リハビリはADLに対して何ができるのか? その2

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今回は「リハビリはADLに対して何ができるのか? その2」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



~「訓練が生活に活かされない」とは?~


 秋山です。ADL訓練でできても実生活でできないということがあります。病棟スタッフから「もっとリハビリでやって」と言われたり・・・。よく困りましたし困っています。でも、それは本当に"問題"なのでしょうか・・・。



 訓練でのADLと病棟でのADL、そして家でのADLは、全く別の活動です。たまたま結果が一致することもありますが、一致する必要は無いのです。同じ動作(例えば更衣とか)でも、場面(=状況)が異なれば結果が異なることもあります。



 例えば、訓練ではセラピストの監視下、時々口答指示では何とか更衣できる方が、病棟ではちょっとやって難しいと「疲れたから手伝って」スタッフ「できることは頑張ってやりましょう。もっとリハビリで指導してもらわなきゃね」と更衣が自立していないという問題になる。家では、じっと待っておけば、妻「はいはい、服着るわよ」と着せて何事もなかったかのように家事に戻り「早くご飯食べちゃってよ。片付かないから」



 訓練場面と家では状況が異なります。行為者は自律した運動問題解決者として、その状況に応じた自分なりの課題達成を図ります。セラピストが結果をコントロールすることはできません。



 では、ADL訓練に意味はないのでしょうか?いやいや、やはり私達はADLを手放してはならないのです。続く。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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システム論の話をしましょう!(その8)

目安時間:約 5分

システム論の話をしましょう(その8)

 今回は「課題達成をリソースとスキルで説明する」というアイデアの有効性についてもう少し検討してみます。


 従来学校で習う視点では、起立ができないと四頭筋などの筋力検査を行い、弱っている筋の筋力を改善するというアプローチを学んできました。つまりシステムの作動ではなく、構造を中心に考えます。特に四頭筋が弱っていれば、座位でおもりやゴムベルト、徒手などで四頭筋力を増やすという方法もよく行われてきました。


 しかしこれではリソースの改善だけを考えたアプローチになってしまいます。座位で四頭筋だけ鍛えれば起立できるかと言えばそうでもないからです。たとえば「椅子に座って、おもりを足首につけて膝を伸ばす」課題は、四頭筋筋力を改善するためによく用いられる方法ですが、これをスキルの視点から見ると「骨盤と大腿を座面で固定され、下腿を持ち上げる」というひどく単純なスキルを練習していることになります。


 でも実際に起立では、四頭筋は「座位での広い基底面から、脚だけの狭い基底面に大きく前方・上方へ重心を移動しながら、なおかつその狭い基底面内に重心を保持して身体全体を上方に持ち上げることを他の全身の筋群と協調しながら行うスキル」の中で働いているのです。 


座位でのおもりをつけての四頭筋訓練はほぼ筋繊維を太くしているだけで起立に必要なスキル学習はまるっきり行っていないのです。起立に必要なスキルは全身的なものです。起立が危うい人は全身的に試行錯誤を通して必要なスキルを学ばなければなりません。つまり起立できるようになるためには実際に起立練習をして、起立のためのスキルを学習する必要があるのです。


 座位で筋トレをすれば、また改めて起立練習で起立のためのスキルの練習をし直す必要があります。もちろん起立練習が到底無理なら、座位でまず筋繊維を太らすことには価値があると思います。しかし、少し手伝ったり、椅子の座面を高くしたり、前方の手すりを用意したりと利用可能なリソースを増やしてあげることによって、起立の課題達成がなんとか可能なら、最初からそのような形での起立の繰り返し練習をした方が効率的だし患者さんの達成感や満足感も上がるでしょう。 


またリソースとスキルという視点で見るとこれまで理解できなかったいろいろな運動の現象が理解できるようになります。たとえば運動学習の効果の転移です。有名なところではテニスのスキルはラケットで球を打つ同じような運動の形に近い卓球には転移しないのに、形はまったく似ていないスピードスケートと自転車競技の間では明らかに運動学習効果の転移が見られます。(日本でも冬のオリンピアであるスピードスケートの橋本聖子さんが夏のオリンピックの自転車競技の代表になって話題になりました)


 実は運動の形は似ていなくてもスピードスケートと自転車競技は、スキルの視点からはとても似通っていることがわかります。どちらも「狭い基底面を持つ道具の上で、バランスを保ちながら左右交互に重心移動をし、体重移動した片脚を力強く下方に踏みしめる」というスキルが共通しているのです。リソースや運動の形はまるっきり異なっていても、似通ったスキルを使う課題同士なら運動学習の効果の転移が起こるというわけです。


 だから歩行を改善するなら、「立位でバランスを保って交互に左右への重心移動をしながら、片脚で体重支持しては体重支持しない方の片脚を持ち上げるような運動課題をすれば、これで身に付けたスキルは歩行へ転移する」と考えることができます。


 またどのリソースをどのように使うかを見ることで、より実際的な運動分析を行うことも可能です。(CAMRではこれを「Resource-Skill Analysisリソース-スキル分析。RSAと略す」と呼んでいます)たとえば前方の手すりと上肢で主に前方への重心移動に使っているのか、体の持ち上げに使っているのかを見ることで運動システムが何を苦手にしているかが分かります。片手で手すりを持ち、前方への重心移動に使っているなら、わざわざ手すりと片手というリソースを「前方への重心移動」のために使っています。つまり前方への重心移動が苦手なのです。この場合、「体幹の柔軟性リソース」を改善して「手すりと片手というリソース」と置き換える、つまり手すりがなくても起立ができるようにすることもできます。(その9へ続く)

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CAMRの旅お休み処 その5

目安時間:約 2分

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今回は「CAMRの旅お休み処 その5」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



CAMRの旅お休み処 その5
「多彩な運動スキル」2013/1/29
 「スキル」という言葉は、普段でもよく使う言葉です。「作業療法士としてのスキルアップを・・・」とか。スキルというのは、獲得可能な能力(技能、技術、熟練とか)を表しているそうな。



 CAMRでは運動スキルを、「課題達成のための身体の使い方」と考えます。ある動作をするためのリソース達の利用の仕方とも言えますが、リソースAに対してのスキルAと言うような一対一の関係ではありません。リソース側からよりも、動作側から接近した方が良いのかも。とはいえ、リソースとスキルは深い関係です。



スキルを獲得するには動きを経験するのですが、動作Aに対してスキルAという関係でもない。とりあえず、運動スキルというのは、課題達成のためのリソースの使い方としておきます。



 今回はとても歯切れ悪いのですが、それがスキルの特徴、ということにしませう(^^;)



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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CAMRの旅お休み処 その2

目安時間:約 2分

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今回は「CAMRの旅お休み処 その2」です。



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CAMRの旅お休み処 その2
「人は生まれながらに自律した運動問題解決者」2013/1/10



 「人は生まれながらの運動問題解決者」というのは、CAMRの中でも重要な考え方です。生きていくためには、変化する状況の中で絶えず適応的な運動をしていく必要があります。私たちは、それを普段は意識するでもなくやってのけています。新奇な課題に対しても、いろいろな手段を無意識的/意識的に使って課題を達成しようとします。



 これは身体的な障害をおった場合でも同じです。その状況で何とか課題達成しようとした結果であり、今までしていた方法や多くの人がやっているやり方と違っているとしても、異常なやり方とか間違っているととらえるものではない、とCAMRでは考えます。



 ただ、それが常に100%上手くいく解決法とは限りません。失敗したり、できたとしても非常に疲れる、ということはあります。臨床で出会う、クライアントがとても苦労して運動されてる場面ですね。



 そこで、「正しい運動方法を示して、それを練習して正しい動作を獲得させる」のではなく、元々運動問題解決者なのだから、何かを変えれば状況が変わる、運動問題解決者たりうる準備状態を整えるお手伝いをするのが状況的アプローチです。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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