CAMRのYouTubeチャンネル、「カムラーの部屋」に新しい動画を投稿しました。見ていただけるとありがたいです。
今回のテーマは、テーマは「CAMR入門 その4 CAMRの運動問題の捉え方」です。以下のurlから。
「CAMR入門 その4 CAMRの運動問題の捉え方」
https://youtu.be/NiSMDfoBhn4e



CAMRのYouTubeチャンネル、「カムラーの部屋」に新しい動画を投稿しました。見ていただけるとありがたいです。
今回のテーマは、テーマは「CAMR入門 その4 CAMRの運動問題の捉え方」です。以下のurlから。
「CAMR入門 その4 CAMRの運動問題の捉え方」
https://youtu.be/NiSMDfoBhn4e
CAMRは状況変化の技法?(その4)
2日目、3日目も、話しかけを無視されたり、時々返事だけを繰り返します。どうもなかなか会話が成り立ちません。また評価や運動、マッサージ、ストレッチ、散歩などに誘いますが全て穏やかに拒否されます。
「僕の時間は休んだら良いよ」とAさんは言われますが,「そういう訳には・・・仕事なんで」と答えます。何もできないまま訓練時間を過ごすのはとても苦痛です。
4日目には話がポツポツと続くようになります。救いだったのは、全て無視し続けるのはAさんにとってもしんどそうに見えたことです。話の内容、たとえば機械関係の質問などには応えていただきます。時には興味ある内容を付け加えてもらいますので、少しだけ話が膨らみます。リハビリに対して敵意というか拒否の感情を持たれているようですが、どうも「僕自身に対してではない」と思えました(^^;)そう思えたのが心強い。
4日目の夕方、介護、看護、相談員、リハビリなどのリハビリドック・チームが集まって最初のカンファレンスを開きます。
リハビリドック・サービスが運用される前に、チームの全員にCAMRの基本的な考え方は伝えてあります。元々リハビリ・ドックは僕の企画で始まったので、ここはやりたいようにできます(^^;)
原因を探してそれにアプローチするよりは、まずは「どんな問題が繰り返し起きているか?どう繰り返されているか?」を観察します。「その過程の中で、変化が起こせそうなものをとりあえず変化させましょう。まずはやってみましょう」と伝えて、簡単な実習なども行っています。
「問題の原因を探して」とすると意外に、手も足も出なくなるものです。原因はたくさんでるときは出て迷うし、出ない時は全く出ません。出ても解決できないこともあります。問題の観察内容を話すだけなら、意外に簡単にみんなが話し合いに参加できることは、リハビリ・ドックの経験で少しずつみんなも実感しているようです。そして状況変化はいつでもどこででもアプローチできるものです。
会議ではまずリハビリの様子を報告します。最後に「人に指示されたり、世話をされたりすることが嫌なご様子です」と感想を述べます。みんな「あー」と同意します。
老健のユニットの方では、「トイレの時はスタッフに伝えてください」と伝えているものの、初日から黙って室内のトイレを使っているとのことです。洋式トイレで、おしっこは座ったままされているそうですが、「服を脱ぐのが間に合わない」と報告されます。しかし皆で観察した内容を話し合うと、「服を脱ぐのが間に合わないのではなく、服を脱ぎ始めるとおしっこの我慢ができなくなる」のような失敗です。そんな時ズボンやパンツを少なからず濡らしていても平気で車椅子にもどります。ただご家族が言われるほど、びしょびしょになるわけでもないようです。施設で過ごす分、家よりは緊張して過ごしておられるのかもしれません。
本人は更衣を嫌がって「すぐ乾く」などと頑固に構えているとのこと。やはり 「人に世話を焼かれたくないのだろう」と印象が話されます。
介護の1人が「早めにトイレに行って」などとアドバイスすると「急に行きたくなるから難しいのでできない」などと不機嫌に反発されたそうです。
一人の介護士が言います。「言うこと聞かないんだから!問題にしているのか、いないのか、何がやりたいのか、わかんないわよ」なるほど、そんな風にも見られますね。
介護主任が言います。「多分あの方は、みんながアドバイスするような解決策は一人でやっておられるような気がします。だからアドバイスに対して『そんなことはもう試しているが、できないんだよ』と反発しているのかもしれません」
「なるほど!」と思います。「じゃあ、どうしたら良いの?」と誰かが聞きます。しばらくしんとします。こんな時いつも明るく発言してくれる介護士さんがいるので助かります。場違いな甲高(かんだか)い声で、「本人が納得する方法が良いんじゃないの?」と言います。何人かが「あー、そうなんだけど・・・」と言います。
急に介護主任がピンと背を伸ばします。皆が気づいて介護主任を見つめます。「では、状況変化の一案として、Aさんに問題解決の方法を考えて、こちらに指導してもらったらどうかしら?つまり、問題解決策を考えてもらい、その指揮をご本人さんにとってもらって、私達がそれに協力するってのはどう?」
みんな唖然としたようです。でもなんとなく魅力的な状況変化の方向が一つ明確になります。
僕も面白い提案だと思いました。「あ、それは試して見る価値があるかも・・・Aさんならできそう。今はリハビリも何も進まない状態なので,やってみましょう!ダメならまた他の方法を考えれば良いから」と賛成します。
一旦やってみようとなるとみんなからいろいろな具体的意見が出ます。ご本人は早く家に帰りたがっておられるので、これを動機付けとして試しましょう、などとなります。(その5に続く)
カテゴリ:CAMRは状況変化の技法 [コメント:0]
CAMRは状況変化の技法?(その3)
Aさんに初めて会った印象は、意外に穏やかな感じの男性です。最初は身体の状態などを聞くのですが、「別に」と答えられます。少しうんざりだという素振りをされます。
仕方なく、「こちらの施設の見学でもしてみましょうか?」と誘うと、「いや、見ればわかりますよ」と答えられます。なるほど、少しリハビリとかに心を閉ざされているご様子です。
なんとかお話ができるきっかけが欲しいものです。そのうち車椅子に乗って手が色々なところを触っているのに気がつきます。「車椅子の操作はどうですか?」と聞くと、「うん、これは・・」といってブレーキや駆動輪などを触り、車輪を手で持って前後に動こうとされます。
ひたすら無言で色々に動かされます。見かねて声をかけようとすると、どうも嫌がられる雰囲気です。ひたすら1人で試行錯誤されます。そのうち左右へゆるりとと方向転換をされます。前へ進み、後方に進み、方向転換も徐々に大きくなります。ともかく試行錯誤を一生懸命されているので、口出しを止めます。
そのうち「どこか・・・あっちの方へ行っても良いだろうか?」と聞かれるので、「ええ、良いですよ」と答えます。意外にも早くも状況変化のきっかけが見つかったかもと思います。
景色の見える大きな窓際までなんとか漕がれます。「車輪は左右独立で、駆動もブレーキも・・・・」などと呟かれます。どうもほとんどが独り言です。「車椅子は初めてですか?」と聞くと「今までは人が押すばかりでね」と不満そうに言われます。とりあえず「人に指図されたり世話されたりが嫌な方なのだろう。それに機械に非常に興味がある方だろう」と仮定します。やはり手伝いにしゃしゃり出なくて良かった、と思います。
「今まで耕運機とか使われたことがありますか?」と聞くと「いや、ない」と言われます。でもこの「妙な質問」に興味をすこし持たれたようです。「こちらの車輪をとめて、こちらの車輪を進めると車輪と反対側に方向を変えます。これで農家の方が耕運機と同じだな、なんて言われるんです」と説明すると、「うん、そうか、耕運機か?」と呟かれます。
「耕運機は操作されたことがありますか?」と聞くとまた無視されました。この後、また会話が途切れました。でも機械に興味を持たれているのは確かなようです。
男性の場合、仕事の話は意外によくされるので、「お仕事は何をされていたんですか?」と聞くと「まあ色々な機械の設計と組立をしてたよ」と答えられます。 「よし!」と思います。ところが後は質問をしても無視されます。ともかく沈黙の時間が長い。僕は元々あまり社交的な性格ではないので、話を上手く繋いでいくことが苦手です。
そんなこんなでこの日の訓練は終わりました。結局少しの会話だけでした。どうもコミュニケーションを意図的に避けているような感じです。でも、車椅子の操作は未熟なので明日はやることがあるかも・・・などと考えます。(^^)(その4に続く)
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CAMRは状況変化の技法?(その2)
前回の最後は少し話が逸れてしまいました(^^;)まあ、手短に言うと地域のケアマネさんが抱えている「難しい利用者さん」の問題解決をリハビリ・ドックで引き受けようという話です。
具体的に最初の頃に関わった状況変化が上手くいった例を挙げます。 Aさんは、退職後しばらくは色々な活動をしていましたが、何年か経つうちに徐々に家でテレビや本を見て過ごす時間が増え、足腰が弱って一人で歩くのが難しくなっています。膝や腰は時々軽く痛みます。家では伝い歩きか介助歩き。それでトイレが間に合わずに失禁も多いです。でも、尿パッドや失禁用紙パンツを嫌がるので困っているそうです。
担当のケアマネさんが、あるデイサービスにAさんを紹介しましたが、「本人の意欲が低くて動こうとされなかった。最後はデイサービスを嫌がられた」と通所を拒否し、利用終了となりました。しかし家族とケアマネさんは、「今のままでは困る、最後のお試しで良いから。これでダメならもう無理はいわない」となんとか説得して当施設のリハビリ・ドックに渋々入所されたそうです。
私達セラピストは、「原因を探して、その原因を解決する」というやり方を学校で教わっています。
前の施設の報告書を見ると、セラピストは歩行不安定でこけやすい原因は「足腰・全身の筋力低下」であると考えて、最初は筋トレをあの手この手で勧めましたが、本人がなかなか動かなかったとのこと。
それで「足腰が弱ったのはもともと動く意欲が低いのが原因」と考えなおして、まずは「意欲を促して動くこと」を目標に変えました。たとえば元気な頃は家庭農園をやっていたので畑の作業やマシントレーニングなどの具体的課題を提案したりしますが、どれにも意欲を示されませんでした。思いつく限りのことはやってみたが、この利用者さんは「根本的に動く意欲を無くしている」と諦めの結論で結論づけています。
失禁については、介護の方で紙パンツを勧めましたが家庭と同様に拒否されます。理由は分からないので対処のしようがないとのことでした。
前の施設の訓練の様子などもケアマネさんから聞いています。前の施設では元気なセラピストが何度も繰り返し力強く筋トレや運動に誘っては断られています。ケアマネさんが見たところ、そのうちセラピストも次第に不機嫌になり、お互いに不機嫌さがエスカレートしたのではないか、と言われます。なるほど・・・なんとなくイメージは湧きます。
それで「前の施設とは異なったアプローチをとる」ことにしました。 次回はいよいよAさんと対面です。(その3に続く)
CAMRは状況変化の技法?(その1)
CAMRが生まれた初期の頃、みんなに憶えてもらいやすいキャッチフレーズを付けることにしました。それで思いついたのが「状況変化の技法」でした。他の人には意味が分かりにくいかも、と思いましたが、なんとなく気に入ってしまったのでそのまま現在も使っています。
ただその後、「CAMRはやはり状況変化の技法であるなあ」と再々実感するようになります。そのことをお伝えすることで、「なるほど、CAMRは状況変化の技法であるなあ」と少しでも感じてほしいので、実例を紹介してみたいと思います。
最初そのことを強く感じたのは、僕が勤めていた老健施設でやっていた「リハドック」というサービスでした。その当時「強化型老健」を目指そうという施設の目標があがりました。まあ、簡単に言うと「強化型」という施設になると収入が増えるので「それやろう!」となったわけです。
そしてサービスの趣旨はズバリ、「在宅生活を支えるための入所サービス」です。しかし始めたばかりのリハビリ・ドックには利用者さんがなかなか集まってきません。
そこで目を付けたのが、ケアマネさんの抱える「色々な面で困っている利用者さん」を引き受けて、1ヶ月程度の期間でその問題を解決しようということです。そうすれば地域のケアマネさんの間でリハビリ・ドックの噂が広がって利用者さんが増えるのではないか、と考えたわけです。
実際に在宅生活では「次第にからだが弱って転げやすくなった」とか「膝が痛くて歩かなくなった」とか「失禁が多くなって介護が大変」とか「紙パンツやポータブルトイレを嫌がるので困っている」など、在宅生活を続ける上で家族が介護で困っている場合が多いのですよね。
しかも他のデイケアや老健で問題解決が上手く行かなかった方も比較的多いのです。
そんな他施設で解決しなかったような利用者さんを受け入れて何とかしてみようという無謀な挑戦が始まったのです。
この物語は、リハビリ・ドックを実現させる過程とその中で苦闘した人々の記録である・・・(中島みゆきの「地上の星」をバックに(^^;)!) あっ、話がテーマから逸れてしまいました。次回から「状況変化の具体例」について述べていきます(^^;)(その2に続く)
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