CAMR超入門 よく目にする光景(その3)

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今回は「CAMR超入門 よく目にする光景(その3)」です。



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CAMR超入門 よく目にする光景(その3)2014/1/18



 若き日の僕は、「やはり根本的アプローチだよね!」と自然に思いました。だって小さな頃からテレビを見ていると、何か事件がある度に必ず専門家が出演し、「今回の事件の原因は・・」などと解説します。ドラマでもなにか事故が起きると「あわてるな!まず何が原因かを探ることが先決だ!」などと主人公が格好良く指示したりします。社会全体で何か起きる度にまず原因を探ることが先決だ、と考える流れが自然にできているのだと思います。



 「何か問題が起きた→まず原因を探る→その原因にアプローチする」という流れです。そして原因探求が根本原因に近付くほど根本的解決が導かれると考えます。これを「原因探求志向」と呼びましょう。原因をまず探せば解決法も見つかると考えます。僕達が馴染んでいる医学はこの傾向が強く、そして実際に効果的なアプローチです。



 しかし現実にはこのアプローチが有効でない場合も結構沢山あります。人の運動もそうです。ここでは人の運動は「様々な構成要素の相互作用から生まれるから」とよく言われる理由だけ述べておきます。このような多要素が影響し合って生じる現象というものは、たとえ原因を見つけても達成不可能な目標や解決不能の状況に陥ることも多いのです。



 たとえばイジメの原因は様々なレベルで原因が求められます。社会の構造から生じる歪みとかイジメ側の家族に問題があるとか虐められる側の子の性格に問題があるとか、いろいろです。でも性格や家族の有り様を変えるなんて誰ができるんでしょう。イジメのない社会を作るなんて絵に描いた餅じゃないでしょうか?



 結局イジメをなくすのではなく、イジメに対する学校の対応に問題があったとして教育現場の改善を行ったりします。そしてマスコミもそこに焦点を当てます。そう、誰もがイジメ自体をなくすことは不可能に近いと思っているのです。原因を探ったところで解決不能だと思っているのです。



 これはリハビリの現場でも同じで、原因を探ったからといって問題解決にはつながらない。たとえば僕が若い頃には以下のような考えが流行でした。「脳性運動障害は、脳細胞が壊れて脳の機能が失われたのが原因。だから使われていない脳の部分、あるいは脳細胞の再生などを利用して、健常者の運動をモデルとして繰り返し学習する。そして健常者の運動を患者自身で再現する」とする考え方が根本的アプローチと考えられていました。確かに健常者の運動が再現できると言うことは、「麻痺がなくなる」と言うことでもあります。



 しかしこれは結局達成不可能な目標でした。60年以上「麻痺が治った」という話は聞いたことがありません。



 それどころか新たな問題が生じました。あるセラピスト達は自分の能力が足りないからと自分を責めます。また他のセラピスト達は家族や他のスタッフが協力してくれないからと他人を責めます。患者様は「間違えた運動を憶える」という理由で歩くことを禁じられたことさえあります。



 皆「アプローチが間違っている」とか「達成不可能な目標である」とは考えていないようでした。まあ、他の選択肢がなかったと言うこともあるのでしょう。また正面から、これを「解決不可能な目標」と明言してしまうこと自体、敗北と感じてしまうのでしょう。だからこれは皆口に出さない。テレビのニュースで「イジメをなくすことは不可能です」と明言しないのと一緒です。



 でもこれは敗北ではありません。もともとどんな理論にも限界があるのです。科学が万能だとか社会は必ず幸福だけの世界に進化するとか、諦めなければ夢が叶うなどの考えが幻想に過ぎないのですから。夢を夢見て現実を否定するなんて馬鹿げた話です。(その4に続く) 文責:西尾幸敏



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①



【CAMR入門シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③
西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④
西尾 幸敏 著「リハビリの限界?:セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤



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CAMR超入門 よく目にする光景(番外編)

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今回は「CAMR超入門 よく目にする光景(番外編)」です。



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CAMR超入門 よく目にする光景(番外編)2014/1/12



シリーズの途中ではありますが、早くも番外編(^^ゞ



 これからシステム論の説明などに入のですが、その前に少し言っておきたいことがあります。



 以前の投稿で「CAMRは第3の選択肢」と述べています。この意味は、CAMRが「対症療法的アプローチや根本的アプローチに取って代わる唯一のもの」という意味ではありません。あくまでも3つのうちの一つの選択肢であるということです。



 対症療法的アプローチや根本的アプローチにたとえ問題があったとしても、それでダメだなどと言う気はありません。そんなのはむしろ当たり前なのです。どんな理論、アプローチ、考え方、技術にもそれぞれ良いところと悪いところがあります。限界があるのが当然です。もちろんCAMRもそうです。


 僕は臨床家だから、臨床家の目で理論や技術の良いところを見ています。理論や技術が問題解決のための道具と考えれば、道具の使い方を考えていくわけです。たとえば穴を掘るために、柔らかい地面ならスコップ、固い地面ならまずツルハシを選択します。固い地面が掘れないからスコップはダメだ、などという気はありません。それぞれ使いどころが違っているだけです。



 ただ自分がいつも臨床で選ぶ枠組みや技術が一つであれば、良いも悪いもないでしょう。一つしか知らなければ比較の対象がないからです。良いも悪いも、限界もできることも気づかないで仕事をしてしまうかもしれません。ひたすらどんな地面でもスコップを使うように・・・だから選択肢を持つことは重要なのです。(まあそれはそれでスコップ一つでいろいろな地面を掘ってしまう「スコップの達人」になるのかもしれませんが・・・(^^ゞ)



 ただしシステム論を読み進めるうちに不快を感じる方がいるかもしれません。それは無理のないことなのです。子ども時代からずっと「正しい世界の見方、考え方」と学び、同僚や後輩、子どもたちにもそう言い、説得してきた自分の考えや立場、生き方を非難されているように感じるからです。



 僕自身もそうでした。でもこれまでとは大きく異なる枠組みであるからこそ知る意味も大きい。



 ここから先へ進むには好奇心と同時に少しばかりの勇気が必要です。それは自分の知っている世界の外側に未知の世界があることを知る勇気であり、その世界へ踏み出すための勇気です。(その3へ続く)    文責:西尾



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①



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CAMR超入門 よく目にする光景(その2)

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CAMR超入門 よく目にする光景(その2)2014/1/4



 「その1」では、対症療法的アプローチが以下のような思考の流れから生まれてくることを説明しました。
①人はしばしば間違った姿勢や運動をするものである。
②そして間違った姿勢や運動は痛みや危険性、効率の悪さにつながる原因となる。
③だから専門家が、正しい姿勢や運動を指導・矯正しないといけない。



 対症療法的アプローチの特徴は、「どうして間違った姿勢になってしまうのか?」という原因追及のプロセスが抜けてしまっていることです。そこで以下のように流れを変えてみます。
①人はしばしば間違った姿勢や運動をするものである。
②間違った姿勢を取る原因を考えてみよう。たとえば背景には運動をしない生活習慣がある。結果体が硬くなり、特に下肢筋や腹筋が低下して悪い姿勢になってしまった。
③そして間違った姿勢や運動は痛みや危険性、効率の悪さにつながる原因となる。
④だから専門家が、根本原因にアプローチし、また正しい姿勢や運動を指導・矯正しないといけない。



 この流れの中では、ただ姿勢を直すように口頭指示してもダメだということが分かります。根本原因に筋力低下などが挙げられていますので、歩きながら指示するだけでなく、弱ったと思われる筋力や低下した柔軟性を改善する訓練が必要です。



 結果柔軟性が改善し、筋力もアップしてきて、良い姿勢の保持ができるようになります。



 さて、というわけで、若き日の僕もすぐに根本的アプローチの信奉者になりました。日々出会う多くのケースでは根本的アプローチは有効と感じられました。根本的アプローチ、万歳!めでたし、めでたし・・・



 しかしそのうち、幾つかの疑問、あるいは懸念を持つようになりました。(その3に続く)文責:西尾



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【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①



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リハビリの第3の選択肢

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今回は「リハビリの第3の選択肢」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



リハビリの第3の選択肢(2013/12/19)



対症療法的アプローチ:出てきた症状のみに集中する。たとえば脳性運動障害後の過緊張を落とすことに集中して、落ちた途端に安心する。しかし時間が経てば元通りだ。


根本的アプローチ:根本原因を探して、それを解決しようとする。もちろんそれが可能なら結構なことだ。しかし不可能な例も多い。たとえば脳性運動障害に対して、脳細胞の再生や代償を信じる。そこで健常者の運動の形をモデルにひたすら繰り返す。つまり新たに健常者の運動を学習しなおす。脳の細胞が壊れたのだから脳を機能的に回復させ、麻痺を治そうとする。根本的解決、万歳!


 しかし実際には達成できない。「根本的治療は対症療法と違って、完全な解決を目指すので、遠大な目標である。すぐに達成できないのも無理がない」といささか現実逃避的。「いや、これからの科学の進歩はきっと夢を実現する」という人もいるが、私たちは将来の話をしていられない。今、目の前に問題を抱えたクライエントがいるのだから。こうしてともすれば達成不可能な夢を追って、目の前の現実から目をそらすという「ユートピアン・シンドローム」に陥りがち。


CAMR:運動余力をできるだけ改善し、システム内の作動を変化させることを考える。症状を消すことでも完全解決することでもなく、状況をできる範囲で変化させることを考える。たとえば過緊張を落として運動範囲を広げる。達成可能な課題を通して、広がった運動範囲を基に新しい運動スキルの発達を図る。たとえ小さなことでも成功経験を積み重ね、今この場で1歩でも進めること、一歩先でも維持できることを考える・・・


対症療法、根本的アプローチに続く第3の選択肢である。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①



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西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③
西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④



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