木曜日のつぶやき 8
リソースってなんだっけ? その3
パフォーマンスの変化は短期間で起こる⁈
寒いです。今朝はストーブつけちゃいました。秋山です。
さて、無事に岩場を登れました。しばらく進むとまた同じような岩場が!また一から繰り返し・・・よりかは、今度は上手く登れます。何が変わったのでしょうか。
身体リソースがアップした?筋力はそんなにすぐにはつかないでしょう。ストレッチなどで柔軟性の一時的な改善はありますが、今回は考えにくい。登山道という自然の環境なので全く同じ形の岩場ではありませんから環境リソースに変化がないとは言えませんが、そう大差はないでしょう。新たな道具は追加されていないとします。個々のリソースには変化がないとすれば何が変わったのでしょう。
一度経験したことによって、この登山靴ならどれくらいの窪みがあれば足場となるかがわかりました。岩の角を持って体をひっぱり上げる時の手足の位置、岩にはりつかずに、少し上体を離すようにした方が安定するということに気がつきました。これらは一つ一つが意識され言語化されているわけではありません。けれど、いざ動くとなると前よりは「上手く」なっています。身体と環境との関係性が変化してパフォーマンスが変化したのです。
また次の岩場では、さらにうまくなる(「これは無理だ」と逆の判断も的確にできる)でしょう。主体的に動くことで関係性がアップデートされていくのです。
西尾さんのシリーズ「運動リソースとリハビリ(最終回)198週目」には、「このように動くことによって生まれる身体と環境の関係の変化は新たに情報リソースを生み出し、それによって新しい運動スキルが導き出される」とあります。行為者は運動リソースを身体リソースと環境リソースに分類してはおらず、情報リソース=「身体と環境の関係が生み出す運動システムにとっての意味や価値であり、課題達成方法の導き」(同投稿より)として捉えています。
まだまだ十分理解できていない「情報リソース」に少しは近づけたかな?情報リソース自体が発展中の概念なので、アップデートしながら関係性を変化させていきましょう。(終わり)
【CAMRの最新刊】
西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(前編): 生活課題達成力の改善について」
西尾 幸敏 著「リハビリのシステム論(後編): 生活課題達成力の改善について」
【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版
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西尾 幸敏 著「脳卒中あるある!: CAMRの流儀」
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西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①
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西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③
西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④
西尾 幸敏 著「リハビリの限界?:セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤
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木曜日のつぶやき 7
リソースってなんだっけ? その2
さて、プチ岩場攻略の続きです。初めての場所で、あまりやったことのない動きをするわけですね。新しい運動課題です。
周りを見渡して、足を置けそうな場所はないか?あの石の角には右足がしっかり置けそう。その上の窪みに左足をひっかけられるな。濡れて滑りそうだな。無理そうだな。左寄りの窪みならいけるな。右手でこの木の枝を持ってどっこいしょっと。この登山靴はグリップがいいから、あの岩の斜面も行けるな。よしよし、ちょっと高いけど、あの木の根っこに足を置いてと。
おっと、支えにつかんだ石は浮石だよ、危ない危ない。思ったほどの高さでないから、踏ん張れば・・・よいしょっと。ふう、上がれた。
実際はここまで意識的ではないです。けれど直感的というのもしっくりこない。身体リソースと環境リソースを照らし合せてルートを決めて、あとはえいやっというわけでもない。目の前のものから一つ一つ試行錯誤するわけでもない。予測して実行し修正。修正は体の動きを変えることもあれば、短い経験の中からでも、使えないとしていた環境が使えるものとして意識に上がることもあります。
上手くいかずに、一からやり直しということもあります。
岩場には無数の環境リソースがありますが、自分にとっての環境リソースとなると、その人の状況によって異なります。熟練者であれば、こんな岩場は足場だらけで「どう通っても登れるじゃん」と言うでしょう。初心者は初めは「む、無理です」と思っても、経験者から「ここに足を置いたら、次はここへ」と教わるうちに自分が使えるリソースを見つけられるでしょう。
空荷か、重いザックを背負っているか。疲れているか。その時の状況によって自ずと絞られてくるという印象です。続く~
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木曜日のつぶやき 6
リソースってなんだっけ? その1
初めまして、情報リソースです
静かーに利用者さんの血圧を測っていたら、お腹が鳴りました。ごまかしきれませんでした。秋山です。経験あるよね⁈
「歳のせいという勿れ」の一つ前のシリーズに、「情報リリース」という新しい内容が出てきています。生まれたてで、まだふにゃふにゃしていますが、人が運動問題をどう解決していくかを考えるには重要なものです。といっても、私はまだよく理解できていません。
「アフォーダンスではダメなのか?」と聞いたのは私です。
身体リソースと環境リソースをクライアントとセラピストで協同で探索してリソースを増やし、課題を通してスキルを多彩にするというのはわかりやすい図式です。ですが、意識的すぎるというか、行為者が実際に運動する時にこんな風に分けているかという疑問がわいてきます。身体能力と環境を突き合わせ設計図を作り、それを基に運動するというイメージが浮かんできますが、そうなのか?
CAMRはこれまでセラピストが訓練場面で役立てることができるように新しい見方を提案してきました。読み手としては、セラピストとして何らかの結果を出すことを期待しているでしょうし、これからもそれに応えていきますが、ここでちょっと一休み。
人が新しい課題に直面した時どうするかを、自分だったらどうしているかという視点で振り返ってみようと思います。
とある秋の日、とある山に登っています。落ち葉を踏んで歩く登山道は整備されて快適です。だんだん上りがきつくなり、おーっと、ひょいひょいとは歩けない岩場が出てきました。何とか上がれそうだけど、足をあげただけでは届きそうにはありません。持って支えになりそうなでっぱりや、横には木の枝があります。昨日の雨で濡れているところがあります。初めてのコースです。
「いや、私インドア派だから。こういう課題に直面しないから」と言わず、ちょっと考えてみましょう!手練れの登山家も初心にもどってね。
その2に続く。
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是非ともシステム論に触れてみてください!新しい発見が待っています!!
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「歳のせい」と言う勿れ を読む!その5
一生懸命何をする⁈
炬燵出してしまいました。秋山です。
前回、「一生懸命」が患者さんを置き去りにするというようなことを書きましたが、一生懸命を否定しているわけではありません。一生懸命仕事をするのは大切です。問題は、何に対して一生懸命か、ということです。
何がやりたいか、将来どうなりたいかを目標に、それに向かって頑張るというのは今のリハビリ分野では当たり前のようになっています。もちろん、これでうまくいくこともあります。
けれど、病気や怪我で心身の状態が大きく変化(ほとんどが損なわれる方向で)して自分の身体を持て余している時に、「やりたいことは?」と尋ねられても上手く答えられなくても不思議はありません。
そんな時期に、あまり先の目標を一生懸命になって決めようとしても患者さんは戸惑うかもしれません。大きな目標はとりあえずざっくりしたものを据えといて、状況の変化につれて患者さんに形作っていっていただけばよいのです。
では、セラピストは何に一生懸命になればよいのか?患者さんは障害を負ったために世界とのつながり方に齟齬をきたしています。今までのやり方が通用しない中、それでも何とかしようと試行錯誤します。上手くいくかもしれないけど、できなくて諦めたり袋小路にはまり込んだりします。
ここでセラピストの出番です。
患者さんが世界と新たにつながるたことができるよう、安心して試せる場面を提供します。ちょっと頑張ればできるようになる挑戦的で達成可能な、しかも実用に結び付くと実感できる課題を設定するのです。
このような課題設定には結構頭を悩ませます。今の自分にちょうどいいと患者さん自身が納得している必要があります。達成できたら次の課題を考える、の繰り返しです。腕の見せ所といえるような余裕はなく、いつも自転車操業ですね、私の場合。
今回は一生懸命を一生懸命伝えようとするあまり、空回りでした、はい。 次回はちょっと別のテーマになるかも?ならないかも?
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「歳のせい」と言う勿れ を読む!その4
「セラピスト主導」の反対は「患者主導」ではないのだ⁈
寒いです。炬燵を出したい秋山です。
CAMRの治療方略の中に、「クライエント-セラピスト協同治療方略」というのがあります。私には特に思い入れのある考え方で、CAMRの根幹にかかわるものと思っています。個人の感想です。
ほとんどのセラピストは患者さんを下に見ていないし、「セラピストが主導します」とも思っていないでしょう。患者さんの思いに寄り添って何とかしてあげたいと一生懸命です。ですが、この「一生懸命」が患者さんを置き去りにしてしまうという危険をはらんでいるのです。
「セラピスト主導」を反省して、主導権は患者さんにあるというのは一見発想の転換にみえますが、実はコインの裏表です。どちらか一方の答えに従うという点では同じ枠組みと言えます。主ー従が反転するだけです。
「セラピスト主導」を改めるのならば、患者さんとセラピストがそれぞれの立場で協同して事に当たる枠組みへシフトするということになります。
患者さんとの協同という考え方は、医療界全体でもだいぶ浸透してきているようですが、どうもうまくいかない時がある。その要因の一つに、「正しい答えは専門家であるセラピストが持っている。持っているべきである」という信念が抜けきれないということがあります。患者さんの話をよく聞いて、患者さんが納得して訓練に取り組めるよう一緒に工夫しあっていても、根本がセラピストの答えなのなら、そしてそれを患者のためと一生懸命にやればやるほど患者さんが置き去りになってしまうことがあります。
次回に続きます。
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