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「CAMR Facebookページ回顧録」のコーナーです。
今回は「ベルンシュタインを読む!(その6)」です。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ベルンシュタインを読む!(その6)2013/1/14
いまだに根強い古典的な運動プログラム説に対して、ベルンシュタインは自由度と多義性という問題を提起しました。これらの問題を乗り越えて運動を制御するための彼自身のアイデア…、それが感覚調整による制御と協応による自由度の制限です。
かような冗長なシステムにおいては、もし中枢神経系からある筋を収縮させるような命令が出されたとしても、10回中10回とも異なる動きになってしまう可能性があるわけです。このようなシステムの制御は「感覚器が継続的にシステムを監視してはじめて可能になる」とベルンシュタインは述べています。
そして協応とは「運動器管の冗長な自由度を克服すること、すなわち運動器管を制御可能なシステムへと転換することだ」と説明されています。これだけだとちょっとわかりにくいので、川人光男 他編「岩波講座 認知科学4 運動」の第1章「運動制御への生態学的アプローチ」(佐々木正人著)を参考にして、もう少し具体的に見てみましょう。
例えば自動車にはタイヤが4つあります。もしこの4つのタイヤをそれぞれ別々に制御するように設計された車があったとしたら? 誰も安全に運転できないですよね。しかし実際には車輪が結合されることで操縦の際の自由度は大幅に削減されています。
これが協応のイメージです。「複数の筋や関節などが、それぞれお互いを拘束し合い、ひとつの機能的な単位として作動する仕組み」と言ってもいいかもしれません。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
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昨日、アマノリハビリテーション病院において出張CAMR講習会〔入門コース〕が開催されました。
気づきの多い楽しい時間でした。
参加されたみなさん、ありがとうございました。
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さて、従来的なリハビリが土台とする要素還元論に基づたアプローチを原因解決アプローチとして紹介しました。
これに対して、システム論に基づいたCAMRのアプローチは、状況変化アプローチと言えます。問題が発生している状況を変化させることによって、問題解決や状況改善を図ろうというわけです。
これだと、個々の問題の原因を気にする必要がありませんので、原因解決アプローチが効力を発揮できない場合でもまったく問題なく介入することができます。
例えば高齢者の転倒であれば、転倒が起こった時の状況を調べてみます。その結果、夜間にトイレに起きて歩き始めに転びやすいということがわかったとします。
それならば、この状況を変化させてみよう、というわけです。転倒という出来事に関連して、身体状況、覚醒状況、行動パターン、介助者の状況といったことや、家屋の構造やトイレまでの動線、家具や手すりなどの配置、寝具、照明、歩行補助具、着ている服や履物などなど、様々なことに介入可能性があり得るでしょう。
もちろん、下肢筋力の低下という状況があれば、ここにも介入可能ですね。
勘の良い方はもう気づかれたと思いますが、結果として状況変化アプローチは原因解決アプローチを包含してしまうことになります。原因解決アプローチは状況変化アプローチのある特殊なケースである、と言い換えることもできます。
続く・・・
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さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる条件の二つめです。
それは、「原因が解決可能な場合」です。
原因を突き止めることができて、それが解決可能であれば、このアプローチはとても有効です。
しかし当たり前のことですが、たとえ原因を突き止めることができたとしても、それが解決不能であればどうしようもありません。
目覚ましい進歩を遂げている医学ではありますが、難病をはじめまだ克服できていない問題はたくさんあります。
リハビリセラピストにとって比較的接することの多い脳卒中でも、麻痺の原因は脳細胞が壊れたことですが、今のところ壊れた脳細胞が治るということにはなっていません。
さあ、それでは原因解決アプローチが効力を発揮できない、すなわち「原因と結果の因果関係が明確でない場合」および「原因が解決不能な場合」にはどうすればいいのでしょうか?
続く・・・
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さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる「ある条件」とは何でしょうか?
大きくは二つあげられると思います。
一つは、「原因と結果の因果関係が明確な場合」が考えられます。
といいますか、この因果関係が明確でなければ、そもそも原因解決アプローチは成り立ちません。問題の原因を探し出して、その原因を改善することがこのアプローチの売りですので。
しかし、僕たちが日常経験する諸々の問題においては、明確な因果関係を想定できることというのは、実はそれほど多くありません。
多くの問題は、複数の原因らしきものが複雑に絡み合って明確に原因を特定できなかったり、そもそも原因がわからないといったこともよくあります。
特に対象とするもののシステムや仕組みがよくわかっていない場合には、単純に因果関係を想定することが難しいと言われており、ともすると間違った因果関係を想定してしまうことさえもあり得ます。
このことを説明するときに僕たちがよく引用する例を以下に紹介します。マトゥラーナ、ヴァレラ著「オートポイエーシス-生命システムとはなにか」という本の巻頭言にビアが挙げている例です。
例えば、今まで自動車を見たことがない人がいたとします。
ある時その人の前で自動車が止まって動かなくなりました。するとドライバーが出てきて、ボンネットのふたを開け、ラジエータに水を入れました。しばらくすると再び自動車は動き出して、その人の前から走り去っていきました。
この場面を見てその人は、「ああ、あの人を乗せて走る金属の物体は水で動くんだ!」と思ってしまうかもしれません。
といった感じなのですが、いかがでしょうか?
僕たちは自動車の仕組みを良く知っているので、この場面を見ても「自動車が水で動く」という因果関係は想定しません。自動車がガソリンで動くことは当然のこととして知っています。
この場面では、きっとラジエータ液が不足してオーバーヒートを起こしたので、ラジエータに水を補給したのだろう、と想定するでしょう。
しかし、自動車のことをまったく知らない人がこの場面を見たらどうでしょうか?
その人が見たものはまさに、「自動車が止まる」→「水を補給する」→「再び自動車が動き出す」という場面なのです。
「自動車が水で動く」と判断してしまうのも無理はないかもしれませんね。
さあそれでは、人の運動に関してはどうでしょうか?
実は人の運動システムについては、まだよくわかっていないことがたくさんあります。よくわかっていないシステムにおいて安易な因果関係を想定すると、間違えてしまう可能性がある、ということは理解しておいていただきたいと思います。
続く・・・
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さて前回は、従来的なリハビリが要素還元論を、CAMRはシステム論をベースにしているという話でした。今回は、それぞれのアプローチの視点について見てみます。
拠ってたつ理論が異なれば、そこから導かれるアプローチも自ずと異なってきます。
従来的なリハビリが土台とする要素還元論では、全体を細かい要素に分けて、それぞれの要素を調べてどこに問題があるかを探っていきます。そして問題が見つかれば、その部分を改善すべく介入していきます。
例えば、よく転倒する高齢の方がいたとします。セラピストは各種情報収集をしたり、姿勢や動作を観察したり、必要と思われる個々の筋力や関節可動域、感覚などの要素を調べていきます。仮にここで下肢筋力の低下だけが顕著に見られたとしたら、これを転倒の原因と考え、この原因を解決すべく筋力トレーニングなどの介入を行なうかもしれません。
問題の原因を個々の要素に求め、それが見つかったならばその原因に対処して問題解決を図っていく。このようなアプローチをここでは「原因解決アプローチ」と呼ぶことにしましょう。
原因解決アプローチはある条件を満たす問題に対しては、抜群の効力を発揮する非常に優れたものです。
しかしながら、完璧なものなどこの世には存在しません。原因解決アプローチもしかりです。「ある条件を満たす問題に対しては」というところを理解したうえで使う必要があります。
それでは「ある条件」というのはどんなものなのでしょうか?
続く・・・
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さて、前回は「ある現象をより本質的に理解するためには、多様な視点からみて、多様な関わり方をした方が有利である」ということを確認しました。
CAMRでは従来的なリハビリとは異なる視点を提供しています。だからといって、従来的なリハビリの視点を否定しているわけではなく、それはそれで有用なものとして状況に応じて使えばよいと考えます。
CAMRでは、プラスアルファの視点を提供しているわけです。なぜなら、前回確認したように多様な視点を持っているほうが有利だからです。
それでは、CAMRの視点を紹介していきましょう。
まずは運動を考える際の背景理論についての視点です。従来的なリハビリでは「要素還元論」が土台になっていますが、CAMRでは「システム論」を基にしています。
人の運動というのは、たくさんの要素が関わった非常に複雑な現象ですので、これを全部まるごと一気に理解することは、とても困難な作業になります。
そこでどうするかと言うと、全体をいくつかの要素に分解して、それぞれの要素について調べていく、というやり方をとります。これが「要素還元論」の考え方です。
要素還元論は、リハビリ分野のみならず一般社会においても主流のパラダイムで、科学の発展や産業革命にも寄与したと言われる、非常に強力で有用なものです。
しかし、そんな要素還元論も万能ではありません。人は機械ではないので、単純に個々の要素を組み合わせて全体の出来上がり、というわけにはいきません。全体の振舞いは、単純に部分の振舞いを足し合わせたものとは異なる場合もあるのです。
そこで登場したのが、「システム論」という視点です。システム論では、その時その場の状況によってシステムの構成要素も増減しますし、さらに個々の要素のみならず、要素間の関係性までも考慮します。
アメリカで生まれた課題主導型アプローチも、この「システム論」を基にしています。
しかし、CAMRは課題主導型アプローチの範疇にはとても収まりきらない、多くの特徴を持っているということは以前述べた通りです。
続く・・・
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昨日、国立病院機構岩国医療センターにおいて、出張CAMR講習会(入門コース)が開催されました。
参加されたみなさん、ありがとうございました。
出張講習会のご希望がありましたら、お気軽にお問合せください。
今なら講師料無料キャンペーン中です(遠隔地の場合は講師交通費・宿泊費はご負担お願いします)。
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さて、従来的なリハビリとCAMRの決定的な違いは、「視点」ということでしたね。
それでは一体「どう違うのか?」というところが気になると思います。でも、ちょっと待ってくださいね。その前に、まずは異なる視点を持つことの意義について考えてみたいと思います。
例えば円錐形の物体があるとします。
この物体を真横から眺めると三角形に見えますが、真上から眺めると円形に見えます。視点が異なると見え方も異なります。
ん?「そんなの当たり前」ですって?
そうです、当たり前のことです。だから僕たちは、ある物体の形を視覚的に認識するとき、いろいろな角度から眺めまわすということを当たり前にやっています。その方が、より正確にその物体の形を認識できることを知っているからです。
実際には形だけを認識しようとすることは少ないので、その物体を理解するために、触ってみたり、コンコン叩いてみたり、臭いをかいでみたり、場合によっては放り投げてみたり、噛んでみたり、ペロペロなめてみたりするかもしれません。
より多様な関わり方をした方が、より本質的にその物体を理解できるということを知っているからです。
そしてこれは物体の理解だけに留まらず、あらゆる現象の理解においても当てはまります。
この点はみなさんご同意いただけることと思いますが、いかがでしょうか?
それでは再確認しておきますね。
「ある現象をより本質的に理解するためには、多様な視点からみて、多様な関わり方をした方が有利である」
これが異なる視点を持つことの意義です。ある一つの視点からみただけでは、その現象の本質的な理解に至らなかったり、間違って理解してしまう可能性があるのです。
ちょっと想像してみてください。もし円錐形の物体を見て、一つの視点だけからの情報で「これは平面的な三角形だ」と信じて疑わない人がいたら、どのように感じるでしょうか?
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このたび、Facebookページ・ホームページに続いて、CAMRのブログができました!
みなさんに役立つ情報をバンバン発信していきますので、どうぞ、ご贔屓にしてくださいね~!!
さて、まず最初はCAMRをご存知ない方のために「CAMRとは?」というところから書いてみたいと思います。
CAMRというのは、「Contextual Approach for Medical Rehabilitation」の頭文字をとったもので、日本語に訳すと「医療的リハビリテーションのための状況的アプローチ」となります。
CAMRという治療アプローチは、理学療法士の西尾幸敏によりシステム論をベースにして構築されました。システム論というと「ああ、課題主導型アプローチを生み出した背景理論だね」と思われる方も多いと思いますが、CAMRにはその範疇に収まらないとてもユニークな特徴があります。
従来的なリハビリと何が違うのかといいますと、ズバリ「視点」が決定的に異なります。
どう違うのか、という点についてはこれから書いていきますので、どうぞ楽しみにしておいてくださいね!
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