CAMRの効用 その2 ※個人の感想です(^^;)

目安時間:約 3分

CAMRの効用 その2 ※個人の感想です(^^;)歩行時に麻痺側をまっすぐ振り出せと言われ続けた右片麻痺の患者さん。運動システムの立場に立ってもう一度患者さんの歩行を観察してみます。そうすると・・・患側下肢を振り出そうとしても麻痺のために振り出すことができません。「どうしよう?何とかしないと・・・」そこで健側へ大きく重心移動し、体幹を側後方へ反らせて患側下肢を持ちあげ振り出してみると何とか振り出せます。運動システムは、健側で支持して分回しというやり方で問題解決をして何とか課題達成をしていることがわかります。これを修正するためには「患側下肢の麻痺が治る、改善する」という条件が考えられますが、「麻痺を治すのは無理。運動システムがとった問題解決は現時点では最良なのだろう」と考え、ここにはアプローチしません。一方健側下肢の振り出しは、ほんの少しです。患側下肢の支持の時間がとても短いので、少ししか出せないのです。発症直後のリハビリでは、患側支持の練習もしたそうですが、「難しかった」そうです。長い在宅生活の中で、難しいからやらなくなったり、転倒の不安から麻痺側での体重支持を避けるようになってきたのかもしれません。つまり患側下肢をできるだけ使わないようにする「不使用」という問題解決を運動システムが選択したと考えられます。しかしセラピストの目から見ると、患側下肢の支持性はかなりしっかりしているように思います。実は10年間も歩き続けているので、患側下肢の支持性は急性期に比べてかなり良くなっているのです。運動システムの不使用の問題解決は無意識に起きているので、ご本人はまったく気づいていません。だから「良い足の方が出ない!!なんで?」と不思議がられているのです。運動システムはできるだけ患肢を使わないようにしているのでまったく気がついていない。もったいない話です。だから「患者さんと運動システムに患側下肢の支持性に気づいてもらって、それを積極的に使用する」方向へ持って行く必要があります。具体的なプログラムは、柔軟性を高めて運動範囲を広げるために上田法体幹法、患側下肢の荷重経験を積むために装具なしの立位左右重心移動・ハーフスクワット・装具つけて下肢横上げ・踏み出し練習、本人希望の屋外歩行(雨の日は廊下の往復)を行いました。患側支持は「病気になってすぐの頃のリハビリ以来だから、ちょっと怖い」と言われましたが、自分なりに動きの幅の目標を立てるなど、意欲的に取り組まれました。さてさて、その結果は・・・。(続く)

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CAMRの効用 その1 ※個人の感想です(^^;)

目安時間:約 4分

こんにちは、CAMR副代表の秋山です。

 「そんな役職あったんか⁉」と思われるでしょう。私も忘れかけていましたが、まだあったようです・・・。西尾代表のお留守の間、私なりのCAMRの見方をアップしてみます。と言っても、かなり前の投稿の再掲です。お付き合いいただけると幸いです。

CAMRの効用 その1 ※個人の感想です(^^;)

 OTの秋山です。CAMRがどんなものか話を聞いていただいた後、「おもしろい」「新しい視点を得られた」といった感想をいただくことが(よく!)あります。嬉しいことです。

 ただ、「では、どう使うか」となると、もうひと山あるようです。CAMRが読み物として面白いに留まらず、臨床で役立つように、身近な例を挙げてみました。

 その前に、CAMR初心者が戸惑いやすい、誤解しやすい点を挙げてみました。

 まず、「原因を追究しない。システムの作動をみる」という点です。言葉ではわかっても、では実際の目の前の患者さんの何を見ればいいのか?目に見えないシステムを想像するのか?でも、それって正しいのか?構成要素をどんどん細かく見ていき、正常との違いを探していく方法に慣れた身にとっては、難しいところです。

 もちろんCAMRでも、動きをみます。歩行なら振出しはどうやっているか、重心移動はどうか、などなど。

 その見方が、「正常からどれだけずれているか」というのは、従来のセラピスト目線の見方。CAMRでは「運動システムはどうしようとしているか」という運動システム目線で内部からの見方となります。「うーん、わかるような、わからないような」、かもしれません。まぁ、「運動システムの視点で見る」ということを頭の片隅に置いて、症例を見ていきましょう。

 訪問リハでの症例です。10年来の右片麻痺、自宅室内は短下肢装具+一本杖歩行で自立、屋外は見守りの方。普段は最小限の室内移動しかしないので、屋外歩行機会を持ってほしいということで訪問することになりました。

 実用的に歩かれていますが、これまでのリハビリで「右足をまっすぐ出すように」とずっと言われていていたけど、ずっとできなくて、それが「悩みの種。ちゃんと足を出して歩きたいけど、難しい」と言われていました。

 この方に対し、実用的に歩けているのだからリハビリに固執させてはいけない、「十分に歩けていますよ。細かいところを気にするより、やりたいことの目標をもって、どんどん外出しましょう」というアプローチも1つの方法だと思います。

 ですが、これでは本人が望む動作の変化は無視して、価値観の変化を求めることになります。

 それで患者さんが納得されることもありますが、いつまでも不満足なままということもよくあります。

 また、正常に患側下肢が振り出せるようにセラピストの監督下で徹底的に反復練習するという方法もあります。この方は今までそういう訓練をされてきたので、さらに私がやっても改善する気はしない…。麻痺が治る、とは思えません。

 これらの見方が、「セラピスト目線」です。「細かいことは気にしない」も、「正常歩行に近づける」も、セラピストが考えていることです。CAMRは、これらのアプローチとは違う視点で、別の方法を提案するものです。

 「患者さんの運動を、運動システムに視点から見たらどうだろう?」

その2に続く

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