君たちはどう生きるか-リハビリのセラピストへ(その3)
僕はアメリカ生まれの課題主導型アプローチを学んで、すごく勉強になったところも多かったのですが、逆に物足りなさも感じました。
僕はhands therapyが理学療法・作業療法のアプローチで除外されていることをとても残念に思いました。hands therapyはその時・その場で運動変化を起こして、患者さんの様々な状況変化を生み出すためのきっかけとなる技術の一つだと思います。
どうもアメリカのⅡstep会議に関わった教授達は、hands therapyを少しいかがわしい、インチキ臭い科学的根拠の薄い治療手技であるという偏見を持っていると感じました。
実際、課題主導型アプローチは、課題設定がセラピストの大きな仕事で、患者さんに一度も触れることなく訓練を進めることも可能です。
でもマニュアル・セラピーやPNF、上田法などは解剖学、生理学などに基づいて実施されていて、それぞれ安全で効果的なhands therapyです。特に上田法は脳性運動障害後の過緊張を一時的にでも大きく緩める他には見られない特徴を持っています よく「hands therapyの効果は一時的で、長く続かない。そんなものは駄目だ」と言われる方もいますが、元々たった一つの手技で全てあるいは多くの問題を解決しようなんて考える方が不自然です。
というのも脳性運動障害を始め様々な障害・傷害はたくさんの要素が複雑に絡んでいるのが普通です。
それらの要素のうちたとえば過緊張を一時的に大きく変化させて柔軟性を改善できれば、広がった運動範囲や重心の移動範囲などを利用して、様々な運動経験や新たな運動スキルを生み出すきっかけになることができます。
つまりhands therapyによって、痛みや柔軟性の一時的な改善はちっぽけな変化に見えても、新たな運動・行為や運動スキルを生み出していく「大きなきっかけ」になる可能性を持っています。
それで僕はhands therapyが当然重要な治療手技として組み込まれる日本生まれのシステム論のアプローチを考えてみようと思ったわけです。
君たちはどう生きるか?(その4に続く)




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