人の運動システムの最大の特徴は、通常の環境や状況の変化に応じて運動を適応的に変化させるところにある。たとえば歩行にしても、坂道や砂浜、砂利道、雪道、夜道、人混みの街角、葬儀会場、大観衆が見守るステージなどと環境や状況の変化に応じて歩き方は自然に変わるものである。
このように環境や状況の変化に応じて歩き方を変化させて歩行を安定・安心の状態に維持する運動システムの作動の性質を「状況性」とCAMR(カムル)では呼んでいる。
どうして人の運動システムで「状況性」という作動が可能になるかというと、人の運動は無限の運動変化を生み出すことができるからだ。
世界の環境や状況は無限に変化するのだが、その変化に合わせて最適の運動変化を生み出してはなんとか適応的に振る舞おうとするのである。もちろん空を飛べるわけではないので、いくらかの制限下で無限に変化する訳だ。それに常に上手く行くとは限らないが、通常の状況・環境変化はよく把握して、それなりに適切な運動変化を生み出しては適応するのである。
この無限の運動変化を生み出す仕組みは、学校では脳が心身の状況を把握して、それに対して適応的な判断・命令をすると説明する。脳は世界に適応する責任を独りで背負っていると仮定されている。これは人間が生み出したロボットをモデルに人の運動を理解しているようだ。まあ、これも仮説ではある。真実かもしれないが、そうでないかもしれない。
この仮説では脳が適応的な運動を生み出しているため、リハビリも脳の働きに焦点を当てて集中することになる。やるべきことは運動に対する脳の働きを高めること、となる。この考え方は日本に入ってきて半世紀以上経つが、未だに上手くいった例は正式に発表されていない。おそらくリハビリでは不可能なのだろう。
CAMRの仮説では構造や各組織・器官の働きで説明しないので、体が持っている働きを想定して次のように説明する。
人の運動システムは豊富な身体の運動リソース(資源)を持っている。体の持つ筋力や柔軟性は運動リソースである。たとえば筋力は単に力に過ぎない。いくら力が強くてもそれだけでは何もなしえない。何かを達成するにはその力の利用方法である運動スキルが必要である。
運動認知はそれらの豊富な運動リソースを利用して運動スキルを生み出す能力である。身体と環境の状態を知り、それらの相互作用の結果、予期的に運動結果を知り、柔軟で適切な運動スキルを創造し、修正する能力である。運動認知は常に動くことによって適切にアップデートされる。
CAMRでは障害を持つとは傷害や麻痺などによって筋力などの運動リソースが貧弱になることである。運動リソースが貧弱になると、それらを資源として生み出される運動スキルも貧弱になる。運動スキルが貧弱になると適切に必要な課題を達成できなくなる。また筋力や柔軟性が失われると動けなくなる。動かないと運動認知が不適切になる。
だからCAMRではまず改善できる運動リソースをできるだけ改善することを考える。つまり運動リソースをできるだけ豊富にする訳だ。運動リソースが豊富になればなるほど運動スキルはより柔軟に多彩に豊富に創造され、修正されるようになる。
運動リソースの豊富化にはいくつものやり方、考え方がありこれをよく知っておくことがリハビリでは重要だ。
また運動スキルを適切に生み出すためには、運動認知のアップデートも欠かせない。脳卒中の様に体の変化が大きいと、運動認知は大きく不適切になるため適応的な運動スキルを生み出せなくなる。
運動認知は多様に動くことで適切にアップデートされるのでこのやり方のコツを知っておく必要がある。
運動スキルを豊富に柔軟に生み出すやり方をCAMRでは「運動スキル学習」と呼んでいる。運動スキルは入れ子状の構造をしていると考えられるので、運動スキルをより豊富にするためにはそれなりの「やり方のコツ」があるわけだ。
以上、簡単だがCAMRの障害の理解とアプローチの流れを説明した。
詳しくはCAMRの無料オンライン勉強会や広島のリアル勉強会で紹介している。次回は日程が決まり次第お知らせします(^^)















コメントフォーム