運動システムにダイブ!シリーズ①脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密

目安時間:約 9分

≧(´▽`)≦
みなさん、ハローです!

運動システムにダイブ!シリーズの第一弾が出版されました!


西尾 幸敏 田上 幸生 著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


出版を記念して以下の詳細にて無料キャンペーンを実施します。ぜひこの機会にCAMRのアイデアに触れてみください。



☆★☆★☆★★☆出版記念 無料キャンペーン★☆★☆★☆★☆
著者  : 西尾 幸敏、田上 幸生
書名  : 脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密
無料キャンペーン期間: 6月30日(水)16:00~7月4日(日)15:59
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【はじめに】
 この本はCAMRのFacebook pageに掲載された「5分でわかるシステム論」(2019年10月15日~2019年11月19日の計6回)を大幅に加筆・修正したものです。むしろ加筆・修正が大幅すぎて、まったくのオリジナルと言った方が良いでしょう。


 思えば昔、僕が脳卒中患者さんを見始めたときには、「どうしたら良いものか」と悩んだものです。


 たとえば患者さんが立った時に、麻痺側の下肢が全体に屈曲して持ち上がり、患者さんは良い方の手脚だけで立たれます。これは「屈曲共同運動という現象であり、抑制されなければならない」と講習会などで説明されます。そこで自分の手を使って、患者さんの脚を抑えてまっすぐにし、床につけようとするのですが、一向に改善した感じがないのです。「手を使って、脚をまっすぐにして体重を支えるようにする」ことが正しいのかどうかさえ、分からないまま実施していました。


 これはそもそも「屈曲共同運動」が何者で、どんな性質や意味があるか分からないので、形だけ真似て脚をまっすぐにしようとするからです。


 一方、システム論を基にしたCAMR(カムルと呼びます。Contextual Approach for Medical Rehabilitation: 医療的リハビリテーションのための状況的アプローチの短縮形です)では、この現象を次のように説明していきます。


 麻痺側下肢を発症後初期に使おうとすると、麻痺のため支持性がなくてこけそうになります。つまり麻痺側下肢を使おうとすると立つという課題達成に失敗するのです。そこで患者さんの運動システムは立位課題に失敗しないように患側下肢を使わずに、健側上下肢と手すりを使って立とうとします。つまりこれは運動システムが選んだ患側下肢の「不使用」という問題解決方法なのです。


 しかし障害後に運動システムが選んだ問題解決方法は、たくさんの筋力などのリソース(資源)が失われて、仕方なく応急的に使われる解決方法です。「使うと失敗するので使わない」という問題解決方法は、その時は良くても、「使っていれば将来的には使えるようになるはずの麻痺側下肢」の可能性を失わせてしまいます。


 このように理解すると、単に脚の形をまっすぐにしようというのではなく、形はどうあれ、まずはできるだけ使ってもらうことが大事であることがわかってきます。


 そして運動システムが障害後に立つために選んだ問題解決なのです。「屈曲共同運動」というと、中枢神経システムの中の正体不明のメカニズムが相手でどうしたら良いのか分からなくなりますが、運動システムが選んだ問題解決なら、もう一度運動システムに「使う」ように選び直してもらえば良いのです。


 単に脚の形を矯正するのではなく、患側下肢に重心を移動してもらい、ちゃんと荷重・支持する経験を繰り返し、運動システムに「この脚は繰り返し使っていると、支持性が増して使えるようになるよ」という知覚学習をしてもらえば良いのです。


 このようにシステム論のような従来と異なった解釈の立場に立って理解すると、リハビリテーションのアプローチを自分で考え出したりすることもできるようになります。そうすると自分が何をするべきかがよく分かって、リハビリという仕事もとても面白くなります。


 この本ではシステム論を基にしたCAMRの考え方を紹介しています。このCAMRは、「運動システムの視点に立つ」という独自の方法論を持っています。つまり運動システムにダイブ(飛び込む)して、運動システムの立場から人の運動システムの振る舞いを理解しようという視点です。難しそうに思われるかもしれませんが、実際にやってみるととても簡単です。


 今の仕事の内容ややり方、結果に満足していないなら、この本を通じてきっと新たな可能性を見つけられると確信しています。


2021年6月 最初の発刊に寄せて
                           西尾幸敏 田上幸生 


 【目次】
運動システムにダイブ!シリーズ① 脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ! ~CAMR誕生の秘密~
はじめに
目次
第一部 運動システムの立場に立ってみましょう!
第1章 異なる立場、異なる理解
1.自分の立場を知る
2.学校教育の立場
3.システム論の立場
4.システム論の立場で見る例
5.要素還元論とシステム論
6.異なる立場の視点を自由に行き来する
第2章 システム論の視点を身につける方法論
1.運動システムの作動の性質を理解する
2.運動システムにダイブし、内部から観察してみる
第3章 健康な若者の運動システムにダイブ!
1.お腹が空いた場面
2.内部からの観察
3.嫌いな父親と一緒にいる場面
4.内部からの観察
5.運動システムの作動の性質(①、②)
第4章 廃用症候群のご老人の運動システムにダイブ!
1.水を飲みたい場面
2.内部からの観察
3.運動システムの作動の性質(③、④、⑤)
4.行動範囲が広がっていく場面
5.運動システムの作動の性質(⑥、⑦、⑧)
第5章 あなた自身の運動システムにダイブ!
1.歩いている場面
2.運動システムの作動の性質(⑨)
3.運動システムの作動の性質のまとめ
第二部  脳卒中片麻痺の運動システムにダイブ!
第二部へ進むにあたって
第6章 救急外来に運び込まれた場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第7章 初回セッションの場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第8章 初めての座位訓練の場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第9章 2回目の座位訓練の場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第10章 初めての起立練習の場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第11章 その後の立位練習の場面(その1)
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
第12章 その後の立位練習の場面(その2)
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
ちょっと一服・・・《CAMRにとっての理論とは?》
第13章 初めての歩行練習の場面
1.外部からの観察
2.運動システムの視点
3.Camrer's Note
参考までに・・・《スベラースの紹介》
最後に
CAMR研究会について
著者紹介
CAMRの本


【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


【運動システムにダイブ!シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 他著「脳卒中片麻痺の運動システムにダイブせよ!: CAMR誕生の秘密」運動システムにダイブ!シリーズ①


【CAMR入門シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③
西尾 幸敏 著「正しい歩き方?:俺のウォーキング」CAMR入門シリーズ④


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セラピストは何をする人?(最終回)

目安時間:約 4分

セラピストは何をする人?(最終回)


 日本に帰ってもしばらくは教員だったので臨床に出ることはなかった。その代わり、自分の経験したことや学習したこと、考えたことを文章としてまとめることができた。論文、特に欧米の有名なシステム論の論文を何本か選んでレビューとして2本書いて雑誌に投稿したが、「科学的根拠のない考えで紹介するに値しない理論である」みたいなことを言われて2本とも拒否された。


 まあ教官時代は他にも多くの文章を書きまくった。半分近くは上田法の会誌に載ったが、他のものはほったらかしである。しかしそれらは今となっては僕の良い財産だ。


 やがて現場に戻る日が来た。その頃には自分なりの計画はできあがっていた。課題主導は間違いないが、要素訓練は必要だ。課題を通して必要な知覚学習をするにしても、患者の持っているリソースは豊富な方がより柔軟で選択肢の豊富な運動スキルの発達に導くだろう。そして現場で試行錯誤を繰り返した。


 現在では、「多要素多部位同時方略」で運動リソースを豊富にし、「課題達成スキル方略」で運動スキルを柔軟で多彩にすると言うのがCAMRの中心の二本柱になっている。


 ただその間も、「セラピストは何をする人?」という疑問は持ち続けた。


 現時点ではなんとなくこう思う。セラピストは運動のやり方を教える人でも、治らない障害を治そうとする人でも、客観的なフリをして運動変化を起こそうとする科学者でもない。


 具体的には「セラピストは、患者さんの状態を基に患者さんの必要な生活課題達成能力の改善を助ける人」だと思っている。そのためには運動システムの作動の性質を科学的にも経験的にも良く熟知することが必要だ。たとえば人の運動システムは自律的、能動的、予期的に必要な課題を達成しようとする。そして課題達成に問題が起きると自律的に問題解決を図る性質(生まれながらの自律的な運動問題解決者)であるということを理解しておく必要がある。


 人は生まれながらにずっと運動問題を一人で解決して必要な運動課題を達成しようとしているのだ。問題解決の方法もそこから自然に生まれてくる。


 そしてセラピストは外部の客観的な観察者ではなく、患者さんの運動システムの「一時的に」重要な要素として働く。セラピストがどう振る舞うかで患者さんの運動システムの振る舞いも変わってくる。そして患者さんは生まれながらの運動問題解決者であり、問題解決の主役である。セラピストはその主役を輝かせるための「通りすがり」ではあるが誠実な脇役でなければいけない・・・・


 さて、自分の凡庸ぶりを説明するだけだが、ここに至るまでものすごく時間がかかった。約30年。それでもCAMRは今動き始めた、未完成過ぎるアプローチに過ぎない。ただ将来は、人を機械のように考え、扱うアプローチよりは良いものになるだろうと確信している。そのためにもこれからの若い人たちのCAMR研究会への参加と創造活動が必要です!集え!Young CAMRer!(カムラー:CAMRを実施する人)) v(^^)(終わり)



【CAMRの基本テキスト】
西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版



【CAMR入門シリーズの電子書籍】
西尾 幸敏 著「システム論の話をしましょう!」CAMR入門シリーズ①
西尾 幸敏 著「治療方略について考える」CAMR入門シリーズ②
西尾 幸敏 著「正しさ幻想をぶっ飛ばせ!:運動と状況性」CAMR入門シリーズ③



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システム論の話をしましょう(その2)

目安時間:約 3分

 最初は素朴なシステム論的アプローチを説明しましょう。
 これは「ある現象は様々な要素間の相互作用から起きてくる」というアイデアでまとめられるアプローチです。



 「なに?そんなの珍しい考えでもなんでもないじゃん。誰だってそう考えてるよ」と言われそうです。確かに世の中の出来事はたくさんの要素の相互作用と考えることが妥当ですし、常識的に思えます。でも意外に思われるかもしれませんが、問題解決という点から考えると世の中というのはそうでもないのです。



 たとえばテレビのニュース番組を見ていると事故や事件の報道をします。そうすると専門家の先生が出てきます。そしてアナウンサーが「先生、今回の事故の原因はなんでしょう?」と尋ねると先生が少し得意げに「今回の事件の原因はですね、・・・」などと喋ります。それを受けてアナウンサーは「ではその問題の原因を解決するためにはどうしたら良いでしょう?」と聞くと先生はますます胸を張って「エッヘン、それはですね・・・」と問題解決の方法をしたり顔で説明します。するとアナウンサーが納得顔で「では早急にそのような問題解決を図ることが必要ですね」と結論し、見ている視聴者も「フムフム」と納得したりするわけです。ごく普通のことでしょう?



 つまり世間一般では「問題を解決するためには、ある特定の要素なりできごとを原因として突き止め、問題と原因に因果の関係を想定し、その原因にアプローチすること」が当たり前に考えられているのです。そのように因果の関係を想定することが問題解決に関する代表的な方法と考えられ、常識になっているのです。



 逆にある問題が様々な原因の相互作用から起きていると考えると、問題解決の糸口が見えにくくなって、明確な問題解決が図れないと考えられているのです。



 これは僕達、医療あるいはリハビリテーション(以下単にリハビリと略す)の分野でも同じですよね。(その3に続く)

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CAMRとは?(その1)

目安時間:約 2分

≧(´▽`)≦
みなさん、ハローです!
 
このたび、Facebookページ・ホームページに続いて、CAMRのブログができました!
みなさんに役立つ情報をバンバン発信していきますので、どうぞ、ご贔屓にしてくださいね~!!
 
さて、まず最初はCAMRをご存知ない方のために「CAMRとは?」というところから書いてみたいと思います。
 
CAMRというのは、「Contextual Approach for Medical Rehabilitation」の頭文字をとったもので、日本語に訳すと「医療的リハビリテーションのための状況的アプローチ」となります。
 
CAMRという治療アプローチは、理学療法士の西尾幸敏によりシステム論をベースにして構築されました。システム論というと「ああ、課題主導型アプローチを生み出した背景理論だね」と思われる方も多いと思いますが、CAMRにはその範疇に収まらないとてもユニークな特徴があります。
 
従来的なリハビリと何が違うのかといいますと、ズバリ「視点」が決定的に異なります。
 
どう違うのか、という点についてはこれから書いていきますので、どうぞ楽しみにしておいてくださいね!
 
 
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