二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その3)

目安時間:約 5分

二つの視点の評価を身につけて問題解決能力をアップ!(その3)

 学校で習う要素還元論の視点では、もし動くことに問題、たとえば腰痛があれば人体の設計図を基にその原因を探していきます。炎症や軟部組織の硬さ、筋力低下などを触診や生活習慣の問診などから探して、原因を推理しそこにアプローチして治す訳です。

 この視点による方法論自体はとても合理的、論理的、しかもわかりやすくてこの視点の優れたところです。この視点をベースにした評価もアプローチもとても良いですね。

 ただ要素還元論の視点では基本的に人を機械やロボットの様に見なして評価します。そして機械やロボットには設計者の意図通りに動くことが期待されます。そして人の運動に対しても無意識に正しい運動、つまり健常者の運動の形などが目標になりがちです。

 結果的にセラピストの視点が健常者の姿勢・運動からの形のズレに向かいがちです。片麻痺患者さんの分回し歩行が、訓練の結果、パフォーマンスは改善していても「まだ左右差があるからダメだね」などと言う人もいます。

 学校で習ったように片麻痺患者さんの分回し歩行や腓骨神経麻痺後の鶏歩などは異常歩行とされます。一旦「異常歩行」と名付けられると、「左右差はダメ」、「健常者の形と違うからダメ」などと評価しがちです。

 もちろんセラピストがこれらの非対称性や麻痺を治せるなら問題ないのですが、実際には治せないのに「悪いやり方だからダメ」と言っているセラピストも多いです。そうなると治せないものをただ、ただ「ダメ!」と言っているだけです。患者さんが努力の末に何とか工夫・獲得された運動スキルに「ダメ出し」だけしているのです。

 麻痺や神経障害があれば、健常者の様にはできないのです。それでも患者さんは何とか独自に歩くための運動スキルを生み出されたのですから、まずは素直に受け入れてあげたらどうでしょうか?教科書で「異常歩行」などとレッテルを貼るのはやめたらどうでしょうか?

 ともかく学校などで行われる「肢位や動作・歩容などを観察して言葉で表す視点の評価」では、一般に健常者との違いなどに焦点が当てられがちです。「股関節が内転・内旋している」とか「上肢が屈曲して分離していない」とかですね。早い話、見た目の運動の形の比較をする訳です。その方が教員も学生も学習がわかりやすく進められるからでしょう。

 でもね、麻痺があるとないとでは見た目の形が違っていて当たり前です。

 本来学校で進めるべき評価の焦点は、「この運動問題にはどの部位のどの要素が○○していることが原因ではないか?それは解決可能か?」に焦点を当てて学習を進めるべきです。因果関係を想定して、問題解決の筋道を付けることが要素還元論の本来の目的です。まあ、臨床○○学などには堂々と「異常歩行」と載っているので仕方ないのかも知れませんが・・・・・(^^;)

 一方でシステム論の視点では、運動の見た目の形から正解の運動を判断することはありません。人の運動システムは個々で違うし、一人の運動システムも状況によって運動の形は変わるのが当たり前だからです。

 つまりシステム論を基にしたCAMRでは、見た目の運動の形ではなく、人の運動システムの作動の特徴に焦点を当てて運動の出現と変化を理解すると申し上げました。 そしてCAMRではその作動の特徴として幾つかある中で、「状況性」と「自律的問題解決」の2つを挙げて説明しました。

 実はこの2つを頭に置いて人の肢位や歩容などを評価すると、意外に学生さんでも訓練に繋がるような良い評価ができるのです。(その4に続く)

※No+eに毎週木曜日は、別のエッセイを投稿中!https://note.com/camr_reha

にほんブログ村 病気ブログ 理学療法士・作業療法士へ

コメントフォーム

名前

メールアドレス

URL

コメント

トラックバックURL: 
CAMRの最新刊

CAMR基本テキスト

あるある!シリーズ

運動システムにダイブ!シリーズ

CAMR入門シリーズ

カテゴリー

ページの先頭へ