を挙げてみました。


 まず、「原因を追究しない。システムの状況をみる」という点です。言葉ではわかっても、では実際の目の前の患者さんの何を見ればいいのか?目に見えないシステムを想像するのか?でも、それって正しいのか?構成要素をどんどん細かく見ていき、正常との違いを探していく方法に慣れた身にとっては、難しいところです。


 もちろんCAMRでも、動きをみます。歩行なら振出しはどうやっているか、重心移動はどうか、などなど。その見方が、「正常の形からどれだけずれているか?それは構造からどう説明できるか?」というのは、従来のセラピストの見方。CAMRでは「運動システムはどうしようとしているか」という運動システム目線で内部からの見方となります。「うーん、わかるような、わからないような」、かもしれません。まぁ、「運動システムの視点で見る」ということを頭の片隅に置いて、症例を見ていきましょう。


 訪問リハでの症例です。10年来の右片麻痺、自宅室内は短下肢装具+一本杖歩行で自立、屋外は見守りの方。普段は最小限の室内移動しかしないので、屋外歩行機会を持ってほしいということで訪問することになりました。


 実用的に歩かれていますが、これまでのリハビリで「右足をまっすぐ出すように」とずっと言われていたそうです。でもずっとできなくて、「それが悩みの種。ちゃんと足をまっすぐ出して歩きたいけど、難しい」と言われていました。


 この方に対し、実用的に歩けているのだからリハビリに固執するのは良くない。だから「十分に歩けていますよ。細かいところを気にするより、やりたいことの目標をもって、どんどん外出しましょう」というアプローチも1つの方法だと思います。ですが、これでは本人が望む動作の変化は無視して、価値観の変化だけを求めることになります。それで患者さんが納得されることもありますが、いつまでも不満足なままということもよくあります。


 また、正常な形で患側下肢が振り出せるように反復練習するという方法もあります。この方は今までそういう訓練をされてきたので、さらに私がやっても改善する気はしない。つまり「麻痺」が治るとは思えません。


 これらの両方の見方は「セラピスト視線」です。「できるから形はあまり気にしない」も、「正常歩行に近づける」も、セラピストが考えていることです。


 CAMRは、これらのアプローチとは違う視点を提案するものです。つまり「患者さんの運動を、運動システム内部の視点から見たらどうだろう?」(その2に続く)


★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆


【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


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知覚システムについて考える(その3)

目安時間:約 4分

知覚システムについて考える(その3)


 そもそもトーキング・エイドを作るきっかけがありました。ある日「好きなスポーツは?」と聞くと、文字盤を指さして「テニス」と答えられたからです。あとからお母さんに尋ねると「ええ、テニスをずっとしていました」と驚きを持って答えられました。これまでも文字盤は使ったことがありましたが、あまりコミュニケーションがうまく取れなかったからです。多分指でポイントできる様になったからだろうと考えました。


 友人から4000円で買ったウィンドウズ・タブレットにアクセス・ランタイムをインストールし、マイクロソフトのアクセスで自作したトーキング・エイドソフトを入れました。今は使っていない小型のBluetoothスピーカーを接続し、家の中だったらスピーカーさえ持って歩けば、トーキング・エイドからお母さんに話しかけられる様にしたのです。声は僕自身で録音しました(^^;)


 そしてそのトーキングエイドや文字盤を使ったコミュニケーション練習が繰り返し行われましたが、どうも反応されるときと反応されないときがあるのです。全体には反応されないことがはるかに多く、文字盤を使ったコミュニケーションも結果、大きな進展がありません。


 家庭でもできるだけ文字盤を使ったコミュニケーションは繰り返されましたが、上手くいかないときがはるかに多いのです。


 文字は確かに読めるはずなのに、全く反応されないことが遙かに多い。これが問題でした。


 文字を大きくしたり、色を変えたり、配置を換えたり、文字盤までの距離を変えたりします。でも改善は見られません。指さしの動きは、正確ではなくてもある程度いつでも出ていたので、指さしではなく、実は意識レベルが低いとか意欲があまりないのではないかというのがセラピスト側の考えでした。仮面様の顔貌のことが多く、意識レベルが違っていても読み取れないだけで、実は意識レベルが細かく変動しているとか・・・いろいろの意見が出ました。でも明らかに言葉に良く反応されているときでも読めないのです。


 ではあの「テニス」と指さされたのは何だったのか?どうも判然としません。(最終回に続く)

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西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



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リハビリの第3の選択肢

目安時間:約 4分

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「CAMR Facebookページ回顧録」のコーナーです。
今回は「リハビリの第3の選択肢」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



リハビリの第3の選択肢(2013/12/19)



対症療法的アプローチ:出てきた症状のみに集中する。たとえば脳性運動障害後の過緊張を落とすことに集中して、落ちた途端に安心する。しかし時間が経てば元通りだ。


根本的アプローチ:根本原因を探して、それを解決しようとする。もちろんそれが可能なら結構なことだ。しかし不可能な例も多い。たとえば脳性運動障害に対して、脳細胞の再生や代償を信じる。そこで健常者の運動の形をモデルにひたすら繰り返す。つまり新たに健常者の運動を学習しなおす。脳の細胞が壊れたのだから脳を機能的に回復させ、麻痺を治そうとする。根本的解決、万歳!


 しかし実際には達成できない。「根本的治療は対症療法と違って、完全な解決を目指すので、遠大な目標である。すぐに達成できないのも無理がない」といささか現実逃避的。「いや、これからの科学の進歩はきっと夢を実現する」という人もいるが、私たちは将来の話をしていられない。今、目の前に問題を抱えたクライエントがいるのだから。こうしてともすれば達成不可能な夢を追って、目の前の現実から目をそらすという「ユートピアン・シンドローム」に陥りがち。


CAMR:運動余力をできるだけ改善し、システム内の作動を変化させることを考える。症状を消すことでも完全解決することでもなく、状況をできる範囲で変化させることを考える。たとえば過緊張を落として運動範囲を広げる。達成可能な課題を通して、広がった運動範囲を基に新しい運動スキルの発達を図る。たとえ小さなことでも成功経験を積み重ね、今この場で1歩でも進めること、一歩先でも維持できることを考える・・・


対症療法、根本的アプローチに続く第3の選択肢である。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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