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システム論の話をしましょう(その6)
さて、2番目の分類は「外部から作動を見るアプローチ」です。この代表的なものの一つが「課題主導型アプローチ(Task Oriented Approach 以下TOAと略す)です。このアプローチの基礎となっているのがテーレンらの動的システム論であり、ギブソンの生態心理学です。
テーレンらによる動的システム論は外部から観察される姿勢や運動の基になっている運動システムの作動を物理学の枠組みから理解しようとします。動的システム論には、自己組織化、アトラクター、コントロール・パラメータ、多重安定性など多くの魅力的なアイデアがあります。これらのアイデアは僕たちが臨床経験を通じて漠然と感じていた運動システムの性質やいくつかの特徴的な運動状態を明確な言葉で表して理解を助けてくれると感じています。
さて、前回システム論は作動に焦点を当てていると述べました。つまりテーレンらは研究を通して「運動がどのように生まれ、維持され、変化していくか?」といった運動システムの作動を明らかにしているわけです。
テーレンらは心理学者ですが、正常運動発達を研究しました。それまでは一般に脳の中に正常発達の設計図があり、これに沿って運動発達が起こると考えられていたのですが、テーレンらは数々の研究から運動発達(運動の変化と安定)はあらかじめ決められた設計図はなく、様々な要素の相互作用から自己組織的に起きていると示したわけです。
もう一つ、生態心理学はアフォーダンスで有名なJJギブソンによって始められ、エレノア・ギブソン(以下、EJギブソンと略す)やエドワード・リード、日本では佐々木正人といった魅力的な心理学者達がいます。テーレンもその著書でエレノア・ギブソンに大きな影響を受けたと書いています。
生態心理学も脳が感覚を入力し、脳の中に世界像を作り、そしてそれを基に出力つまり運動をコントロールするというそれまでの脳が中心の常識的な考えを否定します。そうではなくて、脳は単なる調整役だというのです。たとえ神経系のない生物でも環境と出会い、うまく関係を築いています。元々そのような能力は生物が本来持っているものです。もちろん神経系はより高度に世界と関係作りをするために役立っているわけですが、それでも進化上は神経系は後から生物に乗っかってきたものです。
それに知覚とは動くことと言います。動くことによって動物にとっての必要な情報が知覚できる訳です。・・・まあ、そんな感じです。
テーレンらもギブソンらも心理学者ですが、運動を通して運動変化や知覚、認知のことを研究します。デカルト以来の西欧社会の思い込みの一つである心身二元論(機械の体とそれに乗っかっている心の二つが存在している)の伝統を否定しているのです。あるいは人の体を機械に、脳をコンピュータのように喩えることが間違いだと。生物は機械とはまるっきり違った存在だというあたりが基本になります。
(これらのアイデアについてはここでこれ以上説明することは控えます。正直、僕は未だにわからないことが多いのです(^^;特にアフォーダンスは苦手(^^;詳しく知りたい方はイラストのお薦めの文献に当たってください)
さて、この両者を基にして生まれた課題主導型アプローチは、またまた僕流に間違いを恐れずに言ってしまえば、以下のようなアプローチです。「運動は適切な課題を繰り返すことによって徐々に課題達成に向けて調整される。つまり運動は課題によって生まれ、成熟する。従って患者にとって必要な課題と課題の実施環境条件を提供することがセラビストの仕事である。セラピストは課題と実施環境を調整し、工夫し、患者にとって相応しく進化させ、提案することで患者にとっての必要な運動適応能力を改善していくことができる」のです。 まあ、このような理論的な説明は往々にして僕たち臨床家には届きにくいものです。臨床家にとっては実際にやってみることでしか、有効かそうでないか実感できないものです。
実際、僕自身は臨床でやってみて「素朴なシステム論的アプローチ」の有効さに気づきました。そしてこんどはこの「セラピストが患者に『課題』と『実施条件』を通して訓練する」ことを意識して実施して経験してみることにしました。理論というアイデアの「問題解決の道具」としての有効性を自分自身で試してみたのです。そうすると臨床で自分や周りからの経験だけでは学べないような様々な視点に自然に気がつくようになったのです。(その7に続く)
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今回は「CAMRの旅お休み処 その5」です。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
CAMRの旅お休み処 その5
「多彩な運動スキル」2013/1/29
「スキル」という言葉は、普段でもよく使う言葉です。「作業療法士としてのスキルアップを・・・」とか。スキルというのは、獲得可能な能力(技能、技術、熟練とか)を表しているそうな。
CAMRでは運動スキルを、「課題達成のための身体の使い方」と考えます。ある動作をするためのリソース達の利用の仕方とも言えますが、リソースAに対してのスキルAと言うような一対一の関係ではありません。リソース側からよりも、動作側から接近した方が良いのかも。とはいえ、リソースとスキルは深い関係です。
スキルを獲得するには動きを経験するのですが、動作Aに対してスキルAという関係でもない。とりあえず、運動スキルというのは、課題達成のためのリソースの使い方としておきます。
今回はとても歯切れ悪いのですが、それがスキルの特徴、ということにしませう(^^;)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
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システム論の話をしましょう(その5)
前回は「素朴なシステム論的アプローチ」というアイデアを説明しました。これは真面目に経験を積み重ねたり、センスの良いセラピストなら自然に到達することができるシステム論的なアプローチです。今回からは「外部から作動を見るアプローチ」を紹介します。これは科学的研究に基づいており、もう個人の臨床経験だけでは到達するのは困難なレベルとなります。
さてその話を展開する前に、しつこいようですがもう一度、僕たちが学校で習っている視点を振り返ってみます。これからシステム論への理解を深める上で大事なことなのです。
僕たちが運動システムを理解すると言うことは、外部から姿勢や運動の形とその変化を見ていきます。そして目に見える構造と働き(筋や骨、関節、その他の内臓など)に姿勢や運動の形の変化を結び付けて理解するのでしたね。
一方システム論では、外部から観察される姿勢や運動の変化を身体構造に結び付けるのではなく、運動システムの作動に結び付けるわけです。つまり運動はどのように生じ、どう維持され、問題はどのように生じているかという視点で運動や運動変化の状態を見ていくわけです。前回素朴なシステム論的アプローチの第二段階で、身体が環境などと相互作用して慢性痛の安定した状態にあると述べましたが、これはまさしくシステムの作動によって生じた状態を見ているわけです。
僕たちが学校で習っている視点(要素還元論)とシステム論の一番異なっているのはこの点です。要素還元論では運動問題が起きると、目に見える構造や要素(筋力や柔軟性など)に原因を求めます。しかしシステム論では構造や要素より運動システムにどのような作動が起きてどのような状態が生まれているかを見ていくのです。つまり様々な要素の相互作用の結果生じているのはその状況だからです。まあ作動を見ていくのですが、作動自体は見えないのでその結果として起こる状況や状況の変化を見ていくことがシステム論の特徴です。
もっと言えば要素還元論では、問題が起きるとwhy?(なぜ?)と問を立てて要素や構造に原因を探し、その原因となっている要素や構造を何とかしようとします。
一方システム論では問題が起きるとhow?(どのように?)と問いを立て、どのような作動、つまりどのような状況で問題が起きたかを探るのです。問題解決は問題が起きるその状況を変化させる、つまり別の良い結果が出るような状況変化が起きる様に試行錯誤をすることになります。(これについての詳しい説明は拙書「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版 をご覧ください)
結局システム論と要素還元論との根本的な違いは、説明の焦点をシステムの構造に当てるか作動に当てるかの違いであると言えるのではないかと思います。
素朴なシステム論的アプローチにおいても、やり手のセラピストたちは言葉にはならなくても、システム論的な視点を経験を通して身に付けているわけです。そしてしばしば要素還元論とシステム論の視点を行ったり来たりしながら渾然とした思考の中で問題解決をしているわけです。
さて、この点を踏まえて次回から「外部から作動を見るアプローチ」を具体的に説明します。この代表的なアイデアは「動的システム論」や「生態学的アプローチ」とそれを基にした「課題主導型アプローチ」になります。(その6に続く)
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今回は「CAMRの旅お休み処 その4」です。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆
CAMRの旅お休み処 その4
「運動リソースという見方」2013/1/24
リソースとは「資源」という意味です。運動リソースとは、まさに運動を起こすための資源です。あまり違和感無いかもしれませんが、CAMRならではの言い回しです。
運動リソースは身体リソースと環境リソースがあり、人の運動システムの中では同等のものです。これもちょっと「ん?」と思うかもしれません。人体という閉じた運動システムではなく、環境もその人のその時の運動システムに含まれると考えます。環境の範囲(変な言い方ですが)は、その時々で変わります。
身体リソースには柔軟性、筋力、持久力などがあります。これらは従来の言い方である、柔軟性=関節可動域、筋力=MMTで計る筋力と対応しそうですが、そうではありません。これまでが形での分類なのに対し、CAMRでは機能ごとにみます。これもちょっと「んん?」と思うかもしれません。重なるところはありますが。
言葉では何となくわかっても、実際の動きの中で理解するにはちょっとコツがいるようです。私も時々、「んんん?」と思ってます。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆
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システム論の話をしましょう(その4)
「多要素多部位同時変化方略」は痛みだけでなく他の様々な障害の治療でも有効になります。たとえば尻餅転倒を繰り返す場合は、観察してみて「後方重心である」と気づくと、身体各関節の状態や全体のアライメント、筋力のアンバランス、痛み、基礎疾患などの全身の多要素の影響を考え、できる範囲で同時にアプローチしたりします。
先の慢性痛の話に戻りましょう。この「多要素多部位同時変化方略」によって以前より効果的に痛みにアプローチできるようになったのですが、それでも慢性痛の患者さんは繰り返しセラピストの元に通ってくるのです。それは患者さんが完全な治癒を求めたり、あるいはまた我慢できなくなるほどの痛みを繰り返し経験するからです。
そこでセンスの良いセラピストならさらに次の段階に進みます。「そもそもどうしてこの方は短期間に体を硬くして痛みの原因を作ってしまうのか?」どうも生活習慣や環境、仕事内容に関係がありそうです。こうして運動システムに関わる要素群は身体に限定されないで、環境や習慣、性格、教育、文化・社会の価値観にまで広がっていきます。
実際詳しく調べてみると仕事で同一姿勢を長く保持したり、プライベートでもテレビゲームで時間を費やし、ほとんど運動習慣がなかったりします。これでは痛みを繰り返してしまいますよね。そこでこんどは多要素多部位への徒手療法に加えて、アクティブな運動課題をホームワークとして出したり、痛みが発生する機序を詳しく説明したり、椅子や机、照明などの環境を改善したり、痛みを改善するには「手頃な運動習慣を持つこと」を勧めたりするようになります。
これが素朴なシステム論的アプローチの第二段階になります。第二段階では運動システムを皮膚に囲まれた身体に限るのではなくなります。運動システムとは、身体と物理的環境や社会・文化的な環境と相互作用する大きく複雑な関係性の上に成り立つシステムであると考えるようになるのです。(実際に言葉として意識している人は少ないと思いますけどね)
最初の段階(身体各部位・各要素が相互作用し合う)、第2の段階(身体は環境内での多様な要素と相互作用し合う)のこの二つの認識を基にしたものが「素朴なシステム論的アプローチ」です。
たとえシステム論を習っていなくても真面目に考えているベテランやセンスの良いセラピストはこのレベルに自然に達するものです。「たくさんの要素が相互作用し合って痛みが生じ、その痛みの状態は安定している。だから痛みの安定した状態をまず壊すには?」という視点に自然に気がついているのです。結構周りから「やり手」と思われているセラピストは、言葉にはならなくてもこのような幅広い視点と学校で習ったのとは異なる治療法略を自然に身に付けているものです。
さてCAMRではむしろここがスタート地点となります。ここから先に進むには科学的・哲学的な視点も必要になってくるので経験だけでは到達できないレベルとなります。(その5に続く)
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