CAMRの実践紹介-症例を通して その2

目安時間:約 5分

≧(´▽`)≦
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「CAMR Facebookページ回顧録」のコーナーです。
今回は「CAMRの実践紹介-症例を通して その2」です。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


CAMRの実践紹介-症例を通して その2 
※個人の感想です(^^;)


歩行時に麻痺側をまっすぐ振り出せと言われ続けた右片麻痺の患者さん。運動システムの立場に立ってもう一度患者さんの歩行を観察してみます。そうすると・・・


患側下肢を振り出そうとしても麻痺のために振り出すことができません。「どうしよう?何とかしないと・・・」そこで健側へ大きく重心移動し、体幹を側後方へ反らせて患側下肢を持ちあげ振り出してみると何とか振り出せます。運動システムは、健側を使った分回しというやり方で問題解決をして何とか課題達成をしていることがわかります。


これを修正するためには「患側下肢の麻痺が治る、改善する」という条件が考えられますが、「麻痺を治すのは無理。運動システムがとった問題解決は現時点では最良なのだろう」と考え、ここにはアプローチしません。


一方健側下肢の振り出しは、ほんの少しです。患側下肢の支持の時間がとても短いので、少ししか出せないのです。発症直後のリハビリでは、患側支持の練習もしたそうですが、「難しかった」そうです。


長い在宅生活の中で、難しいからやらなくなったり、転倒の不安から麻痺側での体重支持を避けるようになってきたのかもしれません。つまり患側下肢をできるだけ使わないようにする「不使用」という問題解決を運動システムが選択したと考えられます。


しかしセラピストの目から見ると、患側下肢の支持性はかなりしっかりしているように思います。実は10年間も歩き続けているので、患側下肢の支持性は急性期に比べてかなり良くなっているのです。


運動システムの不使用の問題解決は無意識に起きているので、ご本人はまったく気づいていません。だから「良い足の方が出ない!!なんで?」と不思議がられているのです。運動システムはできるだけ患肢を使わないようにしているのでまったく気がついていない。もったいない話です。だから「患者さんと運動システムに患側下肢の支持性に気づいてもらって、それを積極的に使用する」方向へ持って行く必要があります。


具体的なプログラムは、柔軟性を高めて運動範囲を広げるために上田法体幹法、患側下肢の荷重経験を積むために装具なしの立位左右重心移動・ハーフスクワット・装具つけて下肢横上げ・踏み出し練習、本人希望の屋外歩行(雨の日は廊下の往復)を行いました。患側支持は「病気になってすぐの頃のリハビリ以来だから、ちょっと怖い」と言われましたが、自分なりに動きの幅の目標を立てるなど、意欲的に取り組まれました。


さてさて、その結果は・・・。(続く)



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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西尾 幸敏 著「PT・OTが現場ですぐに使える リハビリのコミュ力」金原出版


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西尾 幸敏 著「リハビリの限界?:セラピストは何をする人?」CAMR入門シリーズ⑤


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CAMRの実践紹介-症例を通して その1

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今回は「CAMRの実践紹介-症例を通して その1」です。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


CAMRの実践紹介-症例を通して その1
※個人の感想です(^^;)


 OTの秋山です。CAMRがどんなものか話を聞いていただいた後、「おもしろい」「新しい視点を得られた」といった感想をいただくことが(よく!)あります。嬉しいことです。ただ、「では、どう使うか」となると、もうひと山あるようです。CAMRが読み物として面白いに留まらず、臨床で役立つように、身近な例を挙げてみました。


 その前に、CAMR初心者が戸惑いやすい、誤解しやすい点を挙げてみました。


 まず、「原因を追究しない。システムの状況をみる」という点です。言葉ではわかっても、では実際の目の前の患者さんの何を見ればいいのか?目に見えないシステムを想像するのか?でも、それって正しいのか?構成要素をどんどん細かく見ていき、正常との違いを探していく方法に慣れた身にとっては、難しいところです。


 もちろんCAMRでも、動きをみます。歩行なら振出しはどうやっているか、重心移動はどうか、などなど。その見方が、「正常の形からどれだけずれているか?それは構造からどう説明できるか?」というのは、従来のセラピストの見方。CAMRでは「運動システムはどうしようとしているか」という運動システム目線で内部からの見方となります。「うーん、わかるような、わからないような」、かもしれません。まぁ、「運動システムの視点で見る」ということを頭の片隅に置いて、症例を見ていきましょう。


 訪問リハでの症例です。10年来の右片麻痺、自宅室内は短下肢装具+一本杖歩行で自立、屋外は見守りの方。普段は最小限の室内移動しかしないので、屋外歩行機会を持ってほしいということで訪問することになりました。


 実用的に歩かれていますが、これまでのリハビリで「右足をまっすぐ出すように」とずっと言われていたそうです。でもずっとできなくて、「それが悩みの種。ちゃんと足をまっすぐ出して歩きたいけど、難しい」と言われていました。


 この方に対し、実用的に歩けているのだからリハビリに固執するのは良くない。だから「十分に歩けていますよ。細かいところを気にするより、やりたいことの目標をもって、どんどん外出しましょう」というアプローチも1つの方法だと思います。ですが、これでは本人が望む動作の変化は無視して、価値観の変化だけを求めることになります。それで患者さんが納得されることもありますが、いつまでも不満足なままということもよくあります。


 また、正常な形で患側下肢が振り出せるように反復練習するという方法もあります。この方は今までそういう訓練をされてきたので、さらに私がやっても改善する気はしない。つまり「麻痺」が治るとは思えません。


 これらの両方の見方は「セラピスト視線」です。「できるから形はあまり気にしない」も、「正常歩行に近づける」も、セラピストが考えていることです。


 CAMRは、これらのアプローチとは違う視点を提案するものです。つまり「患者さんの運動を、運動システム内部の視点から見たらどうだろう?」(その2に続く)


★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆


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リハビリの第3の選択肢

目安時間:約 4分

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今回は「リハビリの第3の選択肢」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



リハビリの第3の選択肢(2013/12/19)



対症療法的アプローチ:出てきた症状のみに集中する。たとえば脳性運動障害後の過緊張を落とすことに集中して、落ちた途端に安心する。しかし時間が経てば元通りだ。


根本的アプローチ:根本原因を探して、それを解決しようとする。もちろんそれが可能なら結構なことだ。しかし不可能な例も多い。たとえば脳性運動障害に対して、脳細胞の再生や代償を信じる。そこで健常者の運動の形をモデルにひたすら繰り返す。つまり新たに健常者の運動を学習しなおす。脳の細胞が壊れたのだから脳を機能的に回復させ、麻痺を治そうとする。根本的解決、万歳!


 しかし実際には達成できない。「根本的治療は対症療法と違って、完全な解決を目指すので、遠大な目標である。すぐに達成できないのも無理がない」といささか現実逃避的。「いや、これからの科学の進歩はきっと夢を実現する」という人もいるが、私たちは将来の話をしていられない。今、目の前に問題を抱えたクライエントがいるのだから。こうしてともすれば達成不可能な夢を追って、目の前の現実から目をそらすという「ユートピアン・シンドローム」に陥りがち。


CAMR:運動余力をできるだけ改善し、システム内の作動を変化させることを考える。症状を消すことでも完全解決することでもなく、状況をできる範囲で変化させることを考える。たとえば過緊張を落として運動範囲を広げる。達成可能な課題を通して、広がった運動範囲を基に新しい運動スキルの発達を図る。たとえ小さなことでも成功経験を積み重ね、今この場で1歩でも進めること、一歩先でも維持できることを考える・・・


対症療法、根本的アプローチに続く第3の選択肢である。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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大森荘蔵を読む!(その6;最終回)

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今回は「大森荘蔵を読む!(その6;最終回)」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



大森荘蔵を読む!(その6;最終回)
 前回の続きです。因果連関成立まであと少し…かな?
 さて、事態を複雑にする2つの事情とは…


i)先行現象による後行現象の必然的決定は、時間的連続の上でのすべての時点で成り立たなければなりません。必然性の休憩時間があってはいけないのです。


ii)現象の範囲が決まっていないのですが、厳密にはある時点での全世界の状態を範囲にとらなければなりません。


 これらの事情から、因果連関に言及する際には、現実問題としては省略と近似を用いるしかありません。


 このような過重な条件をみたす因果連関は実際に存在するのでしょうか?存在する、と大森は言います。それは古典物理学における、原子論の上に立つ力学と電磁気学だそうです。


 とはいっても、そこでも当然省略と近似が用いられています。いわば世界の一小部を引きちぎってその略図を描いているようなものです。僕たちには狭い視野しか持たぬ分解能の悪い眼で、世界の一小部分の近似的な省略図を見ることしかできないのです。そのため、そこで見てとる因果連関は、往々にして誤り、破たんをきたし、訂正を受ける可能性のある因果連関なのです。


 結局何が言いたいのかといいますと、ほとんど「法則」のように信頼されている古典物理学においてさえも、略画的な因果連関にしか言及できないのです。最初の頃に書きましたが、要素還元論はとても有効で強力な方法論であることは間違いありません。しかし、単純に原因結果の概念で現象を捉えようとすると、間違えてしまう可能性もあるということを、頭の片隅にでも置いておいて欲しいな、と思うのです。


 今回で、大森荘蔵を読む!シリーズは最終回となります。長々と小難しい話をしてすみませんでした。これまで読んでくださった方々、どうもありがとうございました。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆


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大森荘蔵を読む!(その5)

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今回は「大森荘蔵を読む!(その5)」です。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


大森荘蔵を読む!(その5)


 因果連関が成り立つための3条件のうち、時空連続、恒常関係に続き今回は(3)それによる現象移行の必然性、について取り上げます。


 時空連続と恒常関係があっても、先行現象によって後行現象が一意的に決定されるという必然性を確保できる保証はありません。前回の光の屈折で言うならば、入射角が決まればスネルの法則によって屈折角は一意的に決定されますが、光の状態には色(即ち波長)、偏光状態、強度等その他幾つかの性質があります。先行状態、即ち入射光線の色その他の状態を与えても、後行状態、屈折光線の色その他の状態はスネルの恒常関係だけでは決まらないということになります。


 光の場合であれば色(波長)の分布・その各波長の強度・振動方向(偏光)・伝播方向等、物体の運動であればその重心の位置と速度・重心に対する3方向の回転速度等の規定が得られた上で(この規定をどうとるかによってまた意味が変わってくるのですが、ややこしくなるのでとりあえず流しておきましょう…)、先行現象の規定によって後行現象の規定が一意的に定まるに足るだけの恒常関係がある場合に限り、必然性が得られると言えます。


 さあ、これでようやく因果連関が成立するかと思いきや…、この事態を更に複雑にする2つの事情があるそうです。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆


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大森荘蔵を読む!(その4)

目安時間:約 3分

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今回は「大森荘蔵を読む!(その4)」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


大森荘蔵を読む!(その4)



今回は因果連関が成り立つための3条件のうち、(2)恒常関係について見てみましょう。



 ここでは、先行現象と後行現象の間の同一の関係の繰り返しが必要だと述べられています。現象自体、経過自体は異なっていてもいいのですが、その異なる経過における先行現象と後行現象の関係の同一性がなければなりません。



 例えば、水面に無数の角度から光が入射すると、無数の方向へ屈折していきます。その一つ一つの光線は、入射角も違えば屈折角も違います。しかし、その無数の光の進み方すべてにおいて、入射角と屈折角のサインの比が一定だという関係は同一なのです(これをスネルの法則と言うそうです)。



 この例では関係性が比較的明確ですが、適切な関係にさえ着目すればどんな場合でも関係の恒常性を提示できます。例えばもし入射光線がスネルの法則に従わずにてんでバラバラに屈折するとしても、入射角と屈折角を縦軸と横軸にとって方眼紙にプロットしていき、その点々を一筆書きで連続曲線で結んだならば、この連続曲線は一つの一変数連続関数で表されます。この場合も一応恒常関係が得られることになります。



 そして長年の多種多様な恒常性のテストを受け、一度でも恒常性が破られたものは捨てられるという淘汰の結果生き残ったものが、今日僕たちが理解する恒常関係なのです。



 しかし時空連続と恒常関係、この2つをもってしてもまだ因果連関が成り立つとは、言えないのだそうです。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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大森荘蔵を読む!(その3)

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今回は「大森荘蔵を読む!(その3)」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


大森荘蔵を読む!(その3)



大森は因果連関が成り立つための条件として3つ挙げています。
(1)時空連続
(2)恒常関係
(3)それによる現象移行の必然性



 まず(1)時空連続から見てみましょう。
 ある現象が起こった事情を調べることは、その現象の歴史を調べることになります。例えば、重い肺炎が快方に向かったとして、その歴史を探索します。飲んだペニシリンが消化器を通りそこの壁から血液の中に移動し、血液と共に肺の炎症部に到達し、そこで病原菌と化学結合をしてその化学的性質を変え、こんどはそれが肺の細胞との化学作用をかえて、僕たちが炎症と呼ぶ状態を正常なものにしたとします。


 このように、ペニシリンの投入から炎症の消失に到る隙間のない歴史が明らかになったとき、僕たちは回復という現象を理解したと一応言うでしょう。



 これは一つの時間空間的に連続した記述です。ある現象が他の現象を引き起こす、あるいは他の現象に作用を及ぼすためには、この二つの現象の間に時間上および空間上連続したつながりがなくてはならないわけです。


 夜と昼の間に因果連関があるもの、漸次回転していく地球上の一地点が太陽との位置関係を漸次かえてゆくという、時空的に連続した現象の中にあるからです。稲妻と雷鳴がいずれも、雲と雲あるいは雲と地面の間の放電現象の因果連関の一部と言えるのも、それらが時間的空間的に連続しているからです。



 もし時空連続がなければ、両者の間につながりを想定することは普通はできません。例えば南北戦争時代にアメリカで見られた稲妻と、昨日の夜下関で聞いた雷鳴との間に関連があるとは、通常は考えられないでしょう。



 このような時空的な連続は因果連関の必要条件だといえます。しかし、これだけでは十分条件とは言えないようです。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆引用終わり★☆★☆★☆★☆★☆★☆



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大森荘蔵を読む!(その2)

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今回は「大森荘蔵を読む!(その2)」です。



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大森荘蔵を読む!(その2)



 哲学というと小難しく感じるかもしれませんが、秋山副代表の言う通り「ものの見方」と捉えれば、結構お気楽に楽しめます。「ああ、こういう考え方もあるのか!」「こういう考え方をしてもいいんだ!」といった新鮮な発見があった時は、とても嬉しくなります。



 CAMRにおいては、「理論は道具」と考えています。極端に言えば、ある理論が正しいかどうかは気にしません。ましてや真実かどうかなんて誰にもわからないことも意に介しません。臨床で役に立てば良しとします。


 前置きが長くなりましたが、また前置きが始まります・・・。



 リハビリの臨床現場では何らかの障害があった場合、その「原因を考える」ことが重要だとされています。例えば活動レベルに問題があった場合、Impairmentレベルにその原因を求めていくわけです。これは要素還元論と言う、とても有効で強力な方法論です。実際この方法論は、「我思う、ゆえに我あり」で有名な近代哲学の父、ルネ・デカルトによる心身二元論をベースに益々発展し、17世紀の科学革命や18世紀から19世紀の産業革命に多大な貢献をしたと言われています。



 しかし、そんな大成功をおさめた要素還元論ではありますが、必ずしもいつもうまくいくとは限りません。特にその作動の仕組みについてよくわかっていないシステムにおいて、要素還元論を用いて単純に因果関係を想定すると、間違った結論を導いてしまう可能性があります。丁度、CAMRホームページ「人の運動変化の特徴 その5 因果関係の罠(その1)」に紹介されている、ビアによる自動車の例のように。



 僕たちは結構気軽に「○○の原因は××だ」と言ったりしていますが、実はこのような原因結果の概念は混乱の元になる、と大森は言います。CAMRホームページ「人の運動変化の特徴 その6 因果関係の罠(その2)」に紹介されている、稲妻(ピカッ)と雷鳴(ゴロゴロ)の関係もその一例と言えるでしょう。



 これらはいずれも雲と雲、あるいは雲と地面の間の放電現象の一部で、一方は電磁波として、一方は空気振動として僕たちの五感に達します。本来どちらが原因でどちらが結果とは言えないものなのですが、通常僕たちは時間差を持って、稲妻(ピカッ)→雷鳴(ゴロゴロ)の順に体験するために、ついついそれらを原因と結果に結び付けて考えてしまうようです。



 大森は混乱を避けるために、原因結果の概念の代わりに「因果連関」という言葉を用いています。この言葉は、原因→結果といった明確で直線的な関係ではなく、もう少し緩やかなつながりを想定しているものと思われます。しかし厳密に見ていくならば、この因果連関が成り立つことでさえ、かなりのハードルをクリアしなければならないようです。



 ここではとりあえず、大森荘蔵著作集 第二巻「前期論文集Ⅱ」,岩波書店,1998.より「決定論と因果律」「記号と言語」あたりを参考に紹介してみようと思います。



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大森荘蔵を読む!(その1)

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今回は「大森荘蔵を読む!(その1)」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆



大森荘蔵を読む!(その1)


 CAMRホームページのQ&A、3の冒頭に「哲学者の大森荘蔵氏によると~」とさりげなく名前が紹介されています。例によって簡単に紹介を試みようと思います。



 難しいことはよくわからないのですが、大森哲学を貫いている「自分の頭で徹底的に考え抜く!」という姿勢と、その実践の凄まじさには度胆を抜かれます。極限まで考え抜かれた言葉の一つ一つが、圧倒的な凄味を帯びて迫ってきます。「人間はここまで考えることができるのか!」とただただ驚嘆するばかりです。



 畑違いでご存じない方も多いと思いますので、まずは略歴をWikipediaから引用させていただきます。



 岡山県生まれ。府立一中などを経て、1944年 東京帝国大学理学部物理学科を卒業。その後1949年 東京大学文学部哲学科を卒業する。
 1945年、海軍技術研究所三鷹実験所勤務。当初は物理学を志すも、科学における哲学的問題を問うため、哲学に転向。はじめ現象学などを学ぶが、満足せずアメリカに留学。ウィトゲンシュタインの哲学や分析哲学をはじめとする現代英米圏の哲学から大きな影響を受ける。
 帰国後、1953年、東京大学講師に就任。さらに留学後、助教授を経て、1966年、東京大学教養学部教授(科学史・科学哲学科)。これまでの日本の哲学研究が学説研究・哲学史研究などの文献学に偏りがちだったが、「哲学とは、額に汗して考え抜くこと」という言葉のもと、60年代以降に大学で学んだ人たちに直接・間接に大きな影響を与え、野家啓一、藤本隆志、野矢茂樹、中島義道ら現在第一線で活躍中の数多くの日本の哲学者たちを育てることとなった。1976年、東京大学教養学部長就任。翌年、辞任。1982年、放送大学学園教授。1983年、放送大学副学長就任。1985年辞任。



著作:
『言語・知覚・世界』
『物と心』
『流れとよどみ―哲学断章』
『新視覚新論』
『知の構築とその呪縛』
『時間と自我』
『時間と存在』
『時は流れず』
『大森荘蔵著作集』全10巻(岩波書店) など



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リハビリはADLに対して何ができるか? その4

目安時間:約 4分

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今回は「リハビリはADLに対して何ができるか? その4」です。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆以下引用★☆★☆★☆★☆★☆★☆


リハビリはADLに対して何ができるか? その4
~「割り切る」ことで活路をみいだす~



 秋山です。前回できれいに終わったので、蛇足という気もするのですが書いちゃいました。ずっとしっくりこなかったことがやっと居場所を見つけた、というところです。


 クライアントは障害を負っても自律した運動問題解決者、そして何が問題なのか、何を目標とするのかを決めるのはクライアント。この2つはCAMRの重要な出発点です。その上でセラピストの仕事は、クライアントの思いに寄り添い、運動余力を高めるとか、環境リソースの調整などをして達成のお手伝いをすることです。時には別の視点を提供したり、無理だなと思えることには代案を提示したりします。



 身体障害に対する医療的リハビリテーションに携わるセラピストとして、クライアントが「上着が着られるようになりたい」(少なくとも「着られるにこしたことはない」)と思っている場合にはできることがあります。しかし、「お父さんはできるのに家では着替えようとしない。家でもできるようにしてください」という希望に対してできることとは何でしょうか。そもそも私たちはそこに関わること自体できるのでしょうか。



 身体的な理由ならば、いくらか工夫の余地はあるかもしれませんが、クライアントの価値観に対してセラピストが直接関わることはできません。するべきものでもない。



 ADLに関して運動問題と価値観の問題とが混同していると私は思います。服の着方や食事のとり方というような動作の問題と、その人が生活の中で現実にどう実施したいと思っているのか、何を良しとするのかという問題。セラピストが自分にできることとできないことを区別しないと、ユートピアン・シンドロームに陥ってしまいます。クライアントの価値観に関わることのできるセラピストというのは憧れるかもしれませんが、一介のセラピストにそんな技量はありません。私たちはクライアントの力を信じて、「体が動けば心が動く」ことを信じて、運動余力を高め環境リソースを調整するしかないのです。



 「物の操作」という視点から、今までCAMRのサイトに出てきている課題よりも違う形の課題を通してできることはあるのですけどね。



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