CAMR を学ぶことで得られるもの

目安時間:約 8分

「戦(いくさ)は人数で戦うものでなく、知略と勇気で戦うもの」

 これは小説「天と地と」(海音寺潮五郎)の中で、上杉謙信の兵法の師である宇佐美定行の言葉です。
 僕にはとても響く言葉でした。だから定行に習って次のように言います(^^;))

「リハビリは知識と技術だけでなく、心意気と治療方略でやるものだ!」

 もちろん知識や技術が大事なのは当然です。でもリハビリ場面では常に困難な状況が新たに現れるものです。知識や技術を増やしていくことである程度の対応はできますが、人から教えられた知識や技術だけでは対応できない困難で新奇な問題にも再々出会います。人から教えられた知識や技術だけでは必ず限界を迎えます。
 だからこそ「なんとか少しでも状況を良くしよう」という心意気が大事です。(ちょっとおやじ臭い?いきなり時代遅れの精神論ですね(^^;))
 でも心意気があればすぐには諦めないし、また良い治療方略が生まれてくるものです。 治療方略とは、治療をどのような目的で、どのように実施するかの計画・作戦のことです。治療方略はこれまで自分が蓄えてきた知識や技術、経験を基に新しい問題解決の方針や方法を生み出すことです。まさしく戦で言う兵法に当たります。

 僕の経験で言えば、それまでの限界を越える治療方略を自分自身の力で生み出すところにリハビリの本当の面白さがあると思います。いや、どの仕事でも一緒かもしれませんけどね(^^)

 ここでは僕が自然に治療方略を思いつくようになった経過を簡単に紹介したいと思います。
 僕は新人の頃、普通以下の理学療法士だったと思います。学校で教えられた事をあまり深く考えることもなく、「だいたい普通はこんなものだろう」と考えていたし、慣れるにしたがって日々の仕事は次第に流れ作業的になっていました(^^;)

 ある日システム論というアイデアを知りました。少し勉強してみると今まで学校で習った考え方とは丸っきり違っていることに驚きました!
 たとえば「初期歩行」は原始反射と学校で習いました。これは生後2ヶ月くらいで消えてしまいます。学校では、「脳の成熟にしたがって原始反射である初期歩行は抑制され、やがて正常な歩行が発達していくのだ」などと習います。
 ところが発達心理学者のテーレンらは、「初期歩行が消えてしまった赤ちゃんをお湯につけるとまた再現する」という現象を紹介します。学校で習った説明では、「お風呂に入ると中枢神経系が成熟から後退する」ことになって変ですね(^^;)
 そこで彼女らは「初期歩行が消えてしまうのは、生後1 ヶ月過ぎくらいから下肢の脂肪組織が増えて筋力を上回って重くなるので消失する。そしてお湯に入ると浮力によって再び現れる」と仮説を立て、実際に下肢の脂肪量や重量増加のデータを調べてそれを証明します。
 さらに彼女らは初期歩行が消失する前からトレッドミル上で赤ちゃんを歩かせて、筋力トレーニングをするのです。そうすると初期歩行が消えないことも証明します。さらにさらに、彼女らは、左右速度の違うベルトのトレッドミル上に新生児の赤ちゃんを立たせます。すると、それぞれの速度に合わせて左右の脚を別々に適切に動かすことを証明しました。結局、初期歩行は「原始反射」などではなく、状況変化に応じて適切に対応する成人の歩行の性質を持っていることを証明したわけです。(他にも位相空間の研究などもあります)
 それで僕はシステム論のアイデアにとりつかれてしまいます。「いつの日か、このシステム論を基にしたリハビリテーション・アプローチを作れたら良いな」と思うようになりました。(実際には30 年もかかってしまいました。頭の悪いこと(^^;))
 そして患者さんを見ていくと、少しずつ自分の中のある変化に気がつきました。それまで患者さんを見て「ああ、この患者さんの運動は変化しなくなった。そろそろプラトーだな」などと安易に考えていたのです。
 しかし「あ、いつも訓練で起きている変化は一時的なものかもしれない。一時的な変化は揺らぎみたいなものでいくら起きても持続的な変化には繋がらない。だって揺らぎだもの。持続的な変化を起こすためには、揺らぎではなく作動自体を大きく変化させるような訓練をする必要があるのでは?だからまだやっていないことがたくさんある!」などということを自然に思うようになりました。
 システム論の考えが徐々に身体に染みこんで、いつのまにかそれまでとは異なった視点で色々な現象を理解するようになったのです。その積み重ねで「これまでの治療を見直して、持続的な変化を生み出すには・・・」という治療方略の考え方が自然にできるようになったわけです。

 その結果がCAMR です。治療方略を生み出すには、これまで変化の生み出せない訓練の考え方とは対立軸を生み出すような「新しいアイデア」を身につけることです。これまでの考え方と新しい考え方を戦わせて行くと、丸っきり別の理解やアプローチが生まれてくることを実感しました。
 システム論を基にしたCAMR の考え方を学ぶと、これまでとは対立するようなアイデアを学ぶことができ、自分の中に対立軸ができて、新しい視点や発想が生まれます。「自分で見て、考察して、新しい視点と発想を生み出す」ことができるようになります。つまり自然に「治療方略」が浮かんでくるようになるのです。

 「CAMR を学ぶ」ことの何が重要かと考えると、やはりこの「新しいアイデアや視点を取り込んで、自分で色々な発想や新しい問題解決方法を生み出すための治療方略を身につける」事だと思います。
 現在行われている講習会はほとんど知識や技術に関するものです。これは見た目に分かりやすく魅力的です。だからすぐに役立ちそう、と惹きつけられるかもしれません。
 でもCAMR 講習会はセラピストとしての問題解決能力をアップさせます。そしてこれは単に新しいリハビリの知識や技術を憶えることとは違います。自分で考える能力を高める事です。そしてそれには少し時間がかかるのも事実です。
 でもそれによって日々臨床で出会う新奇な問題、困難な問題にも自分自身で対処できる能力を身につけることができるようになると思います。
 是非とも皆さんにもこの機会に講習会を受けて、この素晴らしい経験をしていただきたいと思っています。

CAMR無料勉強会のおしらせ
10月30日夜8時から1時間程度
詳細とお申し込みは以下のURLから

https://u.miura1991.com/p/camr10

CAMR対面講習会のお知らせ
11月28日(土)12時から21時まで
11月29日(日)8時から12時まで
場所:広島県東広島市
詳細とお申し込みは以下のURLから

https://u.miura1991.com/p/camr11
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