1.背景運動スキルとは?
人はなにかをする時、必ず全身を使います。立って壁のスイッチに手を伸ばすような単純な運動から、片脚立ちになって靴下を履くような少し難しい運動にしても必ず全身が協力して動きます。
でも私たちは目に見える動きだけに囚われがちです。歩いている人を見ると、手と脚の動きに注意が向いてしまいます。でも目に見えないところもバランスを崩さないように、あるいは安定して周りが見えるように働いているのです。
CAMRではこのような目立つ動きの背景で、動作全体が上手く働くための身体全体の使い方を「背景運動スキル」と呼んでいます。人は身体全体を上手に使って動いているわけです。
2.片麻痺の患者さんの歩き方を見ると・・・
片麻痺の患者さんが、杖を強く握って歩いています。
皆さんなら、どう考えますか?
目に見える部分だけを見ていると、「手が緊張している。もっとリラックスした方がよい」と考えるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
もしかすると、麻痺側の脚で身体を支えるのが難しいために、杖を強く押して身体を支える補助をしているのかもしれません。そうだとすると、手に見えている緊張の問題が、実は患側の脚の支持性低下の問題と関係していることになります。
人は全身で課題を達成しようとしますが、課題達成に問題が起こると、問題解決を図って課題を達成しようとします。そして、杖を強く握ることは、運動システムが歩くために見つけた問題解決の工夫なのかもしれません。
もちろん、本当にそうなのかは確かめる必要がありますけどね(^^)
大切なのは、背景運動を観察することで人の運動システムは課題をどのように達成しようとしているのか、どのように問題解決の工夫を図っているかを知ることです。
そして運動システムが、「杖を強く握ること」が、患側下肢を中心とした身体の支持性と重心制御に問題を感じているので、杖を強く握っているかもしれないと想像することができます。
そうすると「患側下肢を中心とした身体の支持性と重心制御を改善する」ことで、患者さんは杖を強く握らなくなるし、さらには杖にあまり頼らなくなるかもしれませんね。
これがCAMRのアプローチになります。CAMRではこれを「背景運動スキル強化練習」と呼んでいます。
3.背景運動スキル強化練習
従来学校では、筋力・柔軟性・持久力などの運動の構成要素を改善することが中心になります。運動スキルは患者さんにおまかせです。
でもCAMRでは「構成要素間の関係性」である「運動スキルや運動認知」を改善しながら、同時に同じ課題で筋力・柔軟性・持久力などの構成要素も改善していきます。これが「背景運動スキル強化練習」です。非常に効率的に運動パフォーマンスが改善します。
背景運動スキルを観察し、どんな問題解決の工夫をしているかを理解すると、運動システムが必要な課題達成において何を苦手、弱点と考えているかが分かります。そこに焦点を当てて適切な運動課題を選んで、「背景運動スキル強化練習」を行います。
そうすると片麻痺患者さんの歩行が改善し、大きくパフォーマンスが改善することを何度も経験しています。
このアプローチは、僕の臨床経験の中から生まれてきた考え方を中心にしています。この考え方が少しでもみなさまのお役に立てるのではないか、と考えています。
皆さんもCAMRのアプローチを学んで見ませんか?
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