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運動リソースとリハビリ(その5)193週目
今回は環境リソースについて考えてみたい。
このシリーズの第1回で、CAMRでは運動リソースを①身体リソース②環境リソース③情報リソースの三つに分類した。
そもそも学校で習う人の運動システムというのは、皮膚に囲まれた身体そのものを指している。
しかし人の運動システムは、課題達成においてはもともと皮膚の内外という区別をしていないように思える。たとえばあなたの背中が痒くなる。そうすると「背中を掻いて痒みをとる」というのがすぐ達成するべき運動課題になるわけだ。
まあ、若い人はわからないと思うが、歳をとって身体の多様な活動量と種類が減ってくると(あるいは体型の変化や変形、つまり肥満や拘縮などで)、背中の痒みに手が届かないところが出てくることもある。つまり身体リソースだけでは体の痒みをとるという運動課題を達成できなくなるわけだ。
すると人はどうするかというと自然にあたりを見回すものである。「背中を掻くために何か利用可能なリソースはないか?」と意識しなくても、自然に周辺を探すのが運動システムの基本的な性質である。
すると新聞紙を見つける。あなたは特に考えるまでもなくそれを手に取り、クルクルと丸めて棒状にして、それで痒いところを掻くことができた・・・「はあー、極楽、極楽・・・」
あるいは少し離れたところに柱を見つける。あなたは立ち上がりそこまで歩いて背中を柱の角に押しつけ、体をクネクネと擦りつける・・・「はあー、心地良いぜ!・・・」
あるいは通りがかりの家族に「ねえ、背中を掻いてくれない?」とおねだりすることもできる。「あー、もっと下、下、もっとー・・あー、そこそこ!はあー、気持ちいい!そこが良いのよ・・・」(下ネタではない)
つまり新聞紙や柱や家族がこの課題達成のための環境リソースとなるのだが、どうも運動システムは「課題達成のためにその時、その場で、利用可能なもの」を探して利用しているだけで、身体リソースか環境リソースかは気にしていない。課題が効率的に達成できれば何でも良いのである。
だから優れた環境リソース、たとえば良く気のつく世話好きな奧さんがいると、自分では何もしないで口ばかり動かしている旦那さんがいたりする。まあ、これはこれでしかたない。僕達の仕事は、患者さんの生活課題達成能力を改善することで、ある特定の価値観、「自分のことは自分でやるべき」を押しつけて生き方を変えることではない。
まあ、運動リソースの使い方に優先順位はあるようだ。人はまず身体リソースを中心に運動課題を達成しようとする。その方が手軽で効率的だからだ。しかしそれで上手くいかないと、身の回りに利用可能なものを探す。
そのことを理解して、ここにセラピストの役割が生まれる。患者さんと一緒に利用可能な身体リソースと環境リソースを探索して、試せるかどうかの試行錯誤をする訳だ。
以下、立位訓練を例に具体的に説明しよう。
脳卒中発症後3日目の患者さん。麻痺は中等度、端座位保持は可能で初めての立位の練習。健側手で平行棒をつかんで椅子から立とうとしたがお尻がわずかに浮き上がる程度。「体が自分のものではなくなった」という感想を言われる。
セラピストは患者さんの様子を見ながら、患者さんの身体リソースと環境リソースを探索、操作して利用可能かどうかを試行錯誤するわけだ。
前シリーズの「感動の運動スキル」でも書いたが、運動スキルの生成は患者さん本人が行うものだ。しかしセラピストはその時その場でコントロールできる運動リソースを操作して患者さんの運動スキルの創出、つまりこの場合は「麻痺のある体で立ち上がるという運動スキル」の創出を手伝うことができる。詳細は長くなるので次回に。(その6に続く)
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運動リソースとリハビリ(その4)192週目
さて、医療的リハビリのセラピストはこの「身体リソースの改善」を治療の主な手段としているのだが、ともすれば「身体リソースの改善」だけが我々の手段だと考えているセラピストもいる。そしてこの「身体リソースを改善するのが、我々医療的リハビリテーションのセラピストの仕事である」という思い込みは我々セラピストの可能性をとても狭めてしまう。
たとえば若手のセラピストからの以下のような話を聞いた。
「もう3週間も続けて筋トレしているのに、なかなか筋力が上がらない。歩行能力を改善することが目標なのにどうしたら良いんだろう?」などという悩みである。
詳しく聞いてみると「以前はしっかり歩いていたおばあちゃんだが、転倒して圧迫骨折を起こした。痛みはなくなっているがそれ以来、歩行不安定で筋トレしても筋力が改善しない。病棟の看護師からも『家族が待ってるんだから早く筋力上げて、歩行をしっかり安定させてよ』と言われて悩んでる」と言う。
「でも筋力は改善しないし、どうしようもないです」という。「筋力が改善できないリハビリや自分は無力である」と悩んでしまうようだ。
これはあまりにも身体リソースだけに焦点を当て過ぎている。リハビリの仕事は「身体リソースの改善である」と思い込み過ぎている。彼のいる若いスタッフばかりの職場では、皆が同じように悩んでいるという。「どうして筋力が改善しないと思うか?」と聞くと「転倒時に末梢神経麻痺が起きたのかも・・・」と答える。
どうも詳しく聞いてみると、両手杖や伝い歩きなどでも何とか移動できそうなレベルである。
「そうだね、じゃあ環境リソース、たとえば屋外ではシルバーカーとか、屋内では両手杖と家具や壁の伝い歩きを検討したら?」
「でも病棟もスタッフも、家族は独歩を希望しているんだからその希望に応えるように努力しようよって感じで・・・・」と答える。
「ああ、なるほど」と思う。
僕が思うに、医療的リハビリのセラピストは自らの仕事の限界について語るのが苦手な人が多い。たとえば「麻痺があると筋力の改善は難しいというかほぼできません。だから独歩で安定して歩くのは難しいです」とはっきり言うことを恐れる人達がいる。
・明るく、いつも前向きなセラピスト
・クライエントの希望を大事にするセラピスト
・熱く理想を語るセラピスト
・「諦めたらそこで終わりだ」が口癖のセラピスト
上記のようなイメージが医療的リハビリのセラピストの目指すべき姿だと思っているのではないか。その若いスタッフも現実とその理想の狭間で苦しんでいるのだろう。
だが考えてみるとどんな職業にも限界がある。それが当然だ。そして成熟したプロフェショナルは、自らの仕事の限界についてもよく知っているし、それを隠す必要もないと考えるものだ。事実なので。だからこそ、その限界の中でできる限りの代替案を考え出したり少しでもクライエントの意向に添えるように工夫したりするものだ。(もっともテレビで「ザ・プロフェショナル」のような一職業人を理想化して扱う番組もあって、「限界はないんだ!」みたいに高らかに讃えたりするのでやりにくい。まあ見るとやる気になるのも確かだしね(^^;)それに、簡単に諦めてすぐ楽をしてしまうセラピストが実際にいるのも問題だしね(^^;))
でも自らの仕事の限界を認識して「自分のできること、できないこと」が明確でないと、ズルズルとゴールも決めないまま仕事をしてしまうことになる。独歩の見通しは立たないのに、それを患者さん本人や家族に黙ったままズルズルとその努力を繰り返すのはプロとしてどうなのか?
「独歩はできません。その代わり、シルバーカーで屋外歩行はできますし、室内は杖と壁、家具の伝い歩きで十分に独りで移動できるように努力することならできます。それでも良いですか?」と自信を持って提案できるようになるべきでは?それで了承してもらえるなら、それに向かって最大限努力すれば良いのである・・・・ ごめんなさい、ちょっと今回はテーマから逸脱してしまいました(^^;) 次回は環境リソースについてです。(その5に続く)
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運動リソースとリハビリ(その3)第191週目
今回も「身体リソース」の続きで「柔軟性」から。柔軟性のリソースは、患者自らが運動課題を通じてアクティブに動けば、それに伴って改善することもできる。しかし、可動域低下があれば自分で動ける運動範囲は自然に小さくなるし、筋力が弱くても十分に運動範囲を広げることはできない。
そのため多くの場合、徒手的療法または自己あるいはセラピストによるストレッチが手っ取り早く、効率的に改善できることが多い。
また柔軟性改善で常に気をつけるべきは、全身は筋膜で繋がっているということだ。たとえば足関節の可動域低下があると、膝痛・腰痛・肩凝りや股関節・体幹など遠く離れた部位の可動域が小さくなるなどの問題は同時に存在しやすい。足関節に可動域低下が見つかったから、足関節の可動域改善だけを行うよりは、できればもっと広範囲に全身性に改善する方がより良い効果が出る場合が多い。 上田法の体幹法のような徒手的療法は、体幹を含め四肢の関節を一度に柔らかくするのでお勧めである。
この柔軟性と前回取り上げた筋力は運動における中心的な身体リソースと言ってよい。
豊富な筋力と柔軟性は、広範囲で多彩で無限の軌道を生み出し、よりしなやかで力強い運動を生み出す。つまり筋力と柔軟性は豊富であれば豊富であるほど、生活課題達成力をより改善する可能性がある。
しかし脊髄損傷のように広範囲にマヒがある場合、筋力改善は望めなくても、柔軟性を高めることでできることが増えることはよく知られている。たとえば床上座位からプッシュアップで車椅子への移乗や靴下履きなどである。
同様に脳性運動障害でも筋力改善はあまり期待できないこともあるが、体幹の可動域が改善すると寝返りができるようになって床上移動が実用的になることもある。体幹の柔軟性が増すと、小さな力で体幹部の重心移動が行えるようになるからだ。
つまり柔軟性の改善だけによっても運動スキルは多彩になるわけだ。
柔軟性は大抵の場合、我々セラピストが改善できる運動リソースなので大いに試してみる価値はある。
もう一つ。痛みもまた身体リソースであると言うと意外な顔をされる。普通「資源として役に立つもの」と思われがちだが、「運動を形作るもの」が運動リソースであり、痛みは 運動にかなりの影響を与える。
ただし痛みは運動を形作るリソースではあるが、運動パフォーマンスの改善を妨げることから「負の身体リソース」と言える。痛みがあれば筋活動が低下、つまり筋力低下を引き起こすし、運動や重心の移動範囲を小さくしてしまう。つまり柔軟で適応的な運動が制限される。
疾患・障がい・性別・年齢に限らず、痛みは多くの人達について回る問題だ。運動パフォーマンスを改善する意味でも、その時その場で痛みをできるだけ改善する技術である徒手的療法などはセラピストにとっては必須の技術だろう。(その4に続く)
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運動リソースとリハビリ(その2)第190週目
3種の運動リソースのうち、最初に取り上げるのは「身体リソース」である。「身体リソースとは?」
身体リソースはまず身体そのものであり、身体が備える能力や性質である筋力、柔軟性、持久力、そして痛みなどである。
我々、医療的リハビリテーションのセラピストはこの「身体リソースの改善」を治療のための主な手段としている。
もともと医療的リハビリテーションは、整形疾患を中心に発達してきた。たとえば骨折は固定や手術で時間が経つと治ることも多い。また「右下腿骨折」のように傷害は部分的であることも多い。つまり部分的で、時間の経過とともに治る傷害である。
そうすると傷害されていない大半の体は特に大きな問題もなく、多くの運動スキルは無事に残っている。さらに傷害された部分が治癒するにつれて、患者さんは自然にその治癒された部分を使って、必要な運動スキルが再建され、元通りの健康時の運動スキルを使って生活課題達成力は改善する。
従って部分的で一時的な傷害の整形疾患などを相手にするセラピストは、現在でも運動スキルを問題にすることはあまりない。そして未だに「身体リソースを改善さえしておけばリハビリの目的は果たされる」と考える傾向は強い。まあ、対象疾患が部分的で一時的な整形疾患であればそれでも良いとは思う。
だから一般的に学校教育でも身体リソースを主に改善することが教えられる。それが医療的リハビリテーション教育の伝統である。(実際に学校教育の中で教えられる運動スキルに関する知識は未だに古い体系の教えばかりである)
さて、身体リソースの中でもっとも大事なのは筋力リソースだろう。動くために必要なのは力だ。この改善方法は徒手や機械・器具などを使った様々な方法がある。どれを選択するかは患者さんの状態と訓練環境に応じて工夫すれば良い。
しかし筋肉の活動は機械のエンジンのような単純なものではなく、状況によって働き方や収縮方法、結果が異なってくる。つまり筋力は常に使われる状況と目的によって運動スキルという文脈の中で働くものだ。
以前から言っているが、歩行のために大腿四頭筋を鍛えると言って、座って足首に重りを巻いて膝を伸展するのは、「骨盤を固定された状態から下腿を持ち上げる」という至極単純な運動スキルの文脈で行われている。
逆に立位では「他の全身の筋群と協調しながら重心線が基底面内に保持されるように膝を伸展させる」というとても複雑な運動スキルの文脈で働いている。同じ四頭筋の収縮とは言え、丸きり状況と目的が異なり、収縮の状態も結果も異なっているのである。 先に述べたように片側の下腿骨折のように傷害が部分的・一時的であれば、座って四頭筋を太らせてまず筋力改善すれば、その後自分で動いて適正な運動スキルを見つけ出すことができるので問題ない。
しかし脳性運動障害ではマヒが広範囲で継続する。体は障害によって未知のものとなり、自分だけでは改善された身体リソースを十分に使えなくなることも多い。
このような場合、座って筋トレして筋繊維を太らせても、いきなり歩行に役立つわけではない。セラピストの課題設定や介助を借りて、実際に歩きながら改善した筋力が必要な役割を果たすような運動スキル・トレーニングは別に必要になる。
またセラピストが最初から「立位・歩行を通じて四頭筋の働きを強めていく」というような運動課題設定を中心にして身体リソースと運動スキルを同時に改善していく方法もある。CAMRの「実りある繰り返し仮題」などがそれに当たる。
たとえば背中に荷物を背負った立位で、左右への重心移動から片足立ちをするなどの運動課題である。これによって重心移動や支持、下肢の振り出しなどのスキルの中で、筋力を改善していくわけだ。
筋力という身体リソースは、単に筋繊維を太らせることも可能だが、それを尊ぶのはボディビルディングに人生の価値を見いだす人々くらいだろう。
リハビリの世界で求められる生活課題達成力改善の文脈の中では、筋力は基本的に課題達成の状況の中で、運動スキルに組み込まれて初めて適切にその役目を果たす器官であることは知っておいた方が良い。つまり筋を太らせるだけではリハビリの目的には適さないということだ。
次回は「柔軟性と痛み」という身体リソースを説明する。(その3に続く)
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運動リソースとリハビリ(その1)第189週目
運動リソースとは、動物が運動をするための資源である。システム論では、運動リソースとこれを基にした運動スキルを中心に、動物の運動・活動を理解することが多い。(「運動リソースは運動の資源で、運動スキルは課題達成のための運動リソースの利用の仕方」とCAMRでは定義している)
たとえば人が歩くためにはまず体という資源が必要だし、体に備わった筋力や柔軟性、持久力といった資源が必要だ。
また大地と重力という資源も必要だ。歩行という運動は真空中では起きない。歩行は大地と重力の間で起きているからだ。
もし目の前に溝があって渡る場合、渡れるかどうかわからないまま、一々実際に試していたのでは落ちて怪我をするかもしれない。効率も悪いし、危険だ。 だから渡る前に予期的にどう渡れるか、運動結果がわかった方が良いし、そして実際に私達はそれがわかるのである。つまり私達にとっては、溝の幅を見て「軽く跨げる」、「軸足で強く踏み切って跨げる」、「少し助走をつけて跳べば渡れる」、「渡るのは無理だからやめる」などという運動結果と課題達成の方法は自然に予期的にわかってしまう。
このように実際に試すまでもなく、あるいは少し跨ぐ姿勢に入ってみることで運動結果はわかってしまう。これによって効率的、安全、適応的な運動ができているとも言える。これは過去の運動経験と現在得られる身体や環境の状態を知ることを基にした「情報という資源」によってできるわけだ。
こうしてCAMRでは運動リソースは以下の3つに分類できる。
①身体リソース:身体と身体が持つ性質(筋力、柔軟性、痛みなど)。動物の動くための中心となる運動リソースである
②環境リソース:環境内に存在する大地や水、構造物、もの、動物。また環境内に存在する性質(重力、温度など)
③情報リソース:動物が活動によって得られる自らの身体、環境、身体と環境との関係に関する情報。環境・身体のどちらかに存在するのではなく、両者の関わり合いの上に存在するリソース。
今回は私達、医療的リハビリテーションのセラピストが知っておきたい運動リソースの話である。そして次回取り上げるのは「身体リソース」である。(その2に続く)
追記:これまでCAMRでは運動リソースは「身体リソース」と「環境リソース」の2種類であると説明してきました。今回は試験的に「情報リソース」を加えて3種類の分類にしています。
以前は「情報リソース」は身体の持つ性質、つまり「情報を生み出す性質」としていたのですが、いろいろと検討してみると「身体と環境の間に存在する」と考えた方が良いと考えるようになっていますが、まだ検討中です(^^;)いずれ次回に発刊予定の「リハビリのシステム論」(仮題)で、「臨床でうまく使える」ように説明できればと思っています。
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