「悪いところを見つけて治す」以外の発想(その1)
病気などになったとき、「悪いところを見つけて治す」という発想はごくありふれたものである。というより、それ以外の発想をなかなか思いつかないのではないか?
] 実はこれは「機械を直す」から来た発想かもしれない。西欧の思想の根底には、「人は神(又は自然)が作った機械である」という「人間機械論」という思想がある。だから西欧の人々は人体を機械として扱うことにあまり抵抗はないようだ。
実際に西洋医学はこの方法で大きな成功を収めた。悪いところを見つけて治し、治すことができなければ最近では「臓器移植」なども行われる。徹底的に構造を治すことを目指しているようだ。
このように人を機械として見る発想も非常に効果的なアプローチである。人を機械として見てもうまく行く側面があるのはもう間違ない。
そしてリハビリの分野でも、整形分野ではうまくいった。これでリハビリは社会的に存在価値を認められたわけだ。
そして脳性運動障害では脳の細胞が壊れるので、脳の細胞を再生したり、脳の機能を再生したりしようとした。しかしこれはどうもうまくいっていない。日本でもこの考え方が入ってきてから60年ほどになるが、未だにリハビリで脳の機能を再生してマヒを治したなどという科学的な報告はない。リハビリではどうも「脳を治す」というのは不可能ではないか。
実際に「この悪いところを治す」という発想では、「治す、交換する」ことができない部位の障害では壁にぶつかって手が出せなくなる。
しかし最近は、リハビリではなく電子工学などの分野の発達で、脳の機能を手助けするような取り組みで成果が見られる。たとえば経皮的に脳波を拾って、それで手の筋肉に繋いだ刺激装置に指令を出して手を動かすような機械である。 この装置のような環境リソースが発達すれば、この考え方もまた壁を乗り越えていくのだろう。
しかし、このような「機械を直す」以外の発想はないものだろうか?少なくともリハビリではこの考えは壁にぶつかっているようだから。
そもそも人は機械ではない。人は動物であり、機械とは異なった構造を持ち、機械とは異なった作動をするものである。だから動物の運動システムの構造とその作動を基にした別の発想のアプローチが本来あるはずである。
今回のシリーズではこれを考えてみたい。
まず基本、機械を修理するときには悪い部品やユニットを見つけて「直す、修理する、あるいは交換する」以外に修理の方法はない。それは機械の部品やユニットは最初からシステム全体の中で明確に役割が決められているからである。だからある役割を持った部品が壊れてしまうとシステム全体がうまく作動しない。ロケット打ち上げ失敗のように小さなたった一つの部品の故障で全てがうまく作動しなくなる。ビス一つにだって「固定する」という明確な役割が与えられているわけだ。
しかし人ではどうだろうか?腓骨神経麻痺を起こすと下垂足が起きる。もし歩行ロボットで足部を持ち上げる動力あるいは力の伝達装置などが壊れると同じようにつま先が垂れてしまうだろう。すると歩こうとするとつま先が床に引っかかり転倒してしまう。
もちろん人でもつま先を引っかけて転倒するが、何度か繰り返すうちに運動システムはCAMRが「自律的問題解決」と呼ぶ作動によって、「鶏歩」と呼ばれる歩き方を創出し、熟練することによって歩行動作を回復してしまう。ただ単に歩くだけのロボット、機械ではこんな作動は生まれない。
人の運動システムでは悪いところが治らない場合は、利用可能な別の運動リソースを置き換えて、新しい運動スキルを創出して問題を解決してしまうわけだ。各部位・要素の役割は固定されたものではなく、役割を交換したり新しい役割を生み出すような運動システム全体の再構成が行われる。
もし人の運動システムの作動の特徴をよく知っていれば、「悪いところを探して治す」以外の発想のリハビリ・アプローチも生まれるのである。(その2に続く)
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不思議なこと!(後編)
患側下肢の四頭筋の筋力検査をすると重力に逆らって全可動域を動かすことができないのに、その患側下肢を半伸展位で支えながら歩けるAさん。筋の収縮は弱いのにどうやって体重を支えるだけの収縮力を生み出すことができるのか?これが大きな疑問でした。
Aさんの訓練の後、また何人かで同じような経験をします。文献でクロス・ブリッジ説などを発見し、「これだろうか?」と思ったりもしました。でもなんかピンとこない。
そんな日々、溜まった文献を整理しようと取りだしたところ、偶然一番上に置いた論文を見るとKatz1)のものでした。この論文は、アメリカの理学療法士がシステム論に向かう一つのきっかけとなったということで、昔読んだものです。 でも見た瞬間に、何か引っかかるものがある。そこで久しぶりに読んでみると、「あ、これではないか!」と思いました。キャッチ収縮の説明があったのです。すっかり忘れていた、というより最初に読んだときにその価値に気がつかなかったのです。
キャッチ収縮はここでも再々紹介していますね。通常カルシウム濃度が上がるとミオシンとペクチンが滑り込み、筋の収縮が起こります。しかし、ある一連のタンパク群の影響で、カルシウム濃度が下がっても収縮が解けずにそのまま収縮状態を維持します。これがキャッチ収縮で、エネルギーを消費しない収縮形態ということで知られています。またこれには電気活動が伴わないので筋電図活動が見られないのです。
更にキャッチ収縮で検索してみると、日本にはこのキャッチ収縮の研究者が何人もいます。論文を探して何本か読んでみると、平滑筋でキャッチ収縮を起こす一連の蛋白群と同様のものが骨格動物の横紋筋でも見つかっている2)という内容です。
Katzの論文には更にDietz3)らの論文も紹介されています。足関節の背側可動域が保持されていても尖足歩行をしている脳性麻痺児と成人片麻痺患者で、筋電図活動が調べられました。尖足位で歩いている患者の立脚期には腓腹筋の筋電図活動が見られませんでした。尖足位で体重を支持しているのにです。Bergerら4)は片麻痺患者の歩行中の両側アキレス腱の張力発生を調べました。立脚相の間、患側腓腹筋は張力を発生していましたが、やはり筋電図活動は見られませんでした。これらの研究では筋電図活動が見られないにも関わらず、張力が発生していることを示しています。
でもこの説明は、まさしくキャッチ収縮の性質に当てはまります・・・・・と、ここで僕の知識は止まっています。もう20年も前のことになります。
その後CAMRの体系化に向かって取り組んでいたので、この手の基礎研究を学ぶことは自然にしなくなってしまいました。
実は色々なセラピストと話してみると、意外に多くの人が僕と同じ経験をしていました。臨床では当たり前の現象であり疑問なのです。それなのになぜ大きな話題にならないのでしょうか?様々な研究が出てこないのでしょうか?不思議なこと!
これらの筋収縮に関する新しい知識をお持ちの方、僕を含めて皆さんにも教えていただけると助かります。
さて、Aさんは反張膝歩行に納得されたままだろうか?
今思うと、反張膝歩行は省エネでとても効率的です。初期には下り坂などで膝折れを起こしやすいので危険ですが、次第に全身が反張膝を維持するような運動スキルを獲得するので安定して歩けるようになります。
以前は「反張膝」を続けると膝痛を起こす原因となるから修正するべき」みたいな意見もありましたが、僕の経験の中では10年以上反張膝歩行を続けても膝痛はないという人ばかりです。因果の関係はあまりないのではないか、と思います。本人が歩行の形を気にしなければ麻痺のある方にとっては一つの選択肢として良いのではないか、などと思います。
ちなみに僕の経験では、急性期で立ち始めたときから患側下肢の半伸展位での支持と重心移動の運動課題を繰り返すと、反張膝になった例は一つもありません。しかしいったんできた反張膝歩行はほぼ修正不可能だなと思います。(終わり)
【引用文献】
1) . Katz RT, Rymer WZ. Spastic hypertonia: mechanisms and measurement. Arch Phys Med Rehabil. 1989;70:144-155. 46.
2) 盛田フミ: 貝はいかにして殻を閉じ続けるか?-省エネ筋収縮”キャッチ”の制御と分子機構. タンパク質 核酸 酵素 Vol33 No8, 1988.
3) Dietz V, Quintern J, et al.: Electrophysiological Studies of Gait in Spasticity and Rigidity. Brain, 104:431-449, 1981.4) Berger W, et al.: Tension development and muscle activation in the leg during gait an dyspastic hemiparesis: in dependence of muscle hypertonia and exaggerated stretch reflex. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 47:1029-1033, 1984.
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不思議なこと!(前編)
片麻痺になって3年のAさん。
普段は杖歩行中に患側下肢に反張膝が見られます。
「患側下肢は麻痺のため十分に力が生み出せないから支持性が弱い。それで骨と靱帯で作られる制限を利用して膝関節を固定して体重支持をしているのだろう」と考えます。
Aさんは「娘が言うには、歩く時に膝がカクッ、カクッと止まって歩き方が変だから歩き方を治してもらいなさいというので治してほしい」と言います。
しかし「筋力がないので、反張膝で支えている。もし膝を半伸展位(半屈曲位)で支えようとすると膝折れが起きるのではないか?」と考えて、まずその姿勢が可能かどうか試して見ますと・・・できるのです。患側下肢の半伸展位で支えながら健側下肢を振り出すことが可能です!それなりに支持性があるようです。
「何だ!できるじゃないですか!その調子で歩いてみましょう!」
Aさんは最初の2ー3歩は慎重に患側下肢の半伸展位で支えるのですが、それを過ぎるとやはり反張膝で歩かれます・・・・それから色々試行錯誤してみます。両脚とも半伸展位で歩いてもらったり、杖ではなく手すりを持って歩いたりしてもらいます・・・
でも慎重にゆっくり歩く最初のうち膝は半伸展位で歩かれるのですが、すぐに反張膝に戻ります。それに手すりを持っていると良いのですが、杖になると元通り。悩ましい! 休憩時に椅子に座っているときに、ふと思いついて四頭筋の筋力検査をすると重力に逆らって全可動域動かせません。下腿に軽く触れるだけで、下腿は簡単に落ちてしまいます。
「これは、これは・・・」麻痺のため弛緩気味の脚は、間違いなく必要なだけの力を生み出せていないのです。でも立って膝関節を半伸展位で支えているのです!
「はてさて、どういうことか・・・・・?」
理学療法士になって小児施設や学校の教官で16年を過ごし、僕にとって初めて見た成人の片麻痺患者さんでした。「こんな不思議なことがあるのか!」と驚きました。歩行時の半伸展位での支持は確かにできています。でもその収縮力はどこから生まれているのか?たくさんのセラピストに聞いたり文献を探したりしましたが、明確な答えはありませんでした。
自分なりに仮説も立てました。「ある程度引き延ばされた筋が体重をかけながら収縮すると強く活性化されて狭い範囲で強い収縮力が出るのではないか?」とか「錘体外路系の収縮の利用か?」などです。座位や立位でいろいろと仮説を試して見ましたが思ったように上手く行かないし、Aさんも少し迷惑そうです。
ともかくAさんの依頼もあります。反張膝歩行の修正は続けます。「半伸展位での支持性は長く保たないのかもしれない」と考え、患側下肢を半伸展位のまま長い時間、健側下肢を様々な方向に踏み出す練習などもします。何週間もかけて患側下肢を半伸展位のまま歩く練習もかなり長くできるようになりました。
Aさんも患側下肢を半伸展位で支えることに自信を持たれるようになりましたが、それでも普段の歩行では反張膝歩行は治らず、「はあー、だめだねえ・・」とAさん自身が「仕方ないねえ、やるだけはやったわ!」と諦めてしまいました。
それはともかく不思議なのは麻痺の脚が歩いているときだけに強く収縮して体重を支えながら重心移動ができていることです。(後半へ続く)
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「独りで考え、行動する訓練」
昔、実習にきていた作業療法科の学生さんが新しい訓練のアイデアを相談してくれたことがある。
彼のアイデアを簡単にまとめると、「トイレ付きでベッドと食卓、流し、食器棚、冷蔵庫、本棚、ゲームなどのアクティビティ類などの揃った部屋を用意して、その中で独り、数時間から一日過ごしてもらう。冷蔵庫の中にはお弁当やサンドイッチ、色々な飲み物を置いておく。お腹が空いたら冷蔵庫のなかのものを食べてね」と指示するのだそうだ。患者さんはもちろん室内自立している患者さん。そうすると「独りで時間を過ごすことから患者さんはいろいろ経験し、学ぶのではないか?」というのだ。
これは「独りで考え、行動する訓練」と名付けるという。
「どうしてそんなことを考えたのか?」と聞くと「僕のおじいちゃんは病院のリハビリで歩けるようになった。病院ではとても一生懸命歩いていたし、リハビリの先生も『意欲的な患者さんです。家でも歩けます』と説明していた。それなのに、家に帰ると歩かなくなってしまった。意欲がなくて、なにもかも家族任せである。結局病院では何をするにも指示に従って動くだけである。だからダメなのだ。アクティビティだって先生から与えられるだけだ。なにができるか、なにができないか、そして何をしたいのか、独りで考え、探し、試し、実行する経験が必要ではないか!」ということだ。
なかなかの熱弁だったので印象に残った。普段は礼儀正しく、もの静かで冷静な学生さんだった。
僕は「面白いね」と表面的には答えたが、あまり実現できそうにないし、第一あまりやる意味が感じられなかった。そこで主にはどうして実現が難しいかという理由を説明したと思う。
一方で、学生さんなのにすでに新しい訓練が必要であると考えているところがすごく頼もしく、感動した。人からいわゆる「正しい答え」を教えてもらうことが当たり前で、いつまで経っても自分で判断しようとしないセラピストが多い中で、少なくとも自分の頭で考えようとしているその姿勢に感動した。そこをもっと褒めるべきだったか・・・
まあ、その話はそれっきりになってしまったが、久しぶりに何かのきっかけで思い出した。なんとはなしに面白そうではあるが、色々考えてみたがやはりあの訓練はなにが期待できるのか、今ひとつピンとこない。僕の頭は硬いのだろうか?と思ったりする。それともなにか画期的な可能性を秘めているのだろうか? 皆さんはどう思います?(終わり)
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その8最終回)
今回は人の運動や運動システムの特徴について検討してみた。それによって患者さんの運動障害をより深く理解したり、アプローチをより効果的に実施したりすることができるということを示してきたつもりである。
ただ、このシリーズの「その1」で挙げた学校で習う「構造と機能」から理解する視点は、今さらだが少し説明不足だったのでここで補っておく。
人の体を機械とみなして構造と各器官の機能などを理解しておくことは、西洋医学の基本である。そしてこれによって医学は大きく価値を認められ、進歩したのは間違いない。リハビリの分野でも、特に整形疾患などの分野では目覚ましい効果を上げてきたことによって、世間にその存在価値を認められたのである。 つまりこの視点での捉え方自体は、整形疾患などの領域では非常に効果的である。
しかし脳性運動障害などの領域では、これまでこの視点からのアプローチは「脳を構造的、あるいは機能的に治す」ことに集中したもののあまり効果を上げてこなかった。整形における義肢・装具のような効果的な環境リソースで脳の機能を補うこともできなかったからだ。
ただ最近ではリハビリではなく、電子工学の分野で脳波を拾って、筋の収縮をコントロールするような新しい技術が生まれてきており、この視点からのアプローチの発展は非常に楽しみではある。
一つ言えるのはどの見方にも長所があり、短所もあるということだ。つまり二つの見方を持つことで、お互いの短所を補える訳だ。
さて、システム論の「運動システムの作動の視点」からは、主に3つの特徴を理解することによってセラピストのやるべき内容が明確になった。
①状況性という特徴を支えているのは、豊富な運動リソースと多彩な運動スキルの創出である。まず私たちセラピストがやるべきことは、運動リソースをできるだけ豊富にし、運動スキルの創出能力を高めて多彩にすることである。
②課題特定的という特徴から、運動リソースの豊富化と運動スキルの創出能力や多彩化は、患者にとって必要で具体的な課題を通して行われるということがわかった。それ故課題設定と修正はセラピストの重要な仕事である。
アメリカの「課題主導型アプローチ」はこのアイデアが中心に展開されている。ただこれまでの学校で習う要素還元論の考え方を否定したりして、まるで過去に積み重ねてきた経験や知識を捨て去ってしまうような考え方にやや危うい感じを抱くのは僕だけだろうか?
③自律的問題解決という特徴から、システムの自律的問題解決とそれが偽解決という状態に移行しやすいことを理解することが重要である。常に自律的問題解決が偽解決に陥っていないかどうかを評価すること。そして陥っている場合は、偽解決の状態から救い出す方略を考えることが必要である。
さてどうだろうか?実はまだまだ考えるべきことは沢山あるのでだが、また別の機会に検討したい(終わり)
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その7)
今回は「自律的問題解決」という特徴のまとめである。前回までで、脳性運動障害後に起こる「硬さstiffnessの問題解決」を例に、自律的問題解決が通常、あり合わせの運動リソースをなんとか使って行われるため、過緊張のような偽解決の状態を伴うものであることを説明した。
運動システムは、必要な課題達成に問題が起こると、自律的問題解決という作動によって問題を解決して必要な課題を達成しようとする性質がある。この問題解決がうまく機能する場合もあるが、残念ながら偽解決の状態に陥ってしまうことも多い。
運動システムの自律的問題解決は、あり合わせの運動リソースを使って行われるため、必ずしも上手く機能しないことも多い。また少しでも上手く行きそうならそればかりを繰り返してしまうこともある。結果、偽解決の状態になるわけだ。
さて、ここまでで例に挙げたこの「硬さの自律的問題解決」はCAMRでは「外骨格系問題解決」と呼ばれる。 CAMRでは人の運動システムでは、「外骨格系問題解決」を含めて以下の6種類の問題解決方略があると考えている。
①探索利用スキル
②外骨格系問題解決
③不使用の問題解決
④骨靱帯性問題解決
⑤健康時の問題解決
⑥安心確保の問題解決
各問題解決方略には、それぞれ特徴的な偽解決の状態が起こりうる。詳しくは拙書「リハビリのシステム論(前・後編)-生活課題達成力の改善について」を参照してほしい。
さて、このような偽解決の状態から抜け出すことは、もう患者さん自身では難しい。自律的問題解決の作動は、本人の意識とは独立して起こるので、患者さん自身なにが起きているのか理解することはできない。患者さん自身が、自律的問題解決による現象を、障害の症状と理解してしまう。だからコントロールもできない。
そこでセラピストの役割が重要になる。患者さんが運動課題を通して、偽解決の状態に陥らないようにする必要があるし、もし偽解決の状態に陥っていたら、そこから抜け出す方略を立てて助ける必要がある。
偽解決の状態は、運動システムが持っている能力を発揮し、生活課題達成力を改善していくことを邪魔するからである。まず偽解決の状態から抜け出さないと本来の能力を発揮することは難しい。
だからセラピストは人の自律的問題解決の作動とその後に起きる偽解決の状態についてよく知っておく必要がある。そうすると以下のような解決例も出てくる。
たとえば体が硬くなることで悩んでいて、何年も病院巡りをする患者さんがいた。そこでまず上田法を実施して体の硬さが取れることを実感してもらう。「軽く動けるわい」と喜ばれる。
そして「あなたの体は、麻痺(弛緩)した身体で動くために頑張って硬くしてるんですよ。でもじっとしていると体は仕方なくこの硬くするという解決方法を繰り返すだけです。他にやりようがないからです。
しかしできるだけ多様に動いていると、力がついてきて、この硬さの問題解決に頼ることがなくなります。動いていると硬くなることに頼らなくなるんです。だから無理しない程度に動き続けることは大事です」と説明すると、自ら積極的に動いて、「確かに動くと以前のように体が硬くならなくなったわい」とこの作動の意味を納得されたようだ。
さらに「どうも最近、背中に余分な硬さがあって、これだけが不快じゃからこれを上田法で取ってくれ」などと言われるのである。硬くなること自体は問題解決という「基本的に価値のあること」とリフレイミングされてあまり悩まなくなったとも言える。(次回最終回に続く)
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その6)
前回は脳性運動障害によって身体の部分あるいは全体に弛緩した状態になることが脳性運動障害のスタートの状態ではないか、と述べた。
そして弛緩状態では重力に対して適応的に動くことができないので、弛緩した部分を持続的に硬くしていくという問題解決を運動システムがとっていると考えられる。
確かに硬くすることでコントロールが容易になることがメリットなのだが、残念ながら元々あり合わせのものを使った応急的な問題解決である。
弛緩した筋群が少しでも硬くなって支持などに使えるようになると、そのメカニズムは有利であるので繰り返される。というより、運動システムはまずはできることを繰り返していくしかないわけだ。結果、際限なく繰り返して使うため、しばしば硬くなりすぎてしまう。そして運動範囲や重心の移動範囲が小さくなり、時には動けなくなるくらい硬くなる。さらには拘縮になったり、知覚異常や痛みを生み出したりもする。
こうなると本来問題解決だったものが、新たな問題を生み出してしまう。このような問題解決が新たな問題を生み出すような状態は、CAMRでは「偽解決」と呼ぶ。
軽度~中等度麻痺では、筋力もある程度残っているので、硬くなった部分を何とか利用して色々な生活課題を達成するわけだ。しかし、硬くなりすぎると運動範囲や重心の移動範囲が制限され却って動きにくくなってしまう。つまり偽解決の状態になる。
リハビリの徒手的療法、たとえば上田法等でこの硬さを減少させると、運動は大きくスムースになるため、「この硬さが健常な運動の出現を邪魔していた」と誤解しがちだった。でも実際には、本来の障害ではなく、偽解決の状態を改善していたわけだ。
弛緩状態の体で動くためには、弛緩状態の筋群を硬くすることが必須である。だから硬くすること自体が悪いとは言えない。しかし硬くなりすぎることが、逆に新たな問題を引き起こしていたし、見た目の現象もより複雑になったわけだ。 実際にボトックスなどで過緊張を落としすぎると元の弛緩状態が露わになって動きにくい、動けなくなってしまうこともよく知られている。
また重度の麻痺では、たとえ体を硬くしても元々動ける部分が少ない。だから硬さを更に増してなんとか動こうと際限なく硬くすることを繰り返す。だから重度では全般的に強い硬さだけが目立ってしまう。こういった方をボトックスや上田法などで柔らかくしても、重度の弛緩状態が露わになるだけである。
とは言え、強い過緊張状態は、呼吸状態や血液循環を低下させ、変形を起こし、痛みを引き起こして患者さん自身を苦しめるため、リラックスできることは非常に重要で意味がある。リラックスできれば、呼吸が楽になり、痛みが治まり、周りや身体の状態をモニターしたり必要な反応を生み出したりすることに集中できるからだ。
つまり軽度~中等度の麻痺の方では、偽解決の状態を改善し本来持っている運動範囲や重心の移動範囲を十分に利用できるために「偽解決による必要以上の硬さ」を軽減させることが必要。そして重度の麻痺の方にはリラックスしていただくために、強い硬さを改善する上田法などの徒手的療法は必要なのである。
しかし硬さを軽減させるだけでは不十分である。硬さを改善してもまたしばらくすると硬くなってしまう。運動システムの自律的問題解決の作動である「硬さを生み出す」ことは停止しないからだ。だから偽解決は繰り返されてしまう。つまり繰り返し硬くなる。
従って上田法などで硬さという状態を改善した後は、これまで述べたように筋力、持久力などの身体リソースや身体と周囲の状態を知る情報リソース等、また身近な生活課題を達成するために有利な装具や補助具などの環境リソースを提供し、それらの運動リソースを十分に使いこなすための運動スキル学習を進めていくことが重要である。
特に硬さを増す問題解決は、もともと筋力の弱さを補うための問題解決方法である。軽~中等度の麻痺では、筋力改善の可能性もあるので過緊張を軽減した後で筋トレを行う方が良い。筋力が少しでも強くなることで、硬くする問題解決方法へ依存することも減ってくる、つまり持続的な硬さの状態が軽減してくる。偽解決の状態を防げるわけだ。
実際に尖足で歩いている子どもさんの筋力強化をすると尖足が改善、あるいは見られなくなるなどは現場でよく知られている。脳卒中後の患者さんも屋外歩行を続けている患者さんでは硬くなることが抑えられていることが臨床家の実感としてよく話される。筋力の改善によって運動システムが「硬さstiffnessの自律的問題解決」に頼らなくても動けるようになったからと考えられるのである。
自律的問題解決は通常、あり合わせの運動リソースをなんとか使って行われるため、このような偽解決の状態を伴うものなのである。(その7に続く)
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その5)
さて、自律的問題解決という特徴の続きである。
前回は脳性運動障害後に硬くなるという現象は人の運動システムの「自律的問題解決」という作動の結果ではないか、と述べた。脳性運動障害の症状が複雑に見える1つの原因は、脳性運動障害の元々の症状に、この自律的問題解決による硬さなどの陽性徴候の現象が加わることでより複雑になっているのではないか。
そしてこの硬さという現象はとても目立つので。いつのまにか「脳性運動障害では硬さが主な症状であり、そしてこれが原因となって正常運動の出現が阻害される」という間違った因果関係も言われて、現場がますます混乱してしまったのではないか、と述べた。
少し脇道に逸れることになるが、今回はこの脳性運動障害後に現れる硬さstiffnessをもう少し詳しく説明しておきたい。このことを通して、人の運動コントロールの複雑さを知って欲しいし、「自律的問題解決が新たな問題を生み出す」ことの理解に繋がるからだ。
さて、脳性運動障害後、しばらくは弛緩状態だがやがて硬くなる。この硬さと麻痺の重症度の間には相関関係が存在するようだ。相関関係とは、「一方の因子が増えればもう一つも増え、減れば減る」という関係だ。麻痺が軽ければ硬さも軽く、麻痺が重ければ硬さもより強くなるというのがセラピストの一般的な見解だろう。従って、この脳性運動障害後に現れる硬さの説明は、以下のような状態を矛盾なく説明できる必要がある。
・麻痺が軽いと、硬さはそれほど強くない。硬さを低下させると動きが良くなったように見える。つまり運動障害が軽くなったように見える。可動域や重心の移動範囲が大きくなるからだ
・麻痺が重いと、硬さもより強くなる。硬さを低下させると、弛緩状態がより露わになる。弛緩状態が強くなって却って動けなくなったように見える
そこでCAMRでは、この硬さの状態は弛緩状態という本来の運動問題に対する運動システムの自律的問題解決ではないか、と仮定した。
まず脳性運動障害直後には弛緩状態が見られる。脳卒中ではたとえ軽度でも初期には弛緩状態と筋力低下が観察される。中等度~重度なら弛緩状態はより目立っている。脳性麻痺でも誕生後からしばらくは弛緩状態が特徴である。
どうもこの弛緩状態が脳性運動障害の本態ではないか。
脳性運動障害後すぐの筋は弛緩状態である。そうすると麻痺あるいは弛緩の程度に応じて力を生み出せなくなる。人のような内骨格系の動物では、姿勢を維持し、動くためには常に多くの筋群の収縮と弛緩の複雑な相互作用が必要である。しかし麻痺による弛緩状態のためにこれができなくなると、姿勢は簡単に崩れ、重力に適応的に動くことが困難になる。
そこで運動システムによる「自律的問題解決」の作動が始まるのである。
今回も機械のシステムと比べてみよう。機械のように強固な躯体があると、たとえ故障しても機械はそれで崩れることはない。強固な躯体の支持性があるからだ。また動くために押したり引いたりして動くことができるので、運動のコントロールも比較的容易である。支持と運動の役割は最初から明確に分離されている。
一方人では、筋肉は引くことによってしか力を生まない。つまり全身のたくさんの筋の引く力を協調させ、可動性の高い骨格のバランスを取って姿勢を保持したり、重力に適応的に動いたりしているわけだ。つまり複雑に協調しながら、支持部分と動く部分を生み出し、更に支持部分と動く部分は一瞬一瞬に役割を交代しながら動いていくわけだ。考えてみればこれはとてもすごいことである。
これは大変複雑なシステムであり、その中で広範囲に弛緩状態の筋が存在すれば、コントロールは崩壊してしまう。大きな運動問題であるので運動システムは弛緩状態の筋を硬くするわけだ。硬くすればその部位はコントロールが容易になる。
たとえば伸張反射のメカニズムを亢進すれば筋は緊張状態を生み出せるし、また筋内のキャッチ収縮などのメカニズムを普段以上に働かせて、筋の持続的緊張を生み出すのである。
下肢を棒の様に硬い状態にすれば体重を支えることができるし、健側の上下肢や体幹でコントロールして振り出して歩行も可能になる。
ただこの自律的運動問題解決は、必ずしも良いことばかりではない。元々があり合わせの運動リソースを何とか利用して問題解決を図るからである。必ずしも健常の神経筋システムのように上手くコントロールできる訳ではない。(その6に続く)
【CAMRの最新刊】
西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」
西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(後編): 生活課題達成力の改善について」
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その4)
CAMRの人の運動システムの3つ目の特徴は、「自律的問題解決」である。
今回もまず機械の運動と比べて見てみよう。長針と短針が動いて時間を知らせる時計は、壊れて止まってしまうとそれっきり動かなくなってしまう。まあ、1日2回は正確な時を指すという事実はあるものの^^;、いつでも必要な時に時間を知らせるという本来の機能は失われてしまう。当然ながら時計自身がなんとかしようなどという作動も見られない。そんな機能はついていないからだ。機械は必要最低限の機能で構成される、というのはこれまで述べた通り。
一方人では、必要な運動課題の達成が、何かしら、たとえば麻痺や筋力低下や痛みなどの運動問題によってできなくなると、自律的に問題解決を図って何とか課題達成をしようとする基本的な性質がある。
たとえばギックリ腰が起きると、患部を圧迫しないように逃避性の側彎が起こり、体を硬くしてなるべく体幹を動かさないようにして痛みを避けようとする問題解決が行われる。
膝に痛みが起こるとできるだけ体重をかけないよう、できるだけ使わないような問題解決を図る。結果、左右の脚の支持時間に差が出る。
片脚が麻痺で振り出せなくなると、体幹と健側上下肢などを使った分回し歩行という問題解決を図る。
腓骨神経麻痺でつま先が上がらなくなると、躓かないように鶏歩という問題解決を図る・・・・・などなど。
特に人が意識しなくても、運動システムはそれこそ人の意識から自立して、自律的に問題解決を図る性質がある。
この人の運動システムの自律的問題解決の特徴はこれまで多くの誤解を生んできた。
たとえば脳性運動障害後に見られる現象は、全て脳傷害の直接の症状として見られる傾向がある。その一例が脳卒中後の硬さ(stiffness)の出現である。
末梢性の麻痺では、弛緩が見られる。一方脳卒中後にも最初弛緩状態が見られ、その後徐々に伸張反射の亢進や筋の持続的な硬さなど(陽性徴候)が見られるようになる。これは末梢性の麻痺と違って「痙性麻痺」と名付けられた中枢神経障害独特の症状として考えられた。
そしてなぜか、この硬さという症状が「正常な運動が出現するのを邪魔している」などと考えられたりした。硬くなることが「原因」で、健常な運動の消失が「結果」であると因果の関係を想定されたわけだ。
この考えは過去(あるいは現在も)、現場に大きな混乱を引き起こしたと言えるだろう。
確かに軽度~中等度の麻痺では、実際に硬さを低下させると運動がより滑らかに、力強くなることが見られるからである。これだけ見ると「硬さが正常な運動の出現を邪魔している」と考えることができる。しかし一方で、重度の麻痺では硬さを低下させると弛緩状態が露わになるだけである。
これの意味するところは、まず硬さと運動障害に因果の関係はないということだ。硬さを軽くしても、必ず運動障害が改善するわけではない。麻痺の軽・中等度では一見それらしく見えるが、硬さが緩んで柔軟性や重心の移動範囲が広がったせいである。元々持っている能力が使えるようになったわけで、元の運動障害が改善したわけではないだろう。また重度麻痺では運動障害の改善は見られない。つまり、硬さは運動障害の原因とは言えない。
しかし長らく「硬さが脳性運動障害の中心的な障害である。だから硬さを低下させることが脳性運動障害の中心的アプローチである」というアイデアを主張するセラピストがたくさんいたものだ。いや、今もそれはよく聞く。
もともと脳性運動障害に関しては「複雑な症状でなんだか訳が分からない」といった声がよく聞かれる。
ここで「人の運動システムは自律的に問題解決を図る」と知っていれば、この硬さの現象は、麻痺による「弛緩状態という問題を運動システムが解決するために硬くしている」と考えることができるのである。そうすれば、元々の症状とそれに対する運動システムの自律的問題解決による現象の2つが入り混じって複雑な様相を呈していると理解できるのである。
詳しくは次週。(その5に続く)
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人の運動の特徴を問われたら・・・(その3)
前回は人の運動の特徴として「状況性」を説明した。
CAMRの2つ目の重要な人の運動の特徴は、「課題特定的」ということだ。
この性質は機械の運動と比べるとよくわかる。
機械というのは、ある目的を達成するために必要で最小限の機能を組み合わせて作られる。従ってこの機械から生まれる運動は、この機械に備えられた機能だけに制限される。たとえばロボット掃除機は、床を掃いたり、拭いたりしながら動き回り、障害物を避けて最終的にドックに帰還して、ゴミを排出する。
仮に「ゴキブリを見つけたら捕まえてね」とか「猫が寂しがらないように遊んであげて」と命令しても、そのような機能は備えていないので、できないのである。
もちろんゴキブリを見つけるセンサーを加え、それに向かって殺虫剤を噴射する機能を後からつけることはできるが、増えた機能はそれだけである。ハエ退治はしない。まあ、もっとも猫じゃらしの機能を加えなくても、猫は自分から遊び相手に選ぶようだが^^;
つまり機械の運動の特徴は「機能特定的」ということだ。機械は目的とする機能を達成するのに必要な最低限の機能で組み立てられている。できる運動は予め備えている機能によって特定されるということだ。
一方人は、様々な課題を達成することができる。たとえ生まれて初めて見る運動でも、練習によってできるようになる。僕の息子は小学生5年の夏休みの時に三つ玉のジャグリングに挑戦した。始めは全くどうして良いかわからずに泣いていたが、10日後には連続20回程度できるようになったものだ。
全く未知の運動課題でも、その課題達成のための練習と工夫で、新しい運動スキルを創造することができる。人の運動システムでは、無限の運動を生み出す可能性を元々持っていて、その時必要な課題達成のための必要な機能が生まれてくるわけだ。
そして「その必要な機能は、人にとって必要で適切な課題によって特定される」ということだ。つまり、人の運動は課題を通して生み出され、修正される。 これが「課題特定的」という特徴である。
前回の「状況性」という性質は、運動システムが豊富な運動リソースと多彩な運動スキルを持っているから可能になる述べた。そして今回の課題特定的という能力も、この豊富な運動リソースと運動スキルを多彩に生み出す能力によって支えられている。そうなるとやはり訓練の主な内容は、「運動リソースを豊富にし、運動スキルを多彩にすること」だとわかる。
更に今回の「課題特定的」という特徴によって、「運動リソースを豊富にし、運動スキルを多彩に生み出す過程」が明らかになった。つまり運動リソースの豊富化も運動スキルの創造的な多彩化も「適切な運動課題を通して可能になる」のである。
そうするとセラピストの仕事とは、「この患者さんにはどのような運動課題が適切で、どのような条件下で、提案し、修正するべきか」を考えることである。つまり「課題の設定と提案であり、課題達成に向けて実施条件や課題そのものを修正する」ことである。
世間では、セラピストの仕事は、「患者さんに運動のやり方を教えること」といった勘違いが存在する。「私が正しいやり方を教えてあげます」みたいな感じで振る舞うセラピストを見ることも多い。
しかし運動課題の達成方法を探索して、試行錯誤し、適切な方法を見つけるのは患者さんにしかできない。
だからセラピストは「患者さんにとって適切な課題を考え、患者さんの状態を評価して必要な環境リソースなどを提案して運動リソースを増やし、その課題の実施条件などを変化・修正して、患者さんがより具体的な、効率的な運動スキルを生み出せるよう計画し、評価すること」である。
患者さんとセラピスト、それぞれの役割を認識してお互いに協力しながら患者さんの生活課題達成力の改善を目指して協働するということが重要である。(その4に続く)
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西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」
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