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システム論の話をしましょう!(その13)

目安時間:約 5分

システム論の話をしましょう(その13)


 「運動システムは常に人にとって必要な課題を達成しようとするし、課題達成に問題が起きるとなんとか問題解決を図る」と前回述べました。


 

 しかし誤解してはいけないのは、問題解決を図るといっても、問題は必ず解決されるわけではないということです。問題解決とはいっても、障害後に多くのリソースが失われた後の応急的・場当たり的な対処なのです。健常の頃のように状況に応じて適切な対応を行うことは望むべくもありません。運動システムは問題解決を図っていても、むしろ状況を悪くしてしまうことも多いのです。


 たとえば外骨格系方略の問題解決を図っている人を沢山見ると、中にはどんどん硬くなって却って動きにくくなったり、あるいは過緊張のために不快や痛みに苦しんだりする人もいます。問題解決のはずがむしろ状況を悪くしているわけです。これは「偽解決」と呼ばれる状態です。(「偽解決」は短期療法などで使われるアイデアで、問題解決と思って実施したことが、逆に更に悪い状況を招いてしまうことです)


 なぜ偽解決になってしまうかというと、体を硬くし始めたときには実際弛緩と比べて動きやすくなります。そうすると運動システムは上手くいった方法を繰り返してしまいます。元々障害後に沢山のリソースが失われて残ったリソースを利用し、選択肢もごく少ないので、それを繰り返さざるを得ないのです。体を硬くする元々のやり方ではなく、調整も上手くいかず、ひたすらできる事を繰り返すのです。だから体は次第に硬くなり、動きにくくなって更にそれが次の硬さの呼び水になります。たとえば硬くなった体を動かすための過剰な努力が必要になります。また硬さが痛みを生み、その痛みや不快刺激が防御的に更に硬さを生み出すわけです。つまり身体を硬くする問題解決が悪循環を生み出し、暴走してしまうのです。


 また運動システムの問題解決が生み出すもう一つの問題は、「貧弱な解決」と呼ばれる状態です。これは最初に選ばれた問題解決が繰り返されて、なんとか課題は達成しているものの、その間に潜在的に筋力が回復したりしていてもそれに気がつかなくなってしまった状態です。最初の問題解決の方法が繰り返されるので、新たに回復した筋力などを使ってみる機会が失われてしまうのです。この潜在的に回復したリソースは「隠れた運動余力」と呼ばれます。もしこの「隠れた運動余力」を上手く使っていけば、運動課題達成のパフォーマンスはもっと改善するのですが、結局使われることなく、運動のパフォーマンスも改善することなく、停滞の状態になるのです。存在を気づかれなければ、ないのと一緒だからです。これは偽解決ほど悪い状態には見えませんが、長期的には患者さんにとって大きな不利となります。

 脳性運動障害の患者さんは、元々の障害による弛緩麻痺(筋力リソースの消失・低下)の障害像に加えて、運動システム自体の問題解決の欠点ないしは副作用によって悪化した状態が加わってより複雑になっていることになります。


 リハビリでは厳密には麻痺は治せないかもしれませんが、運動システムの作動の性質によって生み出された問題(偽解決・貧弱な解決)は障害自体ではなく、障害後の運動システムの作動の問題なのでリハビリで改善できます。そうすると「リハビリを受けて(状態)が良くなった」と喜ばれたりします。現場でも気づかずにこのアプローチをしている人がいて、「脳性運動障害に対する訓練効果」として説明しているのをよく見ます。基の障害にアプローチしているのか、障害に対する運動システムの問題解決(偽解決・貧弱な解決)にアプローチしているのか区別ができていないのです。


 自分のアプローチが障害に対するものか、運動システムの作動に対するものかがはっきりするだけでも、自分のやっていることの価値や意味がより分かって仕事が面白くなります。(CAMRの講習会では様々な問題解決や偽解決・貧弱な解決の例がビデオでわかりやすく見られます。興味のある方は参加をお薦めします)(その14に続く)


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「リハビリの夜」を読む!(その6;最終回)

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今回は「「リハビリの夜」を読む!(その6;最終回)です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「リハビリの夜」を読む!(その6;最終回)2013/3/23
 第二章のコラム「脳性まひリハビリテーションの戦後史」の冒頭で、著者は「健常な動き」を目標としたようなリハビリについて、「少数派に過剰適応を強いる同化的な発想」と指摘しています。



 「障害」という体験は、「ある社会の中で多数派とは異なる身体的条件を持った少数派が、多数派向けに作られた社会のしくみになじめないことで生じる生活上の困難のことである」とし、その責任を一方的に少数派に押しつけることはできないと述べています。しかし過去の歴史を見ると、社会を変えていくのではなく少数派に過剰適応を強いてきた、といいます。



 リハビリ現場においても、著者が自分の体にとって負担の少ないやり方で動こうとするたびに、「その動き方は正しくありません!」と介入されたと言います。これも多数派にみられる「健常な動き」を、一方的に「規範的な体の動かし方」と決めつけて、少数派に無理強いするような同化的な発想だと述べています。



 そういえば、セラピストの間ではよく「正常運動」という言葉が聞かれます。そこに同化的な発想は潜んでいないでしょうか? クライエントに理不尽な過剰適応を強いていないでしょうか?



 今回で、「リハビリの夜」を読む!シリーズは最終回となります。これまで読んでくださった方々、どうもありがとうございました。



 初回にも書きましたが、この本はセラピスト必読の書だと思います。一人でも多くの方に、熊谷先生の声に耳を傾けていただきたいと思います。また、今回は取り上げませんでしたが、ベルンシュタインの身体内協応構造から一歩進めて、身体外協応構造という興味深いアイデアも提案されています。興味を持たれた方がおられましたら、是非本書を手に取ってみてください。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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システム論の話をしましょう!(その12)

目安時間:約 5分

システム論の話をしましょう(その12)


 前回運動システム内部の視点に立って見ると、「人の運動システムは必要な課題を達成しようとするし、ダメなら問題解決を図ろうとする」という運動システムの作動の性質が見えてきました。


 すると脳性運動障害後に見られる様々な現象は、元々の疾患の症状に加えて、それに対する運動システムの問題解決が混じった状態ではないか、と考えるようになりました。


 昔、急性期病院で見た光景が思い出されます。搬入された患者さんが健手でベッドの手すりをつかみ、必死に叫ぶのです。「落ちる!落ちる!助けてくれ!誰かがわしを引っ張るんじゃ!落ちる!なにを見とるんか?はよう助けてくれい!」もちろん患者さんはベッドの真ん中に寝ていて落ちそうにないし、誰も体を引っ張ったりしていません。そう感じているだけです。その様子を見て不思議に思ったものです。


 今ならこう考えます。半身が麻痺します。麻痺した方の半身は弛緩します。弛緩した体は、可動性のある骨格が水の袋に入っているような状態です。水の入った袋は重力に押しつぶされて安定するまで広がろうとします。それによって健側の体は、患側へ引っ張られているように感じるのではないか?


 また水の入った袋のような麻痺側の半身は、単に重りとして健側にぶら下がっている状態です。これでは重りとなって動くことを邪魔するだけです。


 そして運動システムは動こうとしますし、そのために問題解決を図リます。つまり弛緩した部分を、体を硬くするメカニズムをかき集めてなんとか硬くし、一つの塊にするのです。一つの塊にすれば引きずってでも動けるようになります。


 そして体幹の一部が硬くなれば、それを支点として重心移動や動きを出すことができるようになります。下肢が硬くなれば支持性が生まれ、それを支えにして歩けます。ぶらぶらしていた上肢は、歩行時に揺れてバランスを乱す原因になります。また家具などに引っかかると危険です。しかし硬くなって体の中心に固定されれば、バランスの安定を助けるし、ものに引っかかることもなくなります。


 体を硬くするメカニズムは、たとえばよく知られているように伸張反射を亢進させるのです。またキャッチ収縮のようなメカニズムが知られています。(キャッチ収縮はもともと二枚貝の平滑筋で知られた現象ですが、現在ではこのキャッチ収縮を起こす一連のタンパク群に似たものが骨格動物の横紋筋でも存在することがわかっています)


 つまりジャクソンが言った陰性徴候、つまり麻痺による筋力低下が主な症状で、陽性徴候(痙性麻痺、つまり体が硬くなる、伸張反射の亢進など)は、麻痺による弛緩で動けなくなった運動システムが、再び動き出すための問題解決ではないかと考えらます。


 CAMRではこの体を硬くする問題解決は「外骨格系方略」と呼ばれる問題解決方略になります。つまりカニやカブトムシなどの甲殻類といった体の外部に骨格を持っている動物のように、体を硬くして支持を得ているからです。カブトムシは死んだ後でも立たせることができます。それは支持性が筋肉よりも外骨格によっているところが大きいからです。脳性運動障害では弛緩麻痺によって通常の筋力による支持性が得られないため、キャッチ収縮のような持続する筋収縮で体を硬くしているのではないかと考えられます。


 CAMRでは、人の運動システムには今のところ外骨格系方略を含めて全部で6種類の問題解決方略があると考えています。もちろんそれらは問題解決とはいっても、障害後に多くのリソースが失われた後の応急的・場当たり的な対処なのです。健常の頃のように状況に応じて適切な対応を図っている訳ではありません。そのために、この問題解決が新たな問題を生み出すことも多いのです。次回はこの点について説明します。(その13に続く)

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「リハビリの夜」を読む その5

目安時間:約 2分

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今回は「「リハビリの夜」を読む その5」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「リハビリの夜」を読む!(その5)2013/3/16
 今日は、(その2)で紹介したセラピストとクライエントの関係性のあり方から、「C.クライエントの体が発する信号を拾わずに介入される〈加害/被害関係〉」についてです。



 指示通りに動けない著者に対して、セラピストは徐々に苛立ちを募らせてきます。そして著者を組み伏して、再びストレッチを始めます。しかし今度は最初の時と違って、思い通りの形にならない著者の身体に苛立ち、まるで粘土をこねるかのように、暴力的に押したり引っ張ったりしてきます。



 ここに〈ほどきつつ拾い合う関係〉で感じられた心地良さはなく、あるのはただ、「痛み」と「怯え」と「怒り」だと言います。セラピストは著者が発するこれらの信号を拾うことなく、交渉できない他者、しかも強靭な腕力を持った他者として著者の身体に力を振るうのだそうです。



 著者はABCの関係性に対応して、自身の体をそれぞれ「ほどかれる体」「まなざされる体」「見捨てられる体」と表現しています。



 さて僕たちは、クライエントをまなざした事はないでしょうか? クライエントを見捨てた事はないでしょうか?



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆


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システム論の話をしましょう!(その11)

目安時間:約 5分

システム論の話をしましょう(その11)


 さて最後は「内部の視点から運動システムの作動を見るアプローチ(CAMR)」の紹介です。


 CAMR(Contextual Approach for Medical Rehabilitation:医療的リハビリテーションのための状況的アプローチ)は、これまでの「素朴なシステム論」の経験や「外部の視点から運動システムの作動を見るアプローチ(課題主導型アプローチ)」などのアイデアを取り込みながらここまで発展してきています。


 そしてこんどはこの第3世代システム論と言われるマトゥラーナとヴァレラのオートポイエーシスの中から使えそうなアイデアや視点を取り込んで現在の形になっています。


 オートポイエーシスでは「運動システムの境界は自らの作動で作られる」とか「システム内部の視点で作動が語られる」といったアイデアがあります。(これらについての詳しい説明はしません。興味のある方は彼らの本を読んでみてください。なかなか難しいです(^^;)


 最初これらのアイデアを臨床でどう使えば良いかを悩んでいたのですが、結局、単純ですが運動システムの立場になって何が起きているかを考えてみようと思い立ちました(イヤ、実に単純(^^;))つまり「システム内部の視点で作動を説明してみよう」と考えたのです。そうすると不思議なくらい「確かにその通りだな」と腑に落ちることが沢山ありました。


 たとえば起立を考えてみましょう。認知症の方に「立ってみましょう!」と勧めます。すると1-2回試して「できん、立てん」と言われます。少し試みて、立てないと分かったんだな、と納得します。しかしその患者さんが夜中に立ち上がろうとして転倒したという事故報告を翌日に聞きます。患者さんの外部から見ていると、「身体状況をよく認知していなくて無理したんだな」と思ったりします。


 しかし運動システムの立場から考えるとよく知らないセラピストにいきなり「立て」と言われてもあまり立つ意味が感じられないので課題達成にはあまり熱心ではないのかもしれません。でも夜中に立ったときは立つべき必然があったので、なんとか立とうと頑張ったのだと思います。


 つまり運動システムは人にとって必要な課題はなんとか達成しようとしますが、意味や価値が低ければあまり熱心ではないのです。そして必要性というのは状況に左右される訳です。つまり運動システムの立場から状況と運動システムの作動を理解することが重要です。


 また外部の視点から運動システムの作動を見ているときも気がついたのですが、もし課題ができないと、課題達成に利用できそうなリソースを身の回りに探し、その利用方法であるスキルを試行錯誤します。これは内部から見てもその通りで、なんとか課題を達成しようといろいろなものを利用しようと一生懸命なのです。


 そうすると、運動システムは必要な課題はなんとか達成しようとするし、そのために利用可能なリソースを探し、スキルを実際に試してみるものなのです。また達成できないときは、なんとか問題解決を図ろうとするものではないか、と気がつきました。できなければ必ず問題解決を図るのではないか。もしそれが必要な課題なら!


 「人の運動システムは必要な課題を達成しようとするし、ダメなら問題解決を図ろうとする」単純ではありますが、「これが人の運動システムの基本的な作動の性質の一つではないか!」と思えてきました。


 確かに腰痛が出た時に歩く必要があれば、体幹を硬くしてなんとか痛みを防ぐという問題解決を無意識に図りますよね。他にも沢山の問題解決が見られます。腓骨神経麻痺で下垂足になると膝を高く上げてつま先が引っかからないように歩きます。


 そうすると・・・ 脳性運動障害では、障害後に見られる現象はすべて症状と見なされています。ジャクソンが脳性運動障害後の現象を症状として陰性徴候と陽性兆候に分類したように。でも先の仮説、「人の運動システムは問題が起きると必ず問題解決を図るのだ」と考えると全部が全部症状ではない、と考えられるのです。


 「そうだ!脳性運動障害の人は一方的に症状に打ちひしがれている弱い人ではないのだ!僕たちは精一杯障害に立ち向かっている姿を見ているのではないか!」(その12に続く)

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