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新しい視点を身につけることの難しさ(その1)
講習会でシステム論の説明をしていると、一向に理解してもらえないことがある。説明が下手といえばそれまでだが、どうも話を聞いた上で納得できないと言われる。
詳しく話を聞いてみると、「(僕の)言っていることが間違っている。間違いを前提に話をしている」などと言われてしまう。
「どこが間違っているの?」と聞くと、「あなたは伸張反射や原始反射などの亢進を悪いことではないと言っているみたいだ。でもこれらは正常な運動の出現を邪魔するので、まず抑制するべきです!」などと言われる。
なるほど、ジャクソンの階層型理論や陰性徴候、陽性徴候を基にした神経生理学を学校で教えている。階層型理論では、中枢神経系は、上位、中位、下位レベルと階層を作っていて、伸張反射や原始反射は下位の脊髄レベルの機能であってこれが亢進するのは、上位レベルのコントロールが失われた下位レベルの解放現象だ、みたいな説明がよくされる。
これは驚くべきことだろう。ジャクソンの階層説は19世紀の後半に提案されたもので、今から130-140年前のものである。単に古いということもあるが、「臨床でもこの説明の矛盾する現象は割と見られているのに、疑問に思わないのだろうか」などと思う。
一つの例を挙げると、立ち上がると患側下肢が屈曲してしまい、健側下肢だけで立っている患者さんがいる。これは従来「患肢に屈曲共同運動が見られる」などと陽性徴候として説明されてきた。下位レベルの解放現象だ、だから抑制しないといけない、と。
しかしこんな患者さんの麻痺側下肢にプラスチックの短下肢装具を装着して一度荷重練習すると、たちどころに「屈曲共同運動」なるものは消えて見られなくなることも多い。
そうすると「足関節が補装具によって正常なアライメントに保たれるので、正しい運動感覚学習によって屈曲共同運動が抑制されるのである」などと説明される。なるほど、頭が良い・・・・(^^;))
しかしシステム論を基にしたCAMRでは次のような解釈を行う。麻痺側下肢に内反の変形が生まれていて、その内反の足で体重支持しようとすると転倒しそうになる。そこで運動システムが問題解決として、患側下肢を支持に使わないように屈曲しているのではないか。
つまり運動システム自身が「使わない」という問題解決を図って、屈曲して持ち上げているのではないか。プラスチック装具を装着して荷重するとちゃんと荷重できることが運動システムにわかるので、不使用の問題解決を自らやめて荷重するようになるのではないか。
こんな解釈もできるはずである。まあ、一つの可能性である。しかし、それについて何ら検討もすることなく、「それは事実に反する」などと反論を受ける。 「ジャクソンの階層型理論は現在の神経学の基礎になっているように、真実だからだ」と言われたりする。
つまり階層型理論かシステム理論か、「どちらが真実か?」という視点で、「階層型理論の方が真実である」と信じ込んでいるように見える。
たが基本的に階層型理論にしてもシステム論にしても、運動変化を説明するための仮説に過ぎないものだ。どちらが真実かは僕にはわからないし、どちらの仮説にも矛盾点は見られるし、上手く説明できないところもある。
だからCAMRでは次のように考えることにしている。臨床家にとって理論とは、ある現象を説明するための道具である。つまりその理論によって現象を理解し、問題解決方法を導くための道具である。
道具だから使い道に違いがあるのが当たり前である。フォークは刺して食べるのに便利だが、スープを飲むときはスプーンの方が向いている。状況に応じて使い勝手の良いものを選べば良い。
それに道具だと思えば、真実かどうかを気にすることはない。「このスプーンは真実である」などというのはナンセンスだから・・・・
だから視野を広めるために、どちらの理論も理解して、状況によって使い分けたらどうかと提案するのだが、なかなかこれは受け入れられない。
まあ、その気持ちも良くわかる。長い間、同僚や後輩に向かって説明してきたアイデアである。今さら「それは仮説だから真実かどうかはわからない」などと言えるはずもないだろう。これまでの自分を否定することになるからだ。それで、自分がこれまで築いてきた考えや知識を脅かす新しい説明、新しい理論を受け入れることはできないのである。これはまあ自然の感情である。
ではどうしたら良いのだろうか?何度も説明を聞いて納得する方もいるが、頑として途中から説明を聞くことを拒否する人もいる。「言葉を尽くして説明する」ことも難しくなる。僕も口下手だし、頭も良くないのでなかなか説得力のある言葉にならない・・・・
今回のシリーズはどんな感じになるわからないが、ともかく思いつくままに考えを巡らしてみようと思う。(その2に続く)
※No+eに毎週木曜日は、別のエッセイを投稿中!最近の投稿「自律的問題解決とは?(その1)」https://note.com/camr_reha
問題解決能力をアップしよう!CAMRベーシック講習会
テーマ:「脳卒中後遺症のリハビリ-もう一つの選択肢を!」
日 時: 2024年9月15日 9時30分~13時30分
場 所: 安佐南区民文化センター会議室小
〒731-0122 広島市安佐南区中筋一丁目22番17号
TEL(082)879-3060 FAX (082)879-3061
受講料: 2,000円(4時間の受講料です)
参加資格: PT・OT・ST
募集人員: 10名
申込み・問い合わせ: camrworkshop◎mbr.nifty.com
(面倒ですが上の◎を@の半角に置き換えてお申し込みください。氏名、職種、経験年数をお書きください。講習会の詳細はメールでお知らせします)
申込み期限: 9月13日金曜日午後8時まで
※第1回のCAMRベーシック講習会に参加された方は、今回から無料で参加可能です。ただし当日の定員に空きがあることが条件です
※以前のCAMR講習会に参加された方は、半額にしますのでその旨申込みのメールにご記入ください。こちらで確認して返信します。以前から比べると内容がかなり進歩しています。
運動リソースを増やして、運動スキルを多彩に生み出す(その8:最終回)
-生活課題達成力の改善について
今回は「運動リソースを増やして、運動スキルを多彩に生み出す」シリーズのまとめです。 CAMRでは、「運動障害」とはまずマヒや切断、感覚消失などで身体の一部や筋力、柔軟性、知覚などの身体リソースが失われることです。そうすると環境リソースもうまく使えなくなり、運動認知も不適切になったり失われたりします。これらによって運動スキルを創造的に生み出す能力も発揮できなくなり、必要な生活課題の達成力が低下してしまうことでした。
それでまずやるべきは、改善可能な身体リソースはできるだけ改善すること。また必要な課題達成に向けて環境リソースもできるだけ工夫していくことです。 この時、セラピストが「この身体・環境リソースは課題達成に関係ないだろう」などと勝手に取捨選択しないことです。ここまで述べたように運動システムはどの運動リソースをどのように運動スキルに結びつけて、どのように課題達成するかはセラピストには想像がつかないことも多いからです。
つまり改善可能な身体リソースはできるだけ改善しておき、思いつく限りの環境リソースは心に留めておくこと。そして後は運動システムがどのように運動スキル学習をして、どのような課題達成の運動スキルを生み出すかをよく観察しておく必要があります。
それによってセラピストは経験を積むにつれて、「ああ、この場合はこのような可能性を導くことができる」といった経験値を積んで、患者さんの運動スキル学習を助けることができるようになります。
そして身体リソースを改善しながら、動作課題を工夫して繰り返します。ただ単に同じ事を繰り返すのではなく、実施条件を少しずつ変えたり、課題を少しずつ難しくして異なった状況でも同じ基本動作を繰り返します。
この少しずつ状況変化を起こしながら、同じ基本動作を繰り返すことで、状況変化に応じて運動を適応的に変化させ「一つの課題を異なった状況でも達成できるという頑丈さ」が生まれてきます。
最終的に行為課題を設定して、必要な生活課題達成のための運動スキル学習を行います。
運動スキル学習の基本は適切な課題設定を行うことです。ここで設定される課題は、①行為者に取って必要(やる意味)があり、②なんとか達成可能であることが条件でした。この条件を満たすことで、自然に患者さんの運動スキル学習が始まります。
行為課題がなんとか達成できるように、セラピストが課題を少し易しく修正したり、適切な環境リソースを調整したり、適切な介助をすることです。
このようにしてともかくより良い状況を作っていくようにします。
文章にすると少しややこしくて、イメージしにくいですよね(^^;)
CAMR講習会では、患者さんの動画を見ながらどのように課題設定するか、どのように条件を変化させるか、どのように環境リソースを調整するかを具体的に説明しますのでわかりやすいです。もし機会があれば参加してみてください(^^)(終わり)
運動リソースを増やして、運動スキルを多彩に生み出す(その7)
-生活課題達成力の改善について
ここまでで「要素課題」はセラピストの改善可能な身体リソースを改善したり、将来に向けて利用可能な環境リソースについて考えたりします。ベッドサイドあるいは訓練室レベルでおこないます。
「動作課題」は、様々な動きの基本となる協応構造を豊富に身につけたり、運動認知を適切にしたりして基本的な運動スキルを柔軟に、適切に生み出せる基礎を作ります。これまた簡単なものはベッドサイドでも行いますが、主に訓練室レベルで行う課題です。
要素課題と動作課題は訓練時間内に並行して行うことが多いと思います。今回は「行為課題」について説明します。
「行為課題」は従来訓練室で行っている「ADL訓練」にあたります。
病院内の訓練は最終的な仕上げ段階に入ります。退院に向けて患者さんにとって必要で、達成可能な生活課題の達成力改善が一つの大きな目標になります。
たとえば「居室からトイレに行って帰る」とか「ポータブルトイレが自立する」とか「服を着替える」とか「居室から台所まで歩いてくる」とかそんな具体的な生活課題の達成が目標になります。
当然家族との話し合いも重要です。家族の希望通りにいかないことは多々あります。そんな時でも「○○はお一人では危険です(できません)が、××することで○○をできるようになります」とできるだけ希望に近づけるような達成可能な代替案を出すようにします。このようにできること、できないことを明確にして、家族や本人の希望する課題を修正する能力を身につけることもセラピストには重要です。
「行為課題」の基礎となるのは「どれだけ豊富な身体能力を持っていて、たくさんの多様な基本動作を通じて、より多くの協応構造と基礎的な身体スキルと適切な運動認知を持っているか」と「課題達成のための利用可能な環境リソースをどれだけ工夫できるか」ということです。
「環境リソースをどれだけ工夫できるか」となると作業療法士が得意と考えられがちです。実際にはPT・OTに関わりなく、1人1人のセンスや経験で得意・不得意が決まるようです。より広い視野と思い切った発想が必要とされることも多く、できればチーム内で共有して複数の視点で取り組めると良い結果がうまれやすいです。
トイレの介助方法などは、訓練室や施設内の設備を利用して練習することもできますが、できれば実際に生活する家屋で、利用可能な環境リソースを発見したり、課題達成のための工夫をしたりすることも重要です。
また患者さん自身が色々な運動スキルを発見することも多いものです。僕の親父が片麻痺後退院して家に帰りました。うちの家は親父の居室から食堂に行く廊下には障子の引き戸が並んでいます。「手すりが付けられないね」と僕が言っているそばから、障子に手を差し込んでバリッと紙を破ると、障子の桟を持って自分で障子戸を押しながら「他の戸をどけい(どけて)」と言ったものです。つまり障子戸を移動用の手すりにその場で変えてしまいました。
元々父は患足下肢の支持性はしっかりしていて、むしろ軽度の基礎定位障害によるバランスの問題があったので、細い華奢(きゃしゃ)な障子の桟でもバランス保持には十分役立ったわけです。もちろん心配なので後から僕が補強の棒を取り付けることでより丈夫な移動用手すりにしました。
ともかく父の発想には舌を巻いたものです。元々子どもの時から、僕が何か作業に困っていると、「こうしたらどうか?」とやり方を工夫してくれた親父です。まあ、その度に自分の頭を指さして「ここを使え、ここを!」とするのには腹が立ちました。その時も自分の頭を指さしてニヤリとしました(^^;)
やはり少し腹が立ちましたが、それ以来患者さんには「利用可能なもの」を自分で探して工夫する訓練もするようになりました。軽い失調症の女性はいつもピックアップを使って屋内移動します。でも料理やお茶を流しからテーブルに運ぶのに困っておられました。
一緒にいろいろなものを試して試行錯誤してもらいながら、最終的にはご自分で食堂の椅子の脚に布製の袋を巻いて滑りを良くし、座面に台を置いて高くしてその上に皿やコップを置いて背もたれを持ち、そっと押しながら運ぶ方法を考案されました。「滑らせる簡易ワゴン兼歩行器」ですね。
もちろん僕は経験的に早くからその方法を思いつきましたが、敢えて言わないでご本人に考えてもらったわけです。上手くいったときにはコンプリメント(褒める、労う)をします。この時もとても喜ばれました。
障害後の患者さんは自信をなくし、家族に依存的に暮らすことも多いと思います。だからセラピストが何もかも判断し、実施するのではなく、色々な経験を通して患者さん自身の問題解決能力と自信を改善することも大事なことだと思います。その女性はそれ以来、色々なことを自分で工夫されるようになって明るくなったとのことです。
次回は今シリーズのまとめです。(その8に続く)
運動リソースを増やして、運動スキルを多彩に生み出す(その6)
-生活課題達成力の改善について
今回は動作課題についてです。
動作課題は「寝返る、起き上がる、座る、立ち上がる、歩くなど」の基本動作運動を中心とした運動課題です。動作課題は繰り返したり、負荷をかけたりすることで身体リソースを改善するし、動作課題を少しずつ変化させることで運動認知を改善したり、達成方法を試行錯誤することで基本的な運動スキル学習にもなります。
具体的な例を挙げて考えてみましょう。
立位で健側下肢中心に立つ片麻痺患者さんがいます。実際には患側下肢にも支持性が出ているので患側下肢をもっと自由に使えれば、歩行のパフォーマンスはもっと改善するはずです。
そうすると患側下肢の使用量と使い方の多様さを増すような動作課題を考えることになります。
たとえば平行棒のそばに幅30センチ、長さ60センチ、厚さ4センチの板を置き、その上に立ってもらいます。健側上肢で平行棒を掴みます。(イラスト1を参照してください)
そして健側下肢を前に振り出して荷重し、今度は後ろに振り出して荷重します。(イラスト2)これを繰り返すと患側下肢は、「前後に重心移動しながら体を支える」という運動スキルを発達させることになります。
次に健側下肢側方へ振り出して荷重しては元に戻します。(イラスト3)今度は患側下肢に重心移動し、その後健側へ重心移動しながら支える練習を繰り返すことになります。
それぞれに安定してくると、健側下肢を前に振り出して戻したら、今度は側方へ振り出して戻し、更に後方へ振り出して戻すなどと3方向へ重心移動しながらの支持を自在に行うスキルを発達させます。
これらは全身を使った運動スキルの一例で、特に健側上肢が支持とバランスに大きな役割を果たしています。もっと下肢中心の運動スキルを発達させたいですね。
そうするとこれらの運動が安定したところで、健側上肢は平行棒の代わりにパイプ椅子の背もたれを持つように課題実施の条件を変化させます。それができるようならT字杖で同じ課題を行うようにします。上肢の役割を減らすわけです。もし可能なら杖なしまで進みます。
これらができるようなら今度は背中に重りを背負います。また水を半分入れた2ℓのペットボトルを背負ったりします。背中で水が移動するので外乱要素になります。
このように課題の質を変化させたり、重りを増やしたりすることで負荷が増えて、身体リソースが改善するし、それらの難しい多様な課題を達成することで運動認知が適切化します。更に患側下肢は体重支持しながら様々な方向に安定して重心移動ができるようになるという運動スキルを発達させることになります。
患者さんとしては、運動認知が適切になり(「この脚は案外使えるよ」)、麻痺側下肢に体重を乗せることに恐怖や不安を感じなくなって自然に患側下肢を使うようになるわけです。
動作課題は、基本動作を中心に行いますが、日常生活で達成するべき様々な生活課題の基本となる協応構造を多数生み出して様々な運動・行為の基礎となるものです。
考え方としては一つの運動課題を変化させながら繰り返します。CAMRでは「実りある繰り返し課題」と呼びます。単に同じ課題を同じ実施条件で繰り返すのではなく、少しずつ課題も実施条件も難しく変化させます。できれば少しずつ達成可能な範囲で難しくしていきますし、できなければ何とかできるように課題や実施条件を少しずつ工夫して行きます。
こうして、身体リソースを改善し、運動認知を適切化します。また利用可能な基本的な協応構造をできるだけたくさん獲得し、運動スキルをより柔軟に適応的に生み出せるようにして、次の段階である日常生活課題などの達成力改善の基礎となるわけです。
そういった意味で、動作課題は訓練室レベルで、身体リソースと基本的な運動スキルの両方を改善するための中心的な課題となります。セラピストにとっても変化を見極め、適切に課題を工夫・提案することが求められます。 次回は「行為課題」について説明します。(その7に続く)