関東のコロナを巡る状況は停滞・・・(^^;))
関東でのコロナの感染数は下げ止まりの状態だ。一旦下がったところから少しの増減を繰り返している。そして緊急事態宣言が2週間延長されることになった。
小池都知事が「原点に立ち返って」とテレビで言っていた。つまり手洗い、マスク、会食を避けるというこれまで続けてきたお願いを更に繰り返そうということだ。
確かにこの解決方法で一定の効果が得られた。地方に行くとこの方法で十分に感染状況は改善したと言える。だから地方では悪い解決方法ではないのだと思う。
だがコロナ感染のような問題は、特定の原因だけで起きているとは考えられない。つまり会食だけが原因ではなく、他の様々な要因の相互作用から生まれる状況から生まれると考えられる。
特に一都三県は、広域に大きな人流がある地域だし、他にもいろいろと地方にはない独特の要因があるのだろう。東京を含む一都三県では、既に停滞の状況を生み出している。
問題はシステム全体の特定の状況の中から生まれるのである。今は停滞を生み出す安定した状況の中にあると思われるので、少し状況を変化させることを考えるべきだろう。
たとえば国立競技場にアスリートやミュージシャンを集めて、菅総理が司会を務めて様々なパフォーマンスのテレビ・ショウをやるのである。最後に「楽しんでいただけたか?今はライブで楽しめないが、みんなで感染を抑えて、今度はここに来て楽しまないか?」と涙ながらに訴えれば少しは状況が変わるのではないか?(あまり良い方法ではないか・・・(^^;))
これはリハビリでも同じで、最初の頃に運動改善を生み出したからと同じアプローチを続けてもその後停滞してしまうことはよくある。更に同じアプローチを強力に繰り返しても、既に状況そのものが頑固に安定してしまっている。
何か特定の原因、コロナの場合は「会食」を主な原因とみなし、そればかり重点的にやるのだが、そのアプローチ自体がやがて停滞という頑固な状況を生み出すことはよくあるのである。少し視点を変えて状況を変化させることを考えても良いだろう・・・というのが基本的なシステム論の状況変化のアプローチなのです。
最初は素朴なシステム論的アプローチを説明しましょう。
これは「ある現象は様々な要素間の相互作用から起きてくる」というアイデアでまとめられるアプローチです。
「なに?そんなの珍しい考えでもなんでもないじゃん。誰だってそう考えてるよ」と言われそうです。確かに世の中の出来事はたくさんの要素の相互作用と考えることが妥当ですし、常識的に思えます。でも意外に思われるかもしれませんが、問題解決という点から考えると世の中というのはそうでもないのです。
たとえばテレビのニュース番組を見ていると事故や事件の報道をします。そうすると専門家の先生が出てきます。そしてアナウンサーが「先生、今回の事故の原因はなんでしょう?」と尋ねると先生が少し得意げに「今回の事件の原因はですね、・・・」などと喋ります。それを受けてアナウンサーは「ではその問題の原因を解決するためにはどうしたら良いでしょう?」と聞くと先生はますます胸を張って「エッヘン、それはですね・・・」と問題解決の方法をしたり顔で説明します。するとアナウンサーが納得顔で「では早急にそのような問題解決を図ることが必要ですね」と結論し、見ている視聴者も「フムフム」と納得したりするわけです。ごく普通のことでしょう?
つまり世間一般では「問題を解決するためには、ある特定の要素なりできごとを原因として突き止め、問題と原因に因果の関係を想定し、その原因にアプローチすること」が当たり前に考えられているのです。そのように因果の関係を想定することが問題解決に関する代表的な方法と考えられ、常識になっているのです。
逆にある問題が様々な原因の相互作用から起きていると考えると、問題解決の糸口が見えにくくなって、明確な問題解決が図れないと考えられているのです。
これは僕達、医療あるいはリハビリテーション(以下単にリハビリと略す)の分野でも同じですよね。(その3に続く)
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みなさん、ハローです!
さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる条件の二つめです。
それは、「原因が解決可能な場合」です。
原因を突き止めることができて、それが解決可能であれば、このアプローチはとても有効です。
しかし当たり前のことですが、たとえ原因を突き止めることができたとしても、それが解決不能であればどうしようもありません。
目覚ましい進歩を遂げている医学ではありますが、難病をはじめまだ克服できていない問題はたくさんあります。
リハビリセラピストにとって比較的接することの多い脳卒中でも、麻痺の原因は脳細胞が壊れたことですが、今のところ壊れた脳細胞が治るということにはなっていません。
さあ、それでは原因解決アプローチが効力を発揮できない、すなわち「原因と結果の因果関係が明確でない場合」および「原因が解決不能な場合」にはどうすればいいのでしょうか?
続く・・・
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みなさん、ハローです!
さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる「ある条件」とは何でしょうか?
大きくは二つあげられると思います。
一つは、「原因と結果の因果関係が明確な場合」が考えられます。
といいますか、この因果関係が明確でなければ、そもそも原因解決アプローチは成り立ちません。問題の原因を探し出して、その原因を改善することがこのアプローチの売りですので。
しかし、僕たちが日常経験する諸々の問題においては、明確な因果関係を想定できることというのは、実はそれほど多くありません。
多くの問題は、複数の原因らしきものが複雑に絡み合って明確に原因を特定できなかったり、そもそも原因がわからないといったこともよくあります。
特に対象とするもののシステムや仕組みがよくわかっていない場合には、単純に因果関係を想定することが難しいと言われており、ともすると間違った因果関係を想定してしまうことさえもあり得ます。
このことを説明するときに僕たちがよく引用する例を以下に紹介します。マトゥラーナ、ヴァレラ著「オートポイエーシス-生命システムとはなにか」という本の巻頭言にビアが挙げている例です。
例えば、今まで自動車を見たことがない人がいたとします。
ある時その人の前で自動車が止まって動かなくなりました。するとドライバーが出てきて、ボンネットのふたを開け、ラジエータに水を入れました。しばらくすると再び自動車は動き出して、その人の前から走り去っていきました。
この場面を見てその人は、「ああ、あの人を乗せて走る金属の物体は水で動くんだ!」と思ってしまうかもしれません。
といった感じなのですが、いかがでしょうか?
僕たちは自動車の仕組みを良く知っているので、この場面を見ても「自動車が水で動く」という因果関係は想定しません。自動車がガソリンで動くことは当然のこととして知っています。
この場面では、きっとラジエータ液が不足してオーバーヒートを起こしたので、ラジエータに水を補給したのだろう、と想定するでしょう。
しかし、自動車のことをまったく知らない人がこの場面を見たらどうでしょうか?
その人が見たものはまさに、「自動車が止まる」→「水を補給する」→「再び自動車が動き出す」という場面なのです。
「自動車が水で動く」と判断してしまうのも無理はないかもしれませんね。
さあそれでは、人の運動に関してはどうでしょうか?
実は人の運動システムについては、まだよくわかっていないことがたくさんあります。よくわかっていないシステムにおいて安易な因果関係を想定すると、間違えてしまう可能性がある、ということは理解しておいていただきたいと思います。
続く・・・
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