ベルンシュタインを読む!(その5)

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今回は「ベルンシュタインを読む!(その5)」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



ベルンシュタインを読む!(その5)2013/1/11
 ベルンシュタイン問題の続きで、今日は文脈の多義性の問題です。以下は再び、西尾の論文「実用理論辞典-道具としての理論(その4)」からの引用です。



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 プログラムによる中枢性の運動コントロールは、筋あるいは筋群の活動をいかに調整するかというところに焦点があるのだが、一つの筋の振る舞いは、主に3つの文脈性によって変化する。1番目は解剖学的多義性で、一つの筋が関節の位置によって主働筋にも拮抗筋にも変化するというものである。2番目は力学的多義性で、肘が伸びている時と曲がっている時では、同じ興奮が二頭筋に起きても結果は異なってしまう。3番目は、生理学的多義性である。


一般に臨床神経学では、脊髄レベルは伝導路と呼ばれるものがあって、まるで上位の命令を糸電話のように、脊髄前角細胞に伝えているだけのように考えられているようだ。しかし、一つの細胞は他の多くの細胞からの興奮を受け、同時にその一つの細胞が他の多くの細胞に伝える構造である。構造そのものに上位・下位の違いは認められず、従って単なる伝導路という構造も存在しない。多くの神経系を伝わるほど、命令は変容してしまうのである。



 これらが意味することは、筋を活性化するための一つの命令が、関節の位置や運動や神経細胞を伝わる途中に、常に一つの結果を生み出すのではなく、多くの異なった結果に終わってしまうことを示している。
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 人の運動を制御するには、このように膨大な自由度のうえに、気の遠くなるほど冗長な多義性を扱わなければなりません。いかにしてこれが可能になるのでしょうか?



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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ベルンシュタインを読む!(その4)

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★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



ベルンシュタインを読む!(その4)2013/1/10
第Ⅱ章「運動制御について」より。
 この章では、運動制御理論に多大な影響を与えている、いわゆる「ベルンシュタイン問題」とその解決案である「協応」が登場します。



 しかしこの本では、どうもすっきりまとめられていない感があります。これはこの本全編を通して言えるのですが、元々一般向けに書かれているため、読み物としての面白さを追及している面があるのだと思います。確かに抜群に面白いのですが、その分あるアイデアが微妙に表現を変えて、いろんな箇所に分散して顔を出したりしてまとまり感に欠けるという面もあるような気もします。



 そこでベルンシュタイン問題については、西尾の論文「実用理論辞典-道具としての理論(その4)」から引用させていただきます。(ん?手抜き? ハイ、その通りです、ごめんなさい…)



 まずは自由度の問題から(以下引用)。
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 自由度とは「制御のために決定しなくてはならない値」のことである。たとえば人の上肢には26の筋がある。また、各筋には少なく見積もっても100の運動ユニットがある。従って、一側の上肢をコントロールするために、26かける100、つまり2600の自由度をコントロールしなければならない。しかもこれが全身となれば非常に膨大な自由度となる。人の中枢神経系は、どのようにこの自由度をコントロールしているのだろうか?もし脳がそんなにもたくさんの決定を、生きている間続けなければならないと考えるのは非経済的だし、現実的ではない。
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★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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ベルンシュタインを読む!(その3)

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ベルンシュタインを読む!(その3)2013/1/8
 それでは、巧みさとは一体何なのでしょうか?
 ベルンシュタインはゲームを始めます。いくつかの動作を取り上げ、暑い・寒いといった表現でヒントを与えます。暑いほど巧みさに近く、寒いほど遠ざかるというわけです。



・歩道を歩く…→寒い!
・交通量の多い道を渡る…→暖かくなってきた!
・熱いスープの入った皿を持って歩く…→とても暑い!
・いつもの道を走る…→とても寒い!
・障害物をよけて走る…→暖かくなってきた!
・敵の銃弾をくぐり抜けて走る…→暑くて暑くてしょうがない!



 巧みさのニュアンスがつかめてきましたね。巧みさが必要になるかどうかは動作の種類によって決まるのではなく、動作を取り囲む状況によって決まるのです。どんな動作でも、ここぞというときには必ず巧みさという強力な助っ人の出番がやってくる、とも述べています。



 さあ、そろそろ巧みさの定義に進みましょう。巧みさの一般的な定義は以下の通りです。
 「あらゆる状況ならびにあらゆる条件下において解決策となる運動を見つけること」



 実はより詳細な拡大定義が最終章で提示されています。果たしてそこまでたどり着けるでしょうか? まあ、のんびり散策を楽しんでいきましょう。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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ベルンシュタインを読む!(その2)

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今回は「ベルンシュタインを読む!(その2)」です。



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ベルンシュタインを読む!(その2)2013/1/6



第Ⅰ章「巧みさとは何か」より。
 心理物理学的な能力として、4つの概念があります。力強さ、スピード、持久力、そして巧みさです。これらはそれぞれ性質が異なり、この順番で複雑さが増していきます。この中でも巧みさは、様々な点で他の3つの能力と異なり、より柔軟でより汎用的です。あたかもトランプでいえばジョーカーのように。



 そんな巧みさの魅力とは何でしょうか? 3つ挙げています。
1.普遍で万能な能力だということ
2.誰でも手に入れられるということ
3.力強さや持久力などの身体能力そのものではないということ



 最後の3.について少し補足しておきます。スピード・力強さ・持久力といった身体能力は量的に捉えることができます。記録を競う競技会などで脚光を浴びるのは、いつもこちらです。ウサイン・ボルトが100mを9秒58で走った!という風に。



 一方、巧みさは質的なものなので、目立たず陰で記録を支えています。しかし、知性とも関連した能力で、経験による蓄積が可能で、他の能力よりも長く保持されます。目立ちませんが、他の能力にはないこれらの性質によって、巧みさは一つ上の次元に君臨しているというわけです。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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ベルンシュタインを読む!(その1)

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このコーナーでは「CAMR Facebookページ回顧録」として、過去にCAMRのFacebookページに掲載された記事を再アップしていきます。



今となっては古いアイデアもありますが、CAMRのコアな部分は、20数年前のまだCAMRとして形になっていないアイデア群の坩堝の頃から、まったく変わっておらず一貫しています。



CAMRの歴史を散策するような感覚で、お気軽に楽しんでいただければ幸甚です。
まず第一弾は「ベルンシュタインを読む!」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



ベルンシュタインを読む!(その1)2013/1/5



 CA研究会ホームページの「人の運動変化の特徴」の中で、お薦めの本が紹介されています。ニコライ・A・ベルンシュタイン 著(工藤和俊 訳、佐々木正人 監訳)「デクステリティ 巧みさとその発達」金子書房,2003.です。



 これは僕にとっては、まさに驚愕の書です。今でも手にしただけで、ベルンシュタインのすさまじいばかりの洞察力からなる偉業に魂が震えます。一人でも多くのセラピストに目を通していただきたいな…、と思い少しずつ内容を紹介してみようかと…。


僕の理解がいたらない部分も多々あると思いますが、その点はご容赦ください。まずは目次から…


第Ⅰ章 巧みさとは何か
第Ⅱ章 運動制御について
第Ⅲ章 動作の起源について
第Ⅳ章 動作の構築について
第Ⅴ章 動作構築のレベル
第Ⅵ章 練習と運動スキル
第Ⅶ章 巧みさとその特徴



どうですか?目次を見ただけでワクワクしてきますね!



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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出張CAMR講習会〔入門コース〕報告(その2)

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昨日、アマノリハビリテーション病院において出張CAMR講習会〔入門コース〕が開催されました。

気づきの多い楽しい時間でした。

参加されたみなさん、ありがとうございました。

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CAMRとは?(その7)

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さて、従来的なリハビリが土台とする要素還元論に基づたアプローチを原因解決アプローチとして紹介しました。

これに対して、システム論に基づいたCAMRのアプローチは、状況変化アプローチと言えます。問題が発生している状況を変化させることによって、問題解決や状況改善を図ろうというわけです。

これだと、個々の問題の原因を気にする必要がありませんので、原因解決アプローチが効力を発揮できない場合でもまったく問題なく介入することができます。

例えば高齢者の転倒であれば、転倒が起こった時の状況を調べてみます。その結果、夜間にトイレに起きて歩き始めに転びやすいということがわかったとします。

それならば、この状況を変化させてみよう、というわけです。転倒という出来事に関連して、身体状況、覚醒状況、行動パターン、介助者の状況といったことや、家屋の構造やトイレまでの動線、家具や手すりなどの配置、寝具、照明、歩行補助具、着ている服や履物などなど、様々なことに介入可能性があり得るでしょう。

もちろん、下肢筋力の低下という状況があれば、ここにも介入可能ですね。

勘の良い方はもう気づかれたと思いますが、結果として状況変化アプローチは原因解決アプローチを包含してしまうことになります。原因解決アプローチは状況変化アプローチのある特殊なケースである、と言い換えることもできます。

続く・・・

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CAMRとは?(その6)

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さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる条件の二つめです。

それは、「原因が解決可能な場合」です。

原因を突き止めることができて、それが解決可能であれば、このアプローチはとても有効です。

しかし当たり前のことですが、たとえ原因を突き止めることができたとしても、それが解決不能であればどうしようもありません。

目覚ましい進歩を遂げている医学ではありますが、難病をはじめまだ克服できていない問題はたくさんあります。

リハビリセラピストにとって比較的接することの多い脳卒中でも、麻痺の原因は脳細胞が壊れたことですが、今のところ壊れた脳細胞が治るということにはなっていません。

さあ、それでは原因解決アプローチが効力を発揮できない、すなわち「原因と結果の因果関係が明確でない場合」および「原因が解決不能な場合」にはどうすればいいのでしょうか?

続く・・・

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CAMRとは?(その5)

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さて、原因解決アプローチが効力を発揮できる「ある条件」とは何でしょうか?

大きくは二つあげられると思います。

一つは、「原因と結果の因果関係が明確な場合」が考えられます。

といいますか、この因果関係が明確でなければ、そもそも原因解決アプローチは成り立ちません。問題の原因を探し出して、その原因を改善することがこのアプローチの売りですので。

しかし、僕たちが日常経験する諸々の問題においては、明確な因果関係を想定できることというのは、実はそれほど多くありません。

多くの問題は、複数の原因らしきものが複雑に絡み合って明確に原因を特定できなかったり、そもそも原因がわからないといったこともよくあります。

特に対象とするもののシステムや仕組みがよくわかっていない場合には、単純に因果関係を想定することが難しいと言われており、ともすると間違った因果関係を想定してしまうことさえもあり得ます。

このことを説明するときに僕たちがよく引用する例を以下に紹介します。マトゥラーナ、ヴァレラ著「オートポイエーシス-生命システムとはなにか」という本の巻頭言にビアが挙げている例です。

例えば、今まで自動車を見たことがない人がいたとします。

ある時その人の前で自動車が止まって動かなくなりました。するとドライバーが出てきて、ボンネットのふたを開け、ラジエータに水を入れました。しばらくすると再び自動車は動き出して、その人の前から走り去っていきました。

この場面を見てその人は、「ああ、あの人を乗せて走る金属の物体は水で動くんだ!」と思ってしまうかもしれません。

といった感じなのですが、いかがでしょうか?

僕たちは自動車の仕組みを良く知っているので、この場面を見ても「自動車が水で動く」という因果関係は想定しません。自動車がガソリンで動くことは当然のこととして知っています。

この場面では、きっとラジエータ液が不足してオーバーヒートを起こしたので、ラジエータに水を補給したのだろう、と想定するでしょう。

しかし、自動車のことをまったく知らない人がこの場面を見たらどうでしょうか?

その人が見たものはまさに、「自動車が止まる」→「水を補給する」→「再び自動車が動き出す」という場面なのです。

「自動車が水で動く」と判断してしまうのも無理はないかもしれませんね。

さあそれでは、人の運動に関してはどうでしょうか?

実は人の運動システムについては、まだよくわかっていないことがたくさんあります。よくわかっていないシステムにおいて安易な因果関係を想定すると、間違えてしまう可能性がある、ということは理解しておいていただきたいと思います。

続く・・・

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さて前回は、従来的なリハビリが要素還元論を、CAMRはシステム論をベースにしているという話でした。今回は、それぞれのアプローチの視点について見てみます。

拠ってたつ理論が異なれば、そこから導かれるアプローチも自ずと異なってきます。

従来的なリハビリが土台とする要素還元論では、全体を細かい要素に分けて、それぞれの要素を調べてどこに問題があるかを探っていきます。そして問題が見つかれば、その部分を改善すべく介入していきます。

例えば、よく転倒する高齢の方がいたとします。セラピストは各種情報収集をしたり、姿勢や動作を観察したり、必要と思われる個々の筋力や関節可動域、感覚などの要素を調べていきます。仮にここで下肢筋力の低下だけが顕著に見られたとしたら、これを転倒の原因と考え、この原因を解決すべく筋力トレーニングなどの介入を行なうかもしれません。

問題の原因を個々の要素に求め、それが見つかったならばその原因に対処して問題解決を図っていく。このようなアプローチをここでは「原因解決アプローチ」と呼ぶことにしましょう。

原因解決アプローチはある条件を満たす問題に対しては、抜群の効力を発揮する非常に優れたものです。

しかしながら、完璧なものなどこの世には存在しません。原因解決アプローチもしかりです。「ある条件を満たす問題に対しては」というところを理解したうえで使う必要があります。

それでは「ある条件」というのはどんなものなのでしょうか?

続く・・・

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