「歳のせい」と言う勿れ(その1)199週目

目安時間:約 7分

「歳のせい」と言う勿れ(その1)199週目


 久能ワハハン整(ととのう)です。今朝はお盆明けの涼しさが感じられて、「うん、○○○○日和だ」です。


 さて、僕がデイケアで働いていた頃には、近所のお年寄りがたくさん来ていました。「膝が痛い」という人が多くて、しかも「お医者さんから『歳のせいだからしょうがないよ』と言われてショックだった」と悲しげに、あるいは諦め気味に話す人が多かったです。


 また医師も膝の痛みを治す手段を持っていないと、「歳のせい」と言って患者さんに諦めてもらうのが楽なのかもしれませんね。


 実際、「歳のせい」と言ってしまうと諦めるしかないです。「はあー、そりゃ仕方ないわね-、がはは・・」などと豪快に笑い飛ばすおばあちゃんもおられましたが・・・まあ、普通「諦めの言葉」であることに間違いはないです。


 確かに歳をとると、構造的には多かれ少なかれ劣化するのでしょう。しかし、それだけで痛みが出るわけでもありません。それでセラピストまで「歳のせい」なんて言って諦めてしまったらおしまいです。


 さて、ではそういった場合の僕の対応は以下の通り。


①「ちょっと脚、見せてもらっていいですか?」と視診(変形、浮腫の程度など)→触診(周辺軟部組織の硬さと膝・足関節の可動域など)と進みます。(後々良くなってくると痛みが軽くなるだけでなく、浮腫が減り、可動域も良くなります。ちゃんと見ておきましょう)


②「フムフム、少しさすってみましょう」などと言って大腿・下腿の内外前後面のリリースや膝関節のモビライゼーションを行います。時間があれば、足部のストレッチとモビライゼーションも行います。更に時間があれば体幹の回旋や股関節などのストレッチも行います。あるいはやってもらいます。実際、これだけで痛みが軽くなる人も結構いますが、まあ、効果は一時的です。あるいは新しい痛みが出る人もいるので次に進みます。


③平行棒を持って立って頂き、「痛みが出ないように爪先立ちや足踏みを軽くします」と言って荷重や重心移動練習を行います。大体3-5課題を実施します。うまくいってもいかなくても「良く頑張ったですねー」と労います。そして「今日はここまでで、少し様子を見てみましょう。何か変化があったら教えてくださると嬉しいです」とセッションを終了します。絶対に「どうです?軽くなったでしょう」などと期待を込めた表情で誘導するようなことがあってはなりませんね、ハアー、これはちょっと恥ずかしい振る舞いです。


④その日のうちに比較的多くの方が、何らかの改善を自発的に言われることが多いです。「あれ、痛みがなくなった(軽くなった)」、「どうしたんか?よう(よく)動くわ」など。次回のセッションで言われることもあります。「あの後しばらく痛みが軽かった」など。この手の反応が出れば更に次に進みます。


⑤「お医者さんは歳のせいと言われたかもしれませんが、多くの場合、『歳のせい』と言うよりは、座って過ごす時間が長くなって関節の動きが悪くなったり、あまり歩かなくなって筋力が弱ったりして痛みが出ることが多いんです。要するに運動不足です。


 それにマッサージで良くなっても一時的な改善です。


 もしこのまま、本当に痛みなく残りの人生を健康に過ごしたいなら、そして本当に楽しく歩き続けたいならここで膝に良い運動を指導しますので続けましょう!そしてお家でも少しずつやってみてください!続けることで膝が良くなります」などと誘います。


 そして下肢体幹の支持や重心移動、振り出しの運動課題の強度を少しずつ上げながら、長期的に筋力と柔軟性を改善・維持することと、家庭でのホームワークを提案します。


⑥その結果、自発的に運動を続ける人もいるし、更なる運動を求める方もいるし、中には「マッサージだけは続けてくれ」という人もいます。まあ、性格などによってそれぞれの解決状態に落ち着かれるのです。


 ここで使われるテクニックは、


①徒手的療法を中心とした痛みや柔軟性、張力改善の一般的に習うテクニック群。


 これはCAMRでは「多要素多部位同時治療方略」(MEPSメップス)の中で用いられるテクニックとなります。


②「痛みが出ないような歩き方を探ってみましょう」という課題を提案して、立位での歩行に近い荷重、重心移動、振り出しを含む様々な運動課題を試行錯誤します。また様々の状況変化を加えながら実施します。


 これはCAMRでは「課題達成治療方略」(TATSタッツ)の中で用いられるテクニックです。


③「『歳のせい』ではなく、生活習慣や運動習慣による痛みなので、ちゃんと運動すれば残りの人生、元気に過ごせますよ」という「因果の説明」や「リフレイミング」。


 これはCAMRでは「クライエント-セラピスト協同治療方略」(CTC)で用いられる足場作りのテクニックです。もちろん上手くいかない場合もあります。その場合はより異なった形の状況変化を起こすなどの個別の対応が必要です。


 そうです!くれぐれも「歳のせい」と言う勿れ!(その2に続く・・・か?)


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西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


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